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『徒然草』 生と死の哲学

徒然草 (角川ソフィア文庫―ビギナーズ・クラシックス)
角川書店
4043574088


 次に紹介するのは、兼好法師が紹介するあるエピソードにでてくる男の言葉です。エピソードの前後関係は端折って重要な部分のみ引用しましょう。

 「人間誰しも、死ぬのがいやならば、今ある命を愛するべきなのだ。命ながらえる喜びを、毎日たいせつに楽しまなくてはいけない。」(第九十三段)

 この部分、原文が素晴らしいです。「人死を憎まば、生を愛すべし。存命の喜び、日々楽しまざらむや」。とりわけ「存命の喜び」に、兼好の死生観がよくあらわれています。

 人間はいつ死ぬかわからない存在です。人間は死なないから生きています。日々、死を逃れて生きています。死を意識するからこそ生きることのありがたさがわかるわけです。だからこそ「存命の喜び」を日々楽しみなさいと兼好はいいます。

 では、日々を楽しむとはどういうことでしょうか。この段では具体的なことは書いていませんが、物欲、快楽、金銭ではないことははっきり書いています。

 「愚かな人間はこの楽しみを知らず、物欲に振り回されてあくせくしている。命という宝を忘れて、やたらと快楽や金銭という別の宝ばかり追い求めていては、いつまでたっても心満たされることはない。」(第九十三段)

 別の宝を求めてあくせくするのではなく、自分がやりたいことを優先し、生きるのがよいのではないでしょうか。引退したらやりたいことをしようなどと思っていても、そこまで生きているかわかりません。死はいつも近くにあります。それなのに人は死が近いことを忘れています。

 しかし、存命の喜びを楽しむのが最高というわけではありません。最後に兼好はこういいます。

 「生きるとか死ぬとかいう次元にとらわれないで生きているというのならば、それこそは人生の真理を悟っているといってよい」

 死を恐れるから存命の喜びがあります。生死を超越すれば、なにものにも捉われない生き方ができます。

 とはいえ、そこまで達するのは容易ではありません。凡夫にはせいぜい存命の喜びを楽しむことしかできません。いつ死ぬのかわからないのですから、まずはこの生を愛することが肝要です。


徒然草 (くもんのまんが古典文学館)
今道 英治

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テーマ : 哲学/倫理学
ジャンル : 学問・文化・芸術

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