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『ネガティブ・マインド』 その2 「うつ」が持続するメカニズム

ネガティブ・マインド―なぜ「うつ」になる、どう予防する (中公新書)
4121020197


 自己注目が持続することでうつは憎悪すると書きましたが、そのメカニズムは単純ではありません。いろいろな機能が複合的に関与しているようです。

■完全主義

 完全主義者はうつになりやすいという話はよく聞きます。しかし、完全主義のどこが悪いのでしょうか。

 自己志向的完全主義尺度には、四つの下位尺度があります。それは「完全でありたいという欲求」「自分に高い目標を課する傾向」「ミスや失敗を過度に気にする傾向」「自分の行動に漠然と疑いもつ傾向」の四つです。

 驚くべきことに「完全でありたいという欲求」「自分に高い目標を課する傾向」の二つにはうつとの関連性はありません。問題なのは「ミスや失敗を過度に気にする傾向」「自分の行動に漠然と疑いもつ傾向」の二つで、とりわけうつとの関連が深いのが「自分の行動に漠然と疑いもつ傾向」です。

 「自分の行動に漠然と疑いもつ傾向」とは、次の質問に「あてはまる」と答える人です。「注意深くやった仕事でも、欠点があるような気がして心配になる」「何かをやり残しているようで、不安になることがある」「納得できる仕事をするには、人一倍時間がかかる」「念には念を入れる方である」「戸締まりや火の不始末などは、何回か確かめないと不安である」。うつよりも心配性といったイメージではないしょうか。

 つまり、うつになり易いのは、完全主義というよりも、ミスや失敗を気にしていて、心配性で疑心暗鬼になるタイプということです。
 
■内在他者

 坂本氏は自分に高い要求を課するのは内在他者があるせいだといいます。内在他者とは、他人の視点(人の目)や価値観を自分の中に取り込んで、内在化した他者のことをいいます。

 この内在他者がミスを許さない厳しいものであれば、うつを憎悪させる原因となります。また、内在他者の形成には親の影響が大きいといいます。


■気分一致効果

 気分一致効果とは、気分に一致する記憶や判断や行動が促進される現象をいいます。明るい気分のときは、明るいことを思い出し、明るい考えを持ち、明るい積極的な行動をします。逆に、暗い気分のときは、暗い過去の出来事を思い出し、暗い考えを持ち、暗い消極的な行動をします。

 気分が暗い時に暗い音楽を聴くと、共感によるカタルシスが起こって、すっきりすることもあるはずですが、気分一致効果全体としてみれば憎悪する面が多いのかもしれません。あまり暗い気分に浸るのは危険ということですね。


■自己確証

 人間は自分についてのイメージ=自己概念を持っていて、その自己概念を維持しようとします。そのため、自己概念と一致することを考えたり行ったりして、自分が自分であることを確かめます。これを自己確証といいます。

 もう少し専門的ないいかたをすると、「自己概念を確証、確認してくれる社会的現実を求め、実際の社会環境と自分の心の中にそれを作り出すように行動したり解釈したり」します。

 自分はダメだと思っている人は、その自己概念に一致するような自己評価を求め、自分でもダメだと考え、ダメな自分らしい行動をし、ダメな自分らしい環境を欲するというわけです。


■自己成就的予言

 自己成就的予言とは、「人がこのようなことが本当にあるだろうと予期すると、無意識のうちに予期に適合した行動をとっていしまい、結果として予期された状況を作り出してしまうプロセス」です。

 著者は、石油ショック時のトイレット・ペーパー騒動や教育者の子供に対するピグマリオン効果を例にあげています。
 
 しかし、うまくいくと思えば必ずしもプラスに作用するとは限りません。試験に受かりそうだと楽観していると勉強しないので逆に落ちてしまい、試験に落ちそうだと心配すればかえって勉強して受かるということもあります。このように悲観的な考え方を動機づけに使うことを対処的悲観主義といいます。

 非行少年には楽観的な子どもが多いという話を聞いたことがあります。「このままではまずい」と考えることも人間には必要なようです。

■自己発生的態度変容

 自分が好意を持つ相手のことを考えているとますます好きになって「あばたもえくぼ」になります。嫌いな相手のことを考えているとますます嫌いになって「坊主憎けりゃ袈裟まで憎い」となります。

 このような現象を自己発生的態度変容といいます。

 自己発生的態度変容が自分自身に向かえば、好きな自分がますます好きになり、嫌いな自分がますます嫌いになります。


■認知的不協和

 自己確証や自己発生的態度変容が発生する背後には認知的不協和があるのではないかと著者はいいます。

 認知的不協和とは、自分の考えに合わない現実や考えを不快に感じることです。矛盾を不快に感じることといってもいいでしょう。

 ダメな自分のうまくいった体験は認知的不協和を発生させますから不快です。そこで「自分の成功など大したことない」と考えることで認知的不協和が解消されます。

 ダメな自分の失敗は認知的不協和を発生させませんから、「ああ、やっぱり自分はダメだ」とそのまま受け入れられます。



 以上のような、いろいろなメカニズムがあることを知ると、一度悪循環に陥るとなかなか抜け出せないことがわかります。うつは持続しやすく、憎悪しやすいのです。

 では、どうやったらその悪循環から抜け出せるのでしょうか。

 (つづく)

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情報処理系講師、フリーライター。減速生活者にしてB級遊民。

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