スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

仕事と道楽は分けて考える

 企業の労務管理や人事管理は巧妙になっていて、本当は会社が管理しているにもかかわらず、さも本人が目標を立てて自己管理しているような体裁をとることがあります。

 たとえば、今月の目標とか本年度の目標を立てる場合、自分が好きなように目標を立てていいわけではありません。実際は前月や前年度を上回る設定にしなければならないのです。10%とか20%とかアップすると目標を立てなければ、やる気がないとして評価を下げます。そもそも上司によって却下されるでしょう。これは強制と同じです。会社が望むような目標を自分から進んで立てるのは、自主性の強要といってもいいでしょう。達成できなければ、もちろん批判されます。自分が立てた計画だろうと責められます。このような理不尽は会社ではままあることです。

 やたらと夢を語る経営者もいます。従業員にはこれは夢を持てる仕事だといい、夢があるのだからと低賃金で働くことを納得させます。夢をかかげていても内実はモチベーション管理と搾取の手法にすぎません。本来自主的であるべきものを強制しておきながら、さも自分から望んだように見せかけるのは、欺瞞というものです。社会学者の本田由紀このようなやりがいや自己実現をえさにして働かせるやり方を「<やりがい>の搾取」と呼んでいます。

 このように企業で働くことは、自主性をモチベーション管理よってうまく絡め取られるような側面があります。ことことは忘れてはなりません。

 最近は、自分の「好き」を仕事にする、などという言い回しが流行っています。そのため若者は自分の適性や興味が仕事に適合することとあわせて、好きな仕事、生きがいのある仕事を求める傾向が強くなっています。

 そのこと自体は悪くはないのですが、本来別のベクトルを向いているものを統合するのはむずかしいということは知っておくべきでしょう。運良く自分の「好き」に関係する仕事に就けたとしても、収入のためにどの程度まで自分を曲げて世間のために他人本位でやるべきかどうかと悩むときもあるでしょう。もともと両立しがたいものを統合しようとしているのですから、当然です。

 「要するに原理は簡単で、物質的に人のためにする分量が多ければ多いほど物質的に己のためになり、精神的に己のためにすればするほど物質的には己の不為になるのであります」と漱石は書いています。職業と道楽がどういう関係にあるのかを認識した上で、どこかに妥協点を見いだすしかありません。

 フリーランスやお店の経営も同じです。好きなことの追求と商売がしばしば矛盾します。

 アーティストではさらに先鋭化した形でこの問題があらわれます。自分を曲げて他人本位で作られたアートはアートではない、それは商品ではないかとアーティストは考えます。しかし、売れなければ食べていけません。自分を貫いて、なおかつアートで食べていけることはよほどの幸運です。

 仕事にも、人のためになることや、社会につながるといった面白さがありますが、原則的に他人本位で自分を曲げなければならないことは間違いありません。そして、自己本位の楽しみは趣味・道楽にこそあります。このことは割り切って考えておいた方がよさそうです。そうしないと仕事に過大な要求をして、不満ばかりを募らせることになりかねません。自己本位に追求したいことは仕事とは別にやればいいのです。これもまたB級遊民的な考え方です。

a href="http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4061582712/cozysmonologu-22/" target="_top">私の個人主義 (講談社学術文庫 271)
夏目 漱石
4061582712


若者の労働と生活世界―彼らはどんな現実を生きているか
本田 由紀
4272350250

スポンサーサイト

テーマ : ビジネス
ジャンル : ビジネス

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

プロフィール

Cozy

Author:Cozy
情報処理系講師、フリーライター。減速生活者にしてB級遊民。

Twitterはcozyoffです。
TwilogはCozy(@cozyoff)です。

当ブログへのリンクはご自由に。

名言集および格言集
最近の記事
最近のコメント
最近のトラックバック
月別アーカイブ
カテゴリー
FC2カウンター
ブログ内検索
RSSフィード
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。