スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

『ベートーヴェンの生涯』 性格と芸術への態度

 本書よりベートーヴェンの人間性に言及した言葉を集めてみました。

 ベートーヴェンが一時的に惚れていた若い女性ベッティーナ・ブレンターノの言葉です。

 「自分の芸術に誇りを持つ姿はまるで王者のようです。世俗のすべてを蔑視して何ものにも縛られず、人間のただ中にあってもその目は自然の深奥の秘密に向けられています」

 ベートーヴェンが世間の常識を無視した人間であることはこの言葉からも伺われます。彼の世俗蔑視は芸術至上主義および自分を孤高の存在と見ていたことからきているようです。自然科学者でもないのに「自然の深奥の秘密」に目が向けられているという表現に違和感を覚えますが、芸術を通してそれに触れ得るとベートーヴェンが考えていたのか、あるいは彼自身強く自然を愛していたのでこう表現したのか、ベッティーナの言葉はちょっと謎です。

 ベッティーナの義姉で人妻でもあるアントーニア・ブレンターノの言葉です。
 「ベートーヴェンは、私のもっとも愛する人の一人になりました。彼の卓抜さはそのままのつき合い方、いかなる感情にもたとえようのない感情をよびさます彼の演奏、それは彼のほの暗くかげった額の丸天井に覆われた、音芸術の霊がやどる聖櫃の中から、それらを神々しい姿によみがえらせるかのようです。彼のあり方すべてが、素朴で気高く善意にみち、そして彼の心のやさしさは、もっとも感じやすい女性のそれにもまさるものです。」

 著者の青木氏は上記のアントーニアをベートーヴェンの「不滅の恋人」であると考えています。「不滅の恋人」とはベートーヴェンの残した恋文の相手のことです。この手紙はベートーヴェンの机の引き出しから出てきたもので、強い恋愛感情が表明されています。

 いろいろ複雑な事情があって最期は別れたようですが、その詳細は本書には書かれていません。同じ著者の『ベートーヴェン〈不滅の恋人〉の探究』に詳しいようです。

 当時二人が恋愛関係にあったこと、あるいはこの言葉の後に恋愛関係になるだろうことを考慮すると、ベートーヴェンはとりわけ彼女にはやさしく接したことでしょうから、アントーニアがこのような印象を持ったことは不思議ではありません。おそらくベートーヴェンが誰にもでこうした面を見せたわけではないでしょう。

 本書を読むと、ベートーヴェンはけっして恋愛に奥手ではなかったことが推測できます。最終的には上手く行かなかったにしろ、比較的積極的に振舞ったように思えます。

 ベートーヴェンは尊敬していたゲーテとも会っています。ゲーテが妻へ宛てた手紙にはこうあります。
 「私はこれまで、これほど強い集中力を持ち、これほどエネルギッシュで、しかも内面的な芸術家を見たことがない」

 ここからはベートーヴェンが激しく芸術に専心していた様子が伝わってきます。ベッティーナの言葉と合わせると芸術、音楽にかける彼の並々ならぬ思いが伝わってきます。だからこそ、難聴に苦しんだときには自殺を考えたのでしょう。しかし、それも芸術への愛のためにすぐに思い直しています。「ハイリゲンシュタットの遺言書」には「自分が使命を自覚している仕事をしとげないでこの世を見捨ててはならない」と書いています。

 つづく


ベートーヴェン〈不滅の恋人〉の探究 決定版 (平凡社ライブラリー あ 21-1)

ベートーヴェン〈不滅の恋人〉の探究 決定版 (平凡社ライブラリー あ 21-1)
ゲーテとベートーヴェン―巨匠たちの知られざる友情 (平凡社新書) ベートーヴェンの生涯 (平凡社新書) ベートーヴェン (新潮文庫―カラー版作曲家の生涯) 新編ベートーヴェンの手紙 下    岩波文庫 青 501-4 新編 ベートーヴェンの手紙〈上〉 (岩波文庫)
by G-Tools

スポンサーサイト

テーマ : 読んだ本
ジャンル : 本・雑誌

プロフィール

Cozy

Author:Cozy
情報処理系講師、フリーライター。減速生活者にしてB級遊民。

Twitterはcozyoffです。
TwilogはCozy(@cozyoff)です。

当ブログへのリンクはご自由に。

名言集および格言集
最近の記事
最近のコメント
最近のトラックバック
月別アーカイブ
カテゴリー
FC2カウンター
ブログ内検索
RSSフィード
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。