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『経済学の終わり 「豊かさ」のあとに来るもの』 飯田経夫

経済学の終わり―「豊かさ」のあとに来るもの (PHP新書)
飯田 経夫
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 本書は、アダム・スミス、マルクス、ケインズの経済学を紹介しながら、経済学の大きな流れを解説しています。

 アダム・スミスは神の見えざる手にゆだねた自由主義。神の見えざる手は今では市場メカニズムなどと呼ばれ、その行き着くところは拝金主義となりました。

 マルクスによる市場経済批判は的確だったと著者はいいます。アダム・スミスが死んだ後、資本主義は本性をあらわにし、100年後のマルクスにはその暗黒面が見えていた、というわけです。スミスのいうほど、見えざる手はうまく機能しなかったし、資本主義の狂気が弱者を徹底的にいじめぬきました。

 経済史的にはマルクスの後に登場するのがケインズです。

 ケインズ主義では、「完全雇用」の実現と維持とが、政府の重大な責任とされ、そのためには政府は、財政・金融のマクロ政策を中心として、大きな努力を払うことが義務づけられる。つまり、アダム・スミス流の「自由放任」では、経済は自動的に完全雇用を達成することはできないというのが、ケインズの基本的な認識であった。こうして、「自由放任」は「終焉」した。

  
 自由主義がケインズの影響を受け、福祉国家の実験が行われます。

 しかし、ケインズ主義と福祉国家とがまことに輝かしく見えた「よき時代」は、長くは続かなかった。


 著者は福祉国家を失敗したと見ているようです。うまくいっている国もあると思うのですが、なぜか失敗だときめつけます。福祉国家がよくないのは「失業と飢えの恐怖」がなくなった「労働者がやたらに文句を言ったり、サボったりするようになる」「先進国病」になるからだ、と。

 どのような国なるかは運用次第、調整方法もいろいろあるでしょう。評価も価値観によりいろいろでしょうが、著者は断定的にダメ出しをします。

 一方マルクスの思想に基づいて共産主義や社会主義の国家が次々と誕生しますが、共産主義や計画経済は自滅してしました。その理由を著者は分析していません。

 私が考えるに、そもそも共産主義には理論的成熟がないことが問題です。実際の運用において個人もしくは党の独裁になってしまいました。経済力の弱い国が資本主義の成熟を経ないで社会主義化したのも失敗の理由の一つでしょう。資本主義のいい点悪い点をしっかり把握してその対策を打ちながら次の段階へ進んでいれば、より成熟した社会体制に行き着くのではないかと思います。

 ともあれ共産主義の失敗により、自由主義社会は大喜びをし、「それ見ろ、やっぱり規制は不要だ」と新自由主義へ突き進みました。結局のところ、アダム・スミスに戻ってしまったことに、「唖然とし、呆然とする」といいます。

 では、本当に拝金主義に突き進んでいいのだろうか、というのが著者の疑問です。著者は具体的な解決策は書いていません。豊かさとは何であるかと問うばかりです。


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