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『肉声 太宰治』 山口智司

肉声太宰治
山口 智司
4883926958


 太宰治生誕100年ということで、出版ブーム、映画ブームとなっています。

 私も若い頃は太宰はけっこう読みました。主要作品で読んでいないのは「右大臣実朝」くらいです。おそらく全作品の8割は読んでいると思います。

 さすがに今では距離を置いて見てしまいますが、そういう覚めた目から見てもやはり面白い小説家であり、人間です。

 太宰の小説の面白さはどこにあるのか。

 太宰治は私小説を書いた人のように思われがちですが、じつは違っていて、実際に体験したことを題材にしていても、かなり脚色しています。このあたりの事情は二度目の妻である津島(石原)美知子のエッセイ『回想の太宰治』に詳しく語られています。

 だから嘘なのかと言えば、そうではなく、真実を明確にし、面白くするために脚色であり、描かれたものは事実ではないけれど小説的真実というものです。真実と面白さを共存させるための虚構。そこに太宰の面白さの要因の一つがあります。

 太宰治は小説中の主人公と作家がかなり近いために、その人物像もどこまでが事実でどこからが虚構なのか不明です。有名なエピソードの数々はまさに太宰の作品のように鮮やかに人物像を描いています。

 本書は、そうした太宰のエピソード。とりわけ太宰治自身が実生活で発した言葉を拾い集めています。ここに集められた手紙や口頭での発言は、太宰の小説の主人公のように太宰的です。芝居がかっていたり、オーバーであったりで、普通の生活人の発言ではありません。まさに太宰治そのものです。 

 読み進むうちに思うことは、ここに太宰治の真実があるというよりも、意識的に太宰治という人物が演じられているのではないかという疑惑です。

 それが本書の面白さであり、奇妙な深みを感じさせる所以でもあります。
 
 つい先日、「太宰治物語」というテレビドラマを見ました。太宰治役は、豊川悦司。美知子婦人を寺島しのぶ、太田静子を菅野美穂、山崎富栄を伊藤歩が演じました。

 太宰とはちょっとイメージの違う豊川ですが、この作品のセリフは実話からとったものが多く、なるべく太宰を忠実に再現しようとする意思を感じました。人物像を知りたい人にはお勧めです。ただもう少し病気による死への傾斜を丁寧に描いてもよかったのではないか、と思いますが。

 まだ読んでいない「右大臣実朝」を読みたくなってきました。


>回想の太宰治 (講談社文芸文庫 つH 1) 文豪ナビ 太宰治 (新潮文庫) 文芸別冊太宰治 (KAWADE夢ムック 文藝別冊) 走れメロス (新潮文庫) 太宰治検定公式テキスト (-旅をしようよ!「津軽」-)
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