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『NHKスペシャル 病の起源2』 その1 読字障害

 NHKスペシャル病の起源〈2〉読字障害/糖尿病/アレルギー
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 小学校とか中学に本の読めない子がいました。先生に当たられて、教科書を読もうとするのですが、彼らはつっかかってしまってほとんど先に進みませんでした。

 今までは彼らのことを勉強ができないだけだと思っていましたが、もしかしたら読字障害という病気だったのかもしれません。

 言語は基本的に音声によるものです。言語学の本にもそう書いてあります。長い間、人間は文字を持っていませんでしたし、今でも文字のない文化もあります。文字はなくても言語は成立し、話し言葉としての言語が言語の本質です。

 では文字はどうなのか。私たちは文字を話し言葉の延長のようなものと捉えていますが、読み書きは話すこととは別の能力だといいます。それは発生の順序の問題ではなく、脳の使用という面から見ても別物です。

 文字を読むとき視覚野から入った情報を音声に変換します。音声になればあとは話し言葉を理解するのと同様です。

 しかし、文字という形を音声に変換するための専用の能力(脳の部位)を人間は持っていません。人間はこの作業のために脳の39野と40野という部位を使っています。本来この部位は視覚と聴覚と体性感覚という3つの情報を統合する領域であって、細かくより複雑な作業を可能にするために存在します。

 この39野と40野で文字を音声に変換するのは、この部位の本来の機能ではなく、読み書きへの応用であって、しかも学習という名の長い訓練を経た後に実現する能力です。 

 人によってはどうもこの学習がうまくいきません。時間をかけてもダメです。こういう人たちが読字障害となります。米英で10%、日本では5%が読字障害の可能性があるといわれています。この数字の違いは表音文字と表意文字という違いが影響しています。

 読字障害の人たち向けの教育方法を研究している人たちもいます。それなりに効果が上がっていますが、単に形を音に変換するのではなく、体を使って覚えます。他の機能も使って補うという感じです。39野と40野の働きを変えるというわけではありません。

 面白いのは、読字障害を持っている人は別の能力が長けていることです。空間把握能力がずば抜けていたり、異なる要素を組み合わせる創造性を有する人が多くいるようです。

 具体的には、画家のパブロ・ピカソ、自動車王のヘンリー・フォード、ディズニー映画のウォルト・ディズニー、電話を普及させたグラハム・ベル、恐竜が爬虫類より鳥類に近いこと証明したジャック・ホーナーなど。本書では独自の空間表現で設計をする建築家の藤堂高直さんをクローズアップしていました。

 彼らは39野、40野を字を読むことに使っている人とはまた違った発想と能力で仕事をしているのでしょう。もしかするとそれが39野、40野の本来の機能に近い使いかたなのかもしれません。

 文字を持った人類は文明を発達させました。読み書き能力のことをリテラシーといい、基礎的な能力だと私たちは考えています。しかし、一方で文字になじみにくい人たちは別の特殊な能力を秘めています。リテラシーを持てない人たちがその能力を発揮できる環境が整うことが両者にとって大きな利益となるのではないでしょうか。読字障害の研究に予算の割り当てがなされることを期待したいです。

(つづく)
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テーマ : 最近読んだ本
ジャンル : 本・雑誌

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情報処理系講師、フリーライター。減速生活者にしてB級遊民。

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