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『ベートーヴェンの生涯』 晩年と臨終「芝居は終わった」

 残念ながらベートーヴェンを襲ったのは難聴だけではありませんでした。彼は多くの病気に苦しめられていました。現在ではベートーヴェンの毛髪を分析した結果、彼が鉛中毒だったという説が有力です。本書にはどこから鉛を摂取することになったのかは書かれていませんが、当時ワインには鉛の化合物が甘味料として使われることがあったそうなので、ワイン好きのベートーヴェンはワインから鉛を取っていた可能性があります。

 また甥とその母親(義理の妹)との関係に問題が発生し、心労が多かったため、、ストレスも体調にマイナスに働いたことでしょう。

 作曲家としての名声は高かったにしても、病苦と人間関係(養子問題)の問題で苦しんだりして、つらいことが多かったことは間違いありません。

 ベートーヴェンの最後の言葉は「喝采を、諸君、芝居は終わった」であったと本書には書かれていますが、一般には「芝居」ではなく「喜劇」と訳しています。原語のラテン語ではcomoediaという言葉を使っていますが、これは喜劇と同じ意味ではなく悲劇ではない劇一般を指す言葉のようです。あえて喜劇を訳さない方が意味を限定しないのでいいかもしれません。

 著者はこの言葉をベートーヴェンの「ユーモアを含んだ達観」と評していますが、むしろアイロニー(皮肉)というべきでしょう。

 ちなみにこの言葉はローマ皇帝アウグストゥスの臨終の言葉を真似たものだそうです。なぜか本書には書かれていませんでした。

 実際にベートーヴェンがなくなるのは、この言葉を発してから3日後の1827年3月26日です。享年56才。ベートーヴェンは忌まわの際に不思議な動作をしますが、これは一体なんだったのでしょう。雷が落ちたときに、突如目を開いて、天を凝視し、しばらくの間、右手の拳をかかげたそうです。本当に不思議な現象です。

 著者はその時の様子に妙な解釈を付け加えていますが、とってつけたような無理な空想です。それまで押さえ気味の筆致だったのに、最後になって妙な見解を示したことは本書の汚点です。

 ベートーヴェンの葬式はかつてないほど盛大なものでした。それはオーストリアの皇帝以上だったといわれています。このことからベートーヴェンは生きながらに伝説的な存在となっていたことが伺われます。生前報われない芸術家が多いなか、ベートーヴェンはこの点では幸福ではあったようです。

 本書はベートーヴェンに関心のある人には最適のベートーヴェンの伝記です。新しい研究が反映されている点が何よりも優れていますし、コンパクトです。彼の音楽に感動したならばぜひ読んでいただきたい一冊です。

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テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

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情報処理系講師、フリーライター。減速生活者にしてB級遊民。

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