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『『おくのほそ道』をよむ』 堀切実 なぜつまらないのか。なぜ嫌いなのか。

『おくのほそ道』をよむ (岩波ブックレット―クラシックスと現代)
4000032283


 なかなか面白いのにタイトルで損をしています。

 大学の期末試験でのアンケートをもとに『おくのほそ道』を分析していますが、そのアンケートの内容がなんと

Ⅰ『おくのほそ道』-そこがつまらない
Ⅱ芭蕉-そこが嫌い

 というもの。

 1993年当時、大学の卒論で松尾芭蕉を選ぶ学生が激減。江戸ブームといっても人気があるのは西鶴や秋成の散文や歌舞伎。俳句短歌は人気がなかったそうです。

 私立A大学国文科三年生を相手に『おくのほそ道』の演習をやっても結果はおもわしくなく、この期末試験の暴挙となったそうです。

 嫌われる理由の主なところを上げておきましょう。

Ⅰ『おくのほそ道』-そこがつまらない
 
 虚構性へのアレルギー(虚と実のあいまいさ、旅の臨場感に欠ける、日程上のズレが気になる)
 構成上の欠点(焦点のなさ、こま切れ的、後半部の単調さ、結末のつまらなさ)
 古典の教養に依存した文章であること
 文章がオリジナリティに欠けること
 レトリックの過多
 文章へのアレルギー(省略表現、文のリズムが一定しない、文体がかたい)
 ”人間”が出ていないこと(人間味が薄い、人との交渉が少ない、人物描写が少ない、曽良が生かされていない、女性の登場が少ない、人物描写が類型的)
 文学的な味わいに欠けること(旅情の乏しさ、旅の楽しみがない、旅の目的が不明確、文学的ストーリー性がない、意外性がない)


Ⅱ芭蕉-そこが嫌い
 
 独善的人物像にみえること(自己を絶対視する 思い込みの強さ 脱俗の不徹底)
 偽善者のイメージがあること(ポーズとしての清貧、超俗の姿勢の自負)
 情緒的な麺での魅力のなさ(センチメンタル 孤独感 漂白感 修行者像 寿貞とのかかわりかた)
 性格的な面での魅力のなさ(非常でクール もったいぶり 優柔不断 外交辞令的態度 えこひいき)

 とにかくひどい言われようです。あまたある『おくのほそ道』関連本の中でここまで否定的に書かれたものはありません。ここまで赤裸々に読者の不満をさらしたものもありません。

 かくいう私もかなりの部分で同意します。たしかに『おくのほそ道』はつまらないです。冒頭部分のパクリはともかくとして、漂泊の思いがどんな旅を招くのかと期待しましたが、始まってみれば、なんのことはないつまらない紀行文なのです。

 芭蕉の人間性に共感することもありませんでした。ポーズとしての清貧、超俗の姿勢の自負なんて批評は芭蕉にはかなり痛いものでしょう。しかもけっして的外れではありません。

 日本を代表する名著をコテンパンにした予想外に面白い本です。

 ちなみにGoogle日本語入力で、「おくのほそ道」を変換しようとすると「奥の細道」がサジェストで表示されます。正解は「おくのほそ道」。多くの人が「奥の細道」と入力して検索したのでしょう。間違ったことを提案してくるのは使っている日本人の多くが間違っているから。これもまた悲しい事実です。


おくのほそ道(全) (角川ソフィア文庫―ビギナーズ・クラシックス)
角川書店
4043574029
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テーマ : 最近読んだ本
ジャンル : 本・雑誌

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