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『調査報告「学力低下」の実態』 ゆとり教育で落ちる学力、広がる格差 #dokusyo

調査報告「学力低下」の実態 (岩波ブックレット)
苅谷 剛彦 清水 睦美 志水 宏吉 諸田 裕子
4000092782


 苅谷剛彦ほか著

 小学生と中学生に「ゆとり教育」がおよぼした影響についての実証的研究。対象は関西都市圏の小学校5年生と中学校2年生。1989年と2001年の間で比較を行っています。

 基本的な部分の結論をまとめると、こうなります。

・1989年と2001年の間で基礎学力の低下は起きている。
・できる生徒とできない生徒との間で学力格差が広がっている。
・塾に行く者と行かない者との間で格差が拡大する傾向にある。


 著者らのグループは文化的階層グループについても分析しています。文化的階層グループは「家の人はテレビでニュース番組を見る」「家の人が手作りのお菓子を作ってくれる」「小さいとき、家の人に絵本を読んでもらった」「家の人に博物館や美術館に連れていってもらったことがある」「家にはコンピュータがある」という5つの質問により家庭の文化的環境を示す一次元的尺度です。これらの家庭の文化的環境は、親の学歴や職業などの「社会階層」と相関する要因と言われています。お金持ちかどうかよりも文化的かどうかを問題にしています。

・学習意欲、学習行動、成績において文化的階層グループ(家庭の文化的環境)による格差があり、小学生より中学生でより格差が拡大する。

・文化的階層グループにより新学力観的(ゆとり教育)な授業への取り組みに格差がある。


 新学力観的な授業とは「調べ学習」「グループ学習」「自分たちの考えを発表したり、意見を言いあう授業」です。
学校の教育はたいがいが言葉を使ったコミュニケーションですが、このような新学力観的な授業では、子どもの言語能力に加えて積極性が必要になります。

 ゆとり教育と新学力観的な授業形態はイコールではありませんが、その影響で増加した授業形態です。これについても分析したことは意義深いことです。

・新学力観的な授業では、国語の成績が良いが、数学の成績は悪い。
・古い伝統型の授業では、数学の成績が良い。


 平均点がよく成績に格差が少ない小学校、中学校を著者グループは「がんばっている学校」と呼び、その特徴を調べたところ、小学校の国語をのぞいて「宿題がよく出る授業」多いことがわかりました。まざまなタイプの授業を受けていると回答する生徒が多く見られました。塾に通っていない生徒も比較的いい成績を収めているのも特徴です。

 以上をまとめると、ゆとり一辺倒ではダメ。いろいろなタイプの授業を行ない、宿題をたくさん出すのがよい。数学では伝統型の授業は必要。小学校の国語では新学力観的な授業がよい。ということになるのかもしれません。

 学力の低下をふせぐには、学校と家でしっかり勉強させることが大切です。また、教科によってどういう学習形態がよいのかを研究すべきでしょう。教科の特性を無視して一律に同じ学び方というのは合理的ではありません。

 学力の国際比較では、学力の低下を証明することはできませんでしたが、この調査では関西地区という限定ではありますが、ある程度は証明できているといえるでしょう。

 大雑把な紹介なのでくらしいデータを見たい方はぜひ本書を直接読んでください。


学力を問い直す―学びのカリキュラムへ (岩波ブックレット) 「学び」から逃走する子どもたち (岩波ブックレット) 公立小学校の挑戦―「力のある学校」とはなにか (岩波ブックレット (No.611)) 学力低下論争 (ちくま新書) 教育改革のゆくえ―格差社会か共生社会か (岩波ブックレット)
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テーマ : 読んだ本。
ジャンル : 本・雑誌

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