スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

消費しない消費スタイル

 個性化/差異化はメーカーによって意図的に作り出されるようになりました。同じ型番のデジカメでも色違いのものがたくさんあります。デザインをちょっとだけ変えた類似商品、オプションによるオリジナル性の強調も盛んです。所詮メーカーのお仕着せなのですが、消費者はそこに個性があるのだと思っています。

 メーカー品で飽き足らない人はインディーズ系の商品に手を出します。とりわけファッション関係にはそういう「個性」を求める人に向けた商品がたくさん用意されています。これもまた業者の手のひらの上で遊ばされている構造に変わりありません。

 バブル崩壊以後、こうした若者特有のこだわりの消費や身に着けるもので自分を語る「モノ語り」の感覚がより目立つようになって来ました。いかにも「お金を使っています的な消費」よりも「自分だけのオリジナルの消費」という幻想へと時代は傾斜してきたように見えます。

 そこで消費者を支配するのは「他人との差異を際立たせて自己の独自性を認めてもらいたい差異化への欲望」(『ヴェニスの商人の資本論』)です。自分の個性を求めて、自分を肯定するために、消費という行為に向かいます。自分探しの消費といってもいいかもしれません。

 本人はその幻想性に気づきません。気づかないからこそ、個性であると思っています。気づいてしまえば、なんとも寂しく惨めな自分の姿が発見されるだけです。モノで語られた自分など所詮そんなものです。

 裕福さを誇示するような見せびらかしの消費に比べれば、まだしも浪費的な性格は弱いとはいえ、個性化/差異化もまた幻想を購入するという新しい形の浪費への傾斜を内包しているという意味で、B級遊民にとっては危険な消費のあり方です。

 B級遊民ならば、「消費しない消費スタイル」こそが目指すべき消費です。消費しない消費スタイルというのもおかしな表現ですが、これからの新しい消費スタイルは消費に積極的な価値を見出さない形での消費になるのではないでしょうか。

 消費に対して積極的でない若者が最近になって増えていることは、ニュースなどで確認できます。彼らの中に生まれてきた新しい傾向を私は肯定的に見ています。

 都会では若い人が自動車を買わなくなりました。2007年の国内新車販売台数は、軽自動車を含めて535万台で前年比6.7%減でした。販売台数のピークだった1990年の777万台と比べると31%も減少しています。

 自動車だけではありません。日経新聞社の調査では首都圏に住む20代の若者を「車を買わず、酒もあまり飲まない。休日は自宅で過ごす。無駄な支出を嫌い、貯蓄意欲は高い」と分析しています。「消費を喚起するにはかなり手ごわい相手といえそうだ」と記事は結ばれています。(日本経済新聞2007年8月22日『20代の暮らしぶり地味、貯蓄意欲は高め・日経調査』)

 このような傾向が現れた背景には、若い人を中心に非正規雇用が増えて収入が減っているという経済的理由と将来の見通しの暗さがあるのでしょうが、それだけが理由とは思えません。物質的に恵まれた中で育ちながら、物質によってはそれほど幸福が高まるわけでもないと認識した若者が実際に増えているのではないでしょうか。(増えているといっても少数派でしょうけど)

 「自動車? かっこわるいよね」といったような価値観がそろそろ生まれてもいいでしょう。なにしろ歩くことこそ人間の自然なのですから。自分だけのオリジナル高級自動車よりも歩きやすくて丈夫な靴の方が欲しいと思う人が増えることを願っています。


ヴェニスの商人の資本論 (ちくま学芸文庫)
岩井 克人
448008004X


イギリス式お金をかけず楽しく生きる (+α文庫)
井形 慶子
4062810085


浪費が止まるドイツ節約生活の楽しみ (カッパ・ブックス)
サンドラ ヘフェリン
4334006868

スポンサーサイト

テーマ : 節約
ジャンル : ライフ

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

プロフィール

Author:Cozy
情報処理系講師、フリーライター。減速生活者にしてB級遊民。

Twitterはcozyoffです。
TwilogはCozy(@cozyoff)です。

当ブログへのリンクはご自由に。

名言集および格言集
最近の記事
最近のコメント
最近のトラックバック
月別アーカイブ
カテゴリー
FC2カウンター
ブログ内検索
RSSフィード
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。