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暇つぶしや依存症ではない

 趣味、道楽は暇つぶしや時間つぶしとは違います。

 暇つぶしとは、できてしまった空き時間を適当な活動で埋めてしまおう、消費してしまおうという行為です。B級遊民はそんなどうでもいいような活動でつぶしてしまうために自由時間を欲するのではありません。趣味の中になんらかの豊かさを求めています。暇つぶし、時間つぶしを全否定するつもりはありませんが、暇つぶしのような時間の使い方は趣味の本道ではありません。

 暇つぶしは閑適でもありません。閑適にはゆったりとその時間を楽しむ積極性がありますが、暇つぶしは空いた時間をつぶすだけの単なる「時間の消費」です。つまり暇つぶしには時間そのものを退屈なもの、やっかいなものとみなす発想があります。趣味と暇つぶしではこのように時間に対する心的な構えが基本的に違います。

 自由な時間を空き時間、退屈な時間、無駄な時間と考えるのは、金にならない活動は無駄であると考える勤勉主義や効率主義の発想です。効率主義は効率的に利益を生むことがよいことであり、それに反したことは無駄なこと不合理なこととして排除しようとします。このような考え方においては、閑適も道楽も否定されるのは当然です。

 閑適や道楽にはそれ自身に価値があります。自足的なものです。退屈や暇つぶしと一括りにして、ネガティブにとらえられるべきものではありません。

 趣味・道楽は依存症とも違います。

 依存症とは、何らかの対象(物や行為)に、生活や人間関係を破壊するほど過度におぼれることです。はたから見れば趣味のために仕事を変えたり、結婚しないことも多いB級遊民の生き方は依存症に見えるかもしれません。

 しかし、B級遊民は趣味のために体を壊すことはしないし、激しい浪費や借金で破産することもありません。そのような破壊的な生活をするのがB級遊民ではありません。生活の諸要素の中で趣味の優先順位が高いだけです。病理としての依存症とは違うとあえて主張しておきます。

 道楽と書くと、「どうしても酒色・ばくちなどにふけること」(大辞泉)というニュアンスが強くなります。そのため依存症のイメージがまといつきます。しかし、本書ではあくまでも「本業以外のことに熱中して楽しむこと。趣味として楽しむこと。また、その楽しみ」(大辞泉)という意味で使います。

 それならば、趣味と書けばいいだろうと思われるでしょうが、趣味だと言葉が新しくて、「閑適」「知足」とバランスが取れない感じがします。ということで、三大原理としては「道楽」を、通常の使用においては趣味という言葉を多く使用することになります。

余暇と祝祭 (講談社学術文庫)
稲垣 良典 ヨゼフ・ピーパー
4061588567


やめたくてもやめられない―依存症の時代 (新書y (184))
片田 珠美
4862481795

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ジャンル : ライフ

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