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『科学的社会主義の古典入門シリーズ エンゲルス 空想から科学へ』 浜林正夫

エンゲルス 空想から科学へ (科学的社会主義の古典入門シリーズ)
浜林 正夫


 本書はエンゲルスの著作の翻訳ではありません。エンゲルスの『空想から科学へ』の解説本です。

 今さらのマルクス主義ですが、昨年末から急激に増えた派遣切りで労働者の貧困問題にスポットが当たるようになったので、ここらでマルクス主義の入門書を読んでみようと思ったものの、やはりオリジナルは読みにくいので解説書を手に取りました。

 社会主義はマルクスが最初ではありません。それに先行する社会主義がありました。とりわけ、サン・シモン、フーリエ、オーエンなどが有名です。これらは観念論を脱することが出来ず、理想をうたうだけで、階級闘争の事実に行き当たらず理論は未成熟であったので、空想的と考えられ、マルクスとエンゲルスにより批判されました。これが「空想から科学へ」の第1章です。

 それに対して、唯物論を基礎とし、世界を変化するものと捉えるべきだとエンゲルスは主張します。さらに歴史を階級闘争の歴史として捉えるべきだとして、有名な言葉を記します。「これまでのすべての歴史は、原始状態を例外として、階級闘争の歴史であった」。階級とは経済的諸関係の産物です。生産手段を持つ資本という階級と生産手段を持たない労働者という階級の闘争の歴史であるというのです。

 さらに、マルクス主義の重要な概念である上部構造、下部構造、搾取、剰余価値の説明が続きます。これが第2章です。

 ちなみに剰余価値とは不払い賃金のようなものです。昨年末から話題になっている企業の内部留保はこれにあたります。今までマスコミで話題になることのなかった内部留保が派遣切りとセットで語られたのには正直驚きました。テレビや新聞もタブーとして触れなかったのに、一挙に表に出たという印象です。

 第3章では、資本主義の基本的矛盾が指摘されます。矛盾は主に4つあります。プロレタリアートとブルジョアジーの階級対立、全社会における生産の無政府性(無計画性)、産業予備軍(失業者群)の存在、恐慌(生産力の拡大と市場の拡大の矛盾)です。そして、その矛盾の解消としての社会主義が語られます。

 本書では、さらに序文の解説とエンゲルスの生涯とその仕事についても紙数を費やしています。まさに入門用に一冊という感じです。

 最後に簡単に感想を書いておきます。

 マルクス主義は資本主義の分析に関しては見るべきものはありますが、未来の社会のあり方についてはやはり想像でしかなく、科学と呼ぶほどの根拠はありません。

 たとえば、社会主義国家では生産の無政府性を解消するために計画経済をしてみた結果、需要と供給とアンバランスを生み出しました。この点に関しては市場経済の方がよっぽどマシでしょう。かといって、生産の無駄や過度な競争にマイナス面があるのも事実です。

 市場経済のよいところを活かしながらニーズに対応する生産という新たな需給関係を探り、失業者を減らすと同時にセーフティーネットを準備すること、バブルの反動としての恐慌にならないように投機的金の動きを規制することがこれからの社会の課題です。

 さらにはプラウト経済政策(経済民主主義)のように企業が、労働者のものとなるような社会持ち株制度的なものを普及させていくことができれば、かなりの矛盾の解消となるでしょう。

 『空想から科学へ』は社会主義の実験と経る前の社会主義思想を語っています。現在の目で読み直してみると、マルクス、エンゲルスのよい点、悪い点が新たに見えてきます。社会が大きく変動する今だからこそ、あえてマルクス、エンゲルスを読む意義がありそうです。


空想から科学へ (科学的社会主義の古典選書)
Fr´ed´eric Engels 石田 精一

空想から科学へ (科学的社会主義の古典選書)
自然の弁証法 抄 (科学的社会主義の古典選書) 賃労働と資本・賃金、価格および利潤 (科学的社会主義の古典選書) フォイエルバッハ論 (科学的社会主義の古典選書) マルクス・エンゲルス 共産党宣言 (岩波文庫) 家族・私有財産・国家の起源 (科学的社会主義の古典選書)
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