スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

『論争 格差社会』 文春新書編集部編

論争 格差社会 (文春新書)
文春新書編集部
4166605224


 格差問題について言及したさまざまな論文、エッセイ、対談、鼎談などを収録しています。誰かと誰かが議論を繰り広げているわけではありませんが、格差をめぐる言論には様々なものがあることを知ることができる点は評価できるかもしれません。

 面白かった話をひろってみましょう。

 大阪大学教授の大竹文雄氏の統計分析による論文から。

 一般に資産の格差は年齢が低いほど格差は少なく、年をとるにつれて格差が広がるのですが、最近の傾向としては、30歳未満の層で格差が広がっていることが統計で示されています。これは特に若年者に広がる非正規雇用の増加による影響でしょう。

 また、高齢化により格差の大きな年齢層が増えたことで全体の格差が広がったとの指摘があります。つまり、高齢化が全体の格差を広げているというのです。

 稲葉振一郎、本田由紀、若田部昌澄の鼎談では「ニート問題」が日本では本来のイギリスでの定義を離れ、異常に数字を水増しされて問題化された事実が指摘されています。その水増しをして、一躍ニート論者として注目されたのが玄田有史氏です。

 ニートやフリーターが問題化すると、それを扱う行政法人の存在が正当化され、存続し、出版社は特集記事を組み、新書を出します。そこで執筆して儲ける人、儲かる出版者が出てきます。さらには、学会、NPO、市民運動と「ニート産業」はひろがっています。彼らにとって格差問題が食うためのネタになっているのです。(格差がないといっているのではないですよ)

 最後に、渡部昇一と日下公人の対談があまりに的外れでお気楽だったので紹介しておきます。

 対談は昔の金持ちはよかったという話に終始します。

 昔の金持ちは金持ちは簡単にできたという話では親から引き継いだ資産により利益を出すことが出来たことをことをさも金持ちの余裕ある金儲け話として語っていますが、これこそまさに機会の不平等の問題ですが、その問題性などまったく意に介さないところがすごいです。

 昔の金持ちが貧乏人の子どもを学校に入れてあげた話、戦争の出征時に多額の餞別を与えた話などを楽しそうにしていますが、最初から富の分配が適切になされていれば、施(ほどこ)しなど不要なことです。

 私などは金持ちが貧乏人に施す社会ではなく、最初から貧困を生まない社会、皆が自分の生活を支えていける社会が望ましいと思うのですが、渡部、日下両人は格差の存在を施しの美談によって正当化してしまいます。これはもう詭弁とかそういうレベルの話ではなく、価値観がまるで違うのでしょう。

格差社会―何が問題なのか (岩波新書)
橘木 俊詔

格差社会―何が問題なのか (岩波新書)
格差社会の結末 富裕層の傲慢・貧困層の怠慢 労働ダンピング―雇用の多様化の果てに (岩波新書) 日本の経済格差―所得と資産から考える (岩波新書) 論争 格差社会 (文春新書) 新平等社会―「希望格差」を超えて
by G-Tools
スポンサーサイト

テーマ : 最近読んだ本
ジャンル : 本・雑誌

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

プロフィール

Cozy

Author:Cozy
情報処理系講師、フリーライター。減速生活者にしてB級遊民。

Twitterはcozyoffです。
TwilogはCozy(@cozyoff)です。

当ブログへのリンクはご自由に。

名言集および格言集
最近の記事
最近のコメント
最近のトラックバック
月別アーカイブ
カテゴリー
FC2カウンター
ブログ内検索
RSSフィード
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。