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『微笑みを生きる <気づき>の瞑想と実践』 ティク・ナット・ハン

微笑みを生きる―“気づき”の瞑想と実践
アーノルド コトゥラー Thich Nhat Hanh Arnold Kotler
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 ヴェトナム出身の禅僧による仏教的エッセイです。タイトルには瞑想と実践とありますが、実践方法についての解説が多いわけではありません。

 ナット・ハンにおいて基本となる瞑想は「意識的呼吸」です。

 「息を吸ったら、「息を吸いながら私はいま息を吸っていることに気づいている」。息を吐きながら、「息を吐きながら私はいま息を吐いていることに気づいている」。と、こころのなかでつぶやきます。これだけの練習です。慣れてきたら、このようにながながとつぶやく必要もありません。「吸う」、「吐く」の二語で十分です。」

 「この練習をつづけてゆくと息が鎮まり穏やかになってゆき、こころと体も鎮まり穏やかになってゆきます。」

 「このように呼吸をし、微笑むだけで私たちは幸せな気持ちになります。」

 基本的な瞑想はこれだけです。簡単で効果的です。実際、やってみるとすぐに気持ちが落ち着いてきます。微笑むというのも重要なポイントのようです。

 ちなみにテーラワーダ仏教ではこれはサマタ瞑想に分類されるものです。テーラワーダ仏教ではヴィパッサナー瞑想こそがブッダの瞑想法だとしています。

 「意識的呼吸法を練習してゆくと、考えごとが減り、体全体が本当にくつろいできます。私たちは1日じゅう考えごとばかりしています。気づきの呼吸を行うと、こころが鎮まり、落ちついてきます。過剰な思考の連続から開放されて、過去の悲しみ、未来の心配事から自由になります。呼吸に戻ることによって、いまここに充足しているいのちに触れることができるのです。」

 このような効果はあるだろうと思われますし、実践しやすいのでお勧めですけど、さて、その先はどうなのでしょうか。本格的なヴィパッサナー瞑想へは進まないようなのです。

 ナット・ハン流の気づきの瞑想というべきものも紹介されています。たとえば、食事のときの気づきの瞑想。

 「食べものは私たちと大地のつながりを教えてくれます。ひと口ずつ噛みしめると、太陽と大地のいのちが伝わってきます。私たちが口にする食べものが、どれくらいその意味を明かしてくれるかは、それを口にする私たちしだいです。ひときれのパンのなかに全宇宙を見出し、味わうことだってできるのです!」

 ナット・ハンは一緒に食事をする人に気づくことや自分が食事できることは恵まれているのだと気づくことにも言及しています。

 世界とのつながりを感じたり、食事が出来ることに感謝をしたりして食事をするのは普通に考えれば素晴らしくいいことでしょうが、これは思考です。ヴィパッサナー瞑想ではありません。どう評価していいのか悩みます。

 ウォーキング・メディテーション(歩く瞑想)では、まず最初に呼吸に意識を向けます。

 「たとえば、息を吸いながら三歩、息を吸いながら三歩歩きます。「吸って、吸って、吸って。吐いて、吐いて、吐いて」とくちずさむのです。こころのなかで「吸って」とつぶやいてみると、吸う息と歩みが一体となります」

 「それから、大地とあなたの足が接する、その感触に気づいてみてください。一歩歩むごとに、そっと大地にキスするように歩きます。(略)大地のおもてに私たちの平和と静寂を返して、愛を分かち合う。そんなふうに歩くのです。」

 実際の足の状態や感触を観察するのではなく、頭の中で作ったイメージですね。やはりヴィパッサナー瞑想ではありません。ニューエージ系のメディテーション法のようです。

 気分は良くなるでしょう。リラックスもできるでしょう。いささか無味乾燥なヴィパッサナー瞑想よりも魅力があるかもしれません。続けやすいでしょう。しかし、これは仏教でしょうか。疑問を感じます。

 次は概念について。

 インタービーイング(相互共存)というナット・ハンの造語があります。いろいろなものは相互に依存しあって存在しているという考えです。

 たとえば一枚の紙があるとして、その紙が存在するには木が育つための太陽が必要で、木こりが必要で、木こりが生きるためのパンが必要で、…。と、連鎖をたどっていけばすべてが必要であることに気づくというのです。

 さらに、バラの花と生ごみも相互に支え合っていて、不浄と清浄、汚れと無垢も頭で作った対立概念に過ぎないということです。

 これは仏教の縁起説を美しく表現したものです。説明のしかたによってずいぶんとイメージが変わるものだなと思いました。

 ナット・ハンの表現には太陽とか花とか子どもとか出てきて、気分が良くなるイメージをまぶしながら説明をしてくれるので、読書をしていると気分がよくなるという利点があります。このあたりが人気なのかもしれません。

 瞑想法については疑問も呈しましたが、テーラワーダ系の厳しい瞑想実践になじめない人はナット・ハンの呼吸法とインタービーイングの気づきからはじめるのもよいのではないでしょうか。継続しやすいように思います。

 実を言うと、私はテーラワーダの瞑想を2ヶ月ばかり続けたことがあります。挫折しました。ふとしたときに呼吸を意識するというのは簡単ですし、気持ちが落ち着きます。インタービーイングの美しいイメージも楽しいものです。

 意志の弱い軟弱者にはナット・ハンの瞑想から入っていくのがちょうどいいのではないでしょうか。

Present Moment,Wonderful Moment―この瞬間がすべての幸福
星 飛雄馬

Present Moment,Wonderful Moment―この瞬間がすべての幸福
仏の教え ビーイング・ピース―ほほえみが人を生かす (中公文庫) あなたに平和が訪れる禅的生活のすすめ―心が安らかになる「気づき」の呼吸法・歩行法・瞑想法 ティク・ナット・ハンの抱擁 「気づきの瞑想」で得た苦しまない生き方 ブッダの青年への教え―生命のネットワーク「シガーラ教誡経」
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