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『議論のウソ』 ゆとり教育を語る著者のゆるい議論を見よ

議論のウソ (講談社現代新書)
小笠原 喜康
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小笠原喜康著

 世の中に見られる議論のウソを論理的に批判して見せ、論理的思考を啓蒙する一冊。

 前半はいいのですが、後半から怪しくなってきます。

 「ゆとり教育批判」を批判している中で、全国地理学会の全国調査に対して、こう述べています。「地理教育の必要性をアピールしたいという意図が明白である。」(P.180)。論拠は述べていません。文脈からすればただの憶測にしかすぎません。

 また、「ゆとり教育批判」を批判しているのもかかわらず、批判の対象はセンセーショナルな見出しの新聞記事の批判とOECD国際的学力テストを論拠とするゆとり教育批判ばかりです。大学生の学力問題などの重要な論点に触れないのは意図的なのでしょうか。私も大学生の学力問題はゆとり教育とは別の原因があることは知っていますが、論じ方を論じている本書でスルーするのは大きな減点です。

 本書の最後でなぜか著者はゆとり教育の検討をはじめます。ゆとり教育が必要となる社会の変化として「ポスト産業資本主義」をあげていますが、この論拠が弱いのです。岩井克人の『会社はこれからどうなるのか』の内容を軽く紹介しているだけで、その紹介には納得できる証明は含まれていません。これでは本人がダメな議論の例としてあげた「権威に訴える虚偽」そのものです。

こうした時代の変化を背景に、かつての「臨教審」はおこなわれた。したがって、そこでの教育改革の方向性は、こうした産業の変化に対応したものであったはずである。それが、「個性重視」だった。



 こういわれても、そうなのかなあ?と疑問に思うばかりです。臨教審のメンバーがそういう社会観を共有していたのか、ポスト産業資本主義では、とくていの人材が必要で、その育成がゆとり教育でできるのだと臨教審は考えていたのか、いろいろ疑問は湧いてきます。

 きちんとした論証をしない議論をダメな議論と呼び、論じ方を論じた本なのですから、ここでは正しい議論の見本を見せて欲しいところです。

「社会調査」のウソ―リサーチ・リテラシーのすすめ (文春新書) だまされない〈議論力〉 (講談社現代新書) ダメな議論―論理思考で見抜く (ちくま新書) 統計数字を疑う なぜ実感とズレるのか? (光文社新書) 学者のウソ [ソフトバンク新書]
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ジャンル : 本・雑誌

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