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『永井荷風 ひとり暮らしの贅沢』永井永光、水野恵美子、坂本真典

永井荷風 ひとり暮らしの贅沢 (とんぼの本)
永井 永光
4106021420


 孤独とエロス、優雅と吝嗇が交錯する奇行の小説家、永井荷風の生活ぶりを紹介するムックです。著者の一人、永井永光は荷風の養子です。

 目次をみるとわかりますが、荷風の生活を多角的に紹介していて、生活者荷風の様子がよくわかる構成となっています。

 第1章 ひとり暮らしの賑わい
 (荷風のひとり暮らし遍歴、身のおきどころ、金と時間の使い方 ほか)
 第2章 食の歓び、自炊の愉しみ
 (荷風の食べもの遍歴、好物・鰻の蒲焼き、そしてお歌、茶筒に残る葛粉 ほか)
 第3章 散人、晩年に愛した街
 (川を渡って浅草へ、心癒された市川の風景)
 第4章 好んだ季節の花々

 写真が豊富で、荷風が好んだものや生活で使用したものがなんであったのかがよくわかります。文章もいいし、荷風に関心を持っている人はもちろん、荷風入門にも最適の一冊です。ただし、巻末に載っている荷風のエロ小説(初公開)はいただけません。時代の風俗を反映しているものの、たいした小説ではありません。

 荷風は36歳で二度目の離婚をしてからは、独身を通しています。その後は、愛人との関係、浅草の劇場の踊り子との交流など続きます。男性との交友はごく限られていて、ほぼ人間嫌い。最晩年は孤独の中で死を迎えます。

 フランス、アメリカでの生活から帰り、父の遺産を受けて麻布・偏奇館で生活をはじめたあたりまでは、なかなか優雅な生活ぶりだったようです。東京大空襲により偏奇館が消失し、日本の敗戦もあり、暮らしぶり一転。知人の家に寄寓していた頃はかなり生活は苦しかったようです。もっとも日本中がモノ不足で苦しかったわけですが。

 千葉県市川の平屋の小さな家が終の棲家となります。

 後半生の生活ぶりは写真で見るとみすぼらしい。外出時はきちんとしていますが、家の中の様子はほんとにひどいです。生活の美に関してはほとんど無頓着です。知人の家を間借りしていたころは普通の部屋の畳の上に七輪を置いて、キッチンとダイニングをかねています。背広にネクタイを締め、そこで自炊する荷風の様子が写真に残っていますが、あまりの奇妙さに絶句します。(そのくせお金はいっぱい持っていました)

 散歩好きでカメラ好き。江戸趣味と西洋趣味の混在。偏った性格と行動パターン。金持ちに生まれた吝嗇家。代表作が日記という小説家。文化勲章を受けたエロじじい。じつに魅力的な奇人です。

 今年の冬から春にかけて世田谷文学館で開かれた『永井荷風のシングル・シンプルライフ』に行きました。この本に写真で紹介されていた荷風の使った品々が展示されていました。写真で見たとおり、どれもたいした品物ではありません。でも、荷風の好みは反映しているし、独特の味わいがあってよかったです。

 部屋の様子も再現されていました。じつにこじんまりとした書斎です。そこに座ってしばらく佇んできました。

 荷風散人。好きなことだけをして生きぬいた、とってもワガママで素敵な変人。

永井荷風 ひとり暮らしの贅沢 (とんぼの本)
永井 永光

永井荷風 ひとり暮らしの贅沢 (とんぼの本)
永井荷風ひとり暮し (朝日文庫) 父 荷風 荷風語録 (岩波現代文庫) 荷風極楽 (朝日文庫) 荷風さんの戦後
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テーマ : 読んだ本。
ジャンル : 本・雑誌

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