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『ジャンヌ・ダルク』 神の声を聞いた処女はいかにしてフランスの英雄となったか

ジャンヌ・ダルク―歴史を生き続ける「聖女」 (岩波新書)
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 高山一彦著

 ジャンヌ・ダルクについては裁判記録が残っていて、しかも本人の証言も含めて詳細を知ることができます。これは意外でした。詳細はもちろん漠然とした話だけが伝わる伝説の人物だと思っていたからです。

 ですから一般に知られているジャンヌ・ダルクの話は嘘ではありません。解釈によりいろいろな説がありますが、基本部分は事実として伝えられています。

 ジャンヌ・ダルクの物語を簡単にまとめるとこうなります。

 イギリスとフランスの間で行われた百年戦争において、田舎町に住むジャンヌという少女が神の声を聞き、当時劣勢にあったフランスの救済に立ち上がり、オルレアンの包囲戦を勝ち、王太子シャルル7世を戴冠させ、フランスの勝利に寄与しますが、後にイギリス軍に捉えられ、異端審問にかけられ、異端の罪で火刑に処せられます。ときにジャンヌ19才、1431年のことでした。

 異端審問の一番のポイントは、神の声を聞いたことは真実か否か、です。当時の教会の判断はこれを嘘と断定し、ジャンヌを異端者として処刑しました。

 ほとんどの日本人からすれば、教会の権威も神の声もみんな嘘ごとにすぎないのですが、キリスト教徒からすれば後に聖女となるジャンヌの処刑はイエスの処刑に比すべき悲劇の一つに数えられるわけです。

 その後の重要なエポックを記します。25年も後の1456年になってジャンヌの復権裁判が行われ、処刑裁判の破棄が宣告され、さらに1919年になって、キリスト教の聖人に認定され、聖女ジャンヌ・ダルクとなります。

 以上が、基本事実なのですが、本書はジャンヌにまつわる様々な説、解釈、民衆の間で描かれたジャンヌ像の紹介に多くのページを割いています。いわばジェンヌ像の変遷史こそが主題です。ですから副題は「歴史を生き続ける「聖女」」となっています。

 ジャンヌの容貌については知られていないので、絵画に書かれたジャンヌ像はじつに様々で同一人物には思えません。いかにも戦士風のたくましいものから、貴族の夫人のような優雅なものまであります。

 その役割、素性についても傀儡説、王女説などがありますが、説得力のある説は皆無。みんな勝手に色々な想像をしています。

 日本でもジャンヌ・ダルクは愛国少女として紹介されていたという事実にはいささか驚かされました。しかもジャンダークとか記述されていたりして。

 ジャンヌに限らず歴史上の人物はいろいろな姿をまといその時代に都合のいい人物像として解釈されるものだと改めて感じます。

 本書は内容がしっかりしているし、なかなか面白い歴史書ですが、最初は胸が熱くなる物語として読んだ方がいいかもしれません。十分感動できる素材です。一冊目は小説じたてをお勧めします。二冊目ならば本書です。

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ジャンル : 本・雑誌

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