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『サブプライム問題とは何か アメリカ帝国の終焉』 春山昇華

サブプライム問題とは何か アメリカ帝国の終焉 (宝島社新書 254) (宝島社新書)
春山 昇華
4796661557


 本書はサブプライムローン問題のわかりやすい解説書です。2007年11月に発売されています。

 具体的な事例を紹介しながら、素人にもわかるように説明していますので、現在の世界金融不安、世界同時不況の入り口であるサブプライムローン(信用度が低い人向けの住宅ローン)問題がなぜ起きたのかを知りたい人にお勧めできる一冊です。

 本書を読んで一番感じたことは、関係者の無責任ぶりであり、モラルハザード(倫理の欠如)です。その原因となったのは債権の証券化と格付けといえるでしょう。

 本来、住宅ローンを貸す側の銀行や住宅ローン専門の金融会社は相手の信用度をしっかり把握しなければなりませんし、焦げ付いたときの処理もしなければなりません。とりわけサブプライムローンのような信用の低いローン(であるがゆえに高金利)は焦げ付く可能性が高いのです。しかし、住宅ローンを債権としてフェニーメイや証券会社に売ってしまえば、後のことなど知ったことではありません。(ただし、2~3ヵ月後に返済遅延が発生した場合、ローンを買い戻さなければなりません。といっても超短期です。)

 証券会社は複数の債権と組み合わせて複雑な証券化商品にして投資家に売ってしまえば、後のことなど知ったことではありません。このとき、重要なのが金融工学です。安全な金融商品という衣装をまとわせるための技術です。金融工学がリスクを覆い隠した金融商品を作ります。

 この金融商品には格付け会社がいい評価をしてくれます。格付け会社は金融証券を発行する側から手数料を受け取ります。しかも法的責任はありません。甘い評価をし、どんどん金融商品が売れれば、どんどん儲かります。

 証券化商品などの金融商品を買う側(投資家)は、ハイリターンでありながらトリプルAの評価がついた安全な商品を買ったと思い込みます。リターンのよい安全な商品があること自体が怪しいのですが、世界中で大量に購入されてしまったのです。

 住宅ローンの契約を結ぶブローカーは契約件数を増やせばどんどん儲かります。彼らはただひたすら低収入の人々に高金利の住宅ローンを組ませます。ローンそのものに手数料のやたら高いインチキなものがあったり、返済に関する説明にもいかがわしいものがあり、そのことも大いに問題でした。

 では、住宅ローンを組む側のアメリカ人たちはどう考えたのでしょうか。彼らは裕福になれればいくら借金してもかまわないのだと考えていました。日本人ならば、無理だと思うような借金でも平気でしてしまう国民性もあります。極端な場合、「自分が死ぬときに、住宅を処分して元利金を返済すれば良い。そのときまで生活が破綻しなければよい」と考えていたようです。

 もちろんこれが成立にするには住宅価格が上がり続ける必要があります。しかし、それは幻想でした。結局は、ごく当たり前に住宅価格は頭打ちになり、下がり始めました。

 サブプライムローン問題は、ここがおかしいと一点だけに問題があるというよりも全体に問題がありました。強いて理由を挙げるとすれば、無責任を促進した証券化と格付けでしょう。

 証券化して転売できるからこそ、あとのことはどうとでもなれと無責任になってしまいます。そしていい加減な格付けで、客を騙していたわけです。

 以上、かなり単純な話としてまとめてしまいましたが、本書にはもっと細かい話や問題点、関連する重要な話題もたくさんでてきます。関心を持たれた方は、ぜひご自分でお読みになってください。

サブプライム問題の正しい考え方 (中公新書)
倉橋 透

サブプライム問題の正しい考え方 (中公新書)
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ジャンル : 本・雑誌

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