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『江戸の道楽』 棚橋正博

江戸の道楽 (講談社選書メチエ)
棚橋 正博
4062581612


 江戸時代に流行した道楽を園芸、釣り、学問、文芸(戯作)に絞って紹介しています。面白いだけではなく、内容は詳しく、関連する話題も豊富、研究的価値もある一冊です。

 徳川の平和があったからこそ、庶民は豊かになり、道楽に没頭することもできました。平和こそ文化の基盤ということでしょう。(文明は戦争が生むのかもしれませんが)

 江戸時代は朝顔や菊がはやっていたそうです。「菊合わせ」などの品評会で勝った菊にはかなりの値段がついて取引されていました。趣味を超えて実益の意味もありました。朝顔市や菊の品評会が今でも続いているのはご存知の通りです。そういえば、歌麿の浮世絵には朝顔と遊女が描かれているのもありました。

 釣りが人気があったことは落語「野ざらし」でも有名です。将軍から庶民まで人気のあった釣りですが、仏教で禁じる殺生であるだけに背景は複雑のようです。殺生を悔やんで釣りをやめる人もいたとか。また、釣りに行くフリをして吉原に繰り出すひともいたそうです。たしかそれを題材にした川柳もあったはずですが、失念。

 学問道楽として紹介されているのは主に理系の学問です。しかし、「自然科学の分野は町人の片手間的な学問道楽ではなかなか手に負えないところがある。だからどうしても、禄を食んでの専門職の学問となっていた」とのことです。

 例外的な存在に伊能忠敬がいます。彼の場合、若い頃に商売で稼いだお金で隠居後に測量に情熱を注いだわけですが、年を取ってから私財をなげうち、このようなことに没頭する動機はどこからでてくるのでしょう。若い頃から学問好きであったとはいえ、ものすごい情熱です。

 文芸では、狂歌の流行、何人かの戯作者たちを紹介していますが、印象深いのは「むすびに」で紙面を割いている神沢杜口(かんざわとこう)です。

 若い頃から俳諧に親しんだ杜口は四十歳代で隠居した後に三十年をかけて、随筆『翁草』二百巻を書いています。「辞世とはすなわち迷いただ死なん」の句が有名です。なかなかの心境に達していたようです。八十六歳で没。

 森鴎外の『高瀬舟』は、『翁草』の中の「流人の話」を下敷きに書かれています。杜口は見聞したことや調べたことを書き残していまして、この「流人の話」も実話として記しています。

 現代語訳で読んでみますと、短いながらもじつに奥深い話で、文章は簡潔、無駄な装飾はなく、達意の名文で書かれています。
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テーマ : 読んだ本。
ジャンル : 本・雑誌

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