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『世界金融危機』 金子勝,アンドリュー・デウィット

世界金融危機 (岩波ブックレット)
Andrew DeWit
4000094408


 リーマンショック以来、この本はよく売れているようです。

 今回の金融危機がなぜ起ったのかを多くの数字をあげて解説していて、定性的な議論に終わっていないところが特徴です。少ないページ数で把握したい人や、この未曾有の事態を冷静に捉えたい人に最適の一冊です。

 「影の銀行システム」として、銀行、証券会社は本体以外に運用会社を持ち、証券による信用創造機構を作っています。これら運用会社は、本体の連結対象外でプロ同士相対取引をしていたため、表面には出てきません。しかもFRB、SECの監督規制外でした。それが崩壊したのです。

 そのことと、証券化の手法によって、損失が確定きなくなっています。いくら公的資金を投入すれば事態が沈静化するのかがわかりません。しかもそれが世界規模で起っているのです。これは恐ろしい問題です。

 今回の金融危機の特徴として、信用バブルの崩壊と住宅バブルの崩壊が同時に起っていることがあげられます。信用収縮と景気後退の悪循環が起こり、あっという間に事態は悪化します。損失の確定ができないため、どんどん損失は拡大します。

 こういうこときには従来のマクロ経済政策をとっても効果は薄いといいます。

 たしかに金融緩和や流動性を供給すると、当面、金融機関の破綻は防げるが、金融機関が不良債権を抱えたままでは信用収縮自体を止められない。やがて再びバブルを引き起こすしか出口がなくなってしまうのだ。一方、多少の減税政策を実施しても、企業も家計も借金(債務)返済に追われているので、消費や投資の減退を止めるところまではいかない。せいぜいのところ従来のマクロ経済政策は、不良債権処理の間、景気後退を緩和するための補助的手段としてしか使えないのである。


 現在、石油の時代の限界がきています。エネルギー転換の時期にあたります。さらに「金融資本主義」の破綻が重なりました。二つの長期波動が重なった大変な時代です。しかし、著者は原油価格の高騰が続くとみています。つまり、資源インフレと資産デフレのダブルパンチだと考えていますが、これははずれました。(そういう意味では最悪ではないのかもしれませんが)

 経済予測をしている本を何冊か読みましたが、原油価格の下落を予想したエコノミストはいませんでした。消費の落ち込みは生産の落ち込みをもたらします。となれば、ガソリン需要が減少することも予測できそうなものですが、なぜエコノミストたちは原油が高騰したままだと考えたのでしょう。ちょっと不思議です。

 不動産バブルの崩壊の終わりが見えてきません。問題は10年不況となるかどうかだと著者はいいます。自動車バブルも崩壊し、不況はグローバル化します。しかし、エネルギーコストの暴騰が貿易障壁になるという予測はまたはずれています。むしろ心配すべきは保護主義でしょう。

 最後に著者は日本の将来を憂いています。

確実に言えることは、仮に覇権を失っても米国は依然として大国であり続けるだろうが、米国のブッシュ政権に追従してきた日本はひとたまりもないということである。


 さすが悲観派の雄、金子先生らしいお言葉です。

 将来を見据えた対策が立てられない今の政権のありようを見ていると、残念ながらこの言葉も真実味を増してきます。砂漠に水まきするような対策では、大きな効果は期待できません。

 オバマ氏が大統領に就任した後に、第二の崩壊が始まるかも知れません。


閉塞経済―金融資本主義のゆくえ (ちくま新書) 誰が日本経済を腐らせたか 増補版 (角川文庫) 波乱の時代 特別版―サブプライム問題を語る 強欲資本主義 ウォール街の自爆 (文春新書) 日本経済を襲うエキゾチック金融危機 (Mainichi Business Books) (毎日ビジネス・ブックス)
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