スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

『日本人の戦争 作家の日記を読む』 ドナルド・キーン 戦中、戦後の生々しい感情

日本人の戦争―作家の日記を読む
Donald Keene
4163715703


 戦時中の人間がどんな気持ちで過ごしていたのかを以前から知りたいと思っていたので、まさにうってつけの内容でした。ただし、登場するのは小説家たち、しかも彼らは日本国内にいて出兵していないので(ジャーナリストとして派遣されてはいても)、サンプルとしてはかなり偏っています。それでもかなりの面白さ。今年読んだ中でのナンバーワンかもしれません。

 日記が引用されるのは、伊藤整、高見順、山田風太郎、永井荷風が中心です。他にもいろいろな人の日記が登場しますが、ほとんどが彼ら4人の日記から引用です。主役といっていいでしょう。

 伊藤、高見、山田の3人はこの戦争を肯定的に見ていて、日本を応援する言葉を連ねます。戦争が長引くと悲憤と激烈な調子が交錯する文章を綴り始めます。とりわけ強烈なのは山田風太郎で、このときまだ医学生であった山田は狂信的といっていいほどの激しさで日本を賛美し、アメリカを罵倒します。敗戦後も復讐を誓うほどに心情的には皇国の士であり続けます。

 興味深いのは、高見と山田の日記に見られる、最後には日本は勝つ、という信念です。信念というよりは信仰といってもいいでしょう。天皇を現人神と信じ、神国日本の不敗を信じる姿は、今では異様とも言えますが、当時の多くの日本人が姿そのままなのでしょう。

 もちろん大本営の発表や新聞の規制による誤った情報による無知が彼らの信仰を支え続けたのでしょうが、この戦争を継続するには神国日本=日本不敗神話に対する信仰がなければ無理だったに違いありません。

 アメリカの科学文明、物質文明に対して日本の精神力が打ち勝つという構図もしばしば現れます。軍備がお粗末であっても、兵站(補給)が不足しても、精神力があれば勝てるという発想は、日露戦争の無謀な戦いに勝ってしまったことでますます強化されたのでしょう。
 
 そして、戦争を引っ張る力は統帥権ということになるかもしれませんが、その統帥権を振りかざした人たちもまた一種の信仰の中にあったわけです。

 対して荷風は自分ひとりの個人生活以外にはさほど興味がないかのようです。日記には日々の生活の苦労に対する恨み言が多く見られます。偏奇館が東京の空襲で焼け、多くの蔵書を失い、リプトン紅茶も飲めない窮乏生活に突入します。そのことで荷風はアメリカ軍を憎むことはありませんでした。馬鹿な戦争をし、生活の不便を強いる戦争指導者や目障りな特高へ恨みを強めるばかりです。まさに個人主義者にしてエピキュリアンとしての面目躍如です。

 本書は日記の引用だけで構成されているのではありません。当時の状況をキーンが解説をしています。作家たちの日記の背後には、大本営の発表や新聞ラジオの偏向した報道があり、当時の噂があり、その背後には戦争の経過についての様々な事実があります。こうした重層的な構成のおかげで日本人が体験した戦争の特性がよく見えてきます。本書の面白さの要因の一つはその辺にもありそうです。

 意外だったのは、終戦後、占領時代を描いた部分が面白かったことです。昨日までのことを忘れたようにコロリと態度を変える人々に高見や山田が怒り、反省のなさを嘆きます。そして高見順は進駐軍のアメリカ兵を見て、日本兵が占領した地域でどんな態度を取っていたかを思い出し、恥ずかしい思いををします。日本人は日本により自由を奪われていたこと、命を大切にされなかったことに思い至ります。

 東京の街にはアメリカ兵が氾濫している。どこへ行っても見かける。そして、アメリカ兵が日本人を殴っているというような、もしくは日本人に対して優越的な威嚇的な態度を取っているというような場面は、どこへ行っても見かけなかった。
 支那では、どこへ行っても必ず、日本人が支那人に威張っている場面を見かけたものだ。日本人が支那人を殴っている場面は、どこかに必ずあったものだ。
 アメリカ兵は日本人を人間として尊重している。彼等がすなわち人間として尊重されているからであろう。日本人が他民族を苛めたのは、日本人自身が日本人によって苛められていたからである。人間としての権利、自由を全く認められていなかったからである。人間の尊重ということが、日本においてはなかったからである。



 もちろん民間人を空襲で焼き殺すことや原子爆弾の投下については容認できるものではありませんし、日本人の海外に対する態度も決して一様ではなかったでしょう。しかし、兵士の一人ひとりの中にあった人間への態度に違いがあったとは言えるような気がします。

 天皇への尊敬と臣民の命の軽視は一対のものでした。天皇のために働き、国体を守ることができれば、個人が命を捧げることは名誉であると信じていました。一方、大和魂を持たないものは、人としてなっとらんのです。鉄拳制裁はそうしたなっとらん精神を叩き直すための基本中の基本でした。

 高見がこうした反省をしているとき、山田風太郎は終戦記念日を復讐記念日と呼び、こう日記に書きました。

如何に新聞がアメリカ様々を礼賛しようとも、日本青年の九割はなお一点の火を点ずれば、敢然として復讐の剣を把る決意を潜在せしめている



 戦後部分のこうした記述により本書は厚みのあるものに仕上がっています。


それでも、日本人は「戦争」を選んだ 作家と戦争―城山三郎と吉村昭 (新潮選書) 果てしなく美しい日本 (講談社学術文庫) 昭和二十年夏、僕は兵士だった 康子十九歳 戦渦の日記
by G-Tools
スポンサーサイト

テーマ : 最近読んだ本
ジャンル : 本・雑誌

『集英社版 日本の歴史8 南北朝の動乱』 伊藤喜良 触穢思想と自力救済 中世はつらいよ

南北朝の動乱 (日本の歴史)
4081950083


 太平記の時代を描いていますが、戦争部分の記述は少なく、面白みにも欠けます。もともと太平記は面白くはないというのが一般的な評価ですし、私も面白さを感じてもいないので、そのことは不満ではありません。

 せいぜい面白いと言えるのは、天皇を軽く見ているにもかかわらず、政権の正当性を得るためにはいい加減な方法で北朝を立ててしまったことでしょうか。大義名分が必要になるのは、のちの時代も同様で、どうしても人間にはそれなりの理屈が必要なようです。

 本書の面白さは、政治闘争や戦争とは別のところにあります。

 悪党や漂泊民、非人といったメインストリームからは外れた人々が多く存在して、社会を構成していたこと。とりわけ悪党が重要な立場にいた事などがそのひとつです。しかも後醍醐天皇は悪党を軍事力に使っていたわけですから、日本はかなりぐじゃぐじゃの状態であったことがわかります。

 また天皇を聖なるもの、そこから遠いものは穢いものとする触穢思想の徹底も興味深いところです。地理的に遠方にあるところほど穢れているとして、日本の外は鬼が住んでいるという世界観が確立します。日本は神国であり、夷狄を討ち払うべきであるという思想はのちのちまで続くことになります。もっとも中国に対する態度はなかなか複雑ですけど。

 死や女性の血にたいする穢れの意識もなかなかなもので、死にそうな病人が家の外に出されたり、河原に捨てられてりと今では信じられないような行動がとられていました。現代人は家で死にたいとかいいますが、当時は家で人が死ぬのは家が穢れることでした。危篤の病人を家族が見とるなんてことはなかったのかもしれません。

 書いていてもやはり信じられないところがあります。そういう意識が強い地域や階層とそうじゃない地域や階層がやはりあるんじゃないでしょうか。

 当時は警察的な組織がしっかり機能しているわけでなく、細かな事件までいちいち裁判が行われていたわけではありません。そこで出てくるのが自分のことは自分で守る自力救済です。といっても個人レベルの話ではなく、農村などの地域とか職業団体である座などのレベルでの話です。盗みなどを発端にして報復合戦に発展する村同士の紛争の話など興味深いものがありました。

 農民が支配者に対して強訴やストライキ(逃散、ちょうさん)で応じる百姓の闘争なども面白く、中世という時代を生きる人々のつらさと逞しさを感じませます。

 太平記の時代はあまり面白くないなと思っている人も、本書を読むと、当時の民衆のあり方には興味が持てるでしょう。いずれまた中世の民衆の姿を取り上げた本を読みたいと思いました。読むならやはり網野善彦あたりでしょうか。


武者の世に (日本の歴史) 日本国王と土民 (日本の歴史) 王朝と貴族 (日本の歴史) 戦国の群像 (日本の歴史) 天下一統
by G-Tools

テーマ : 最近読んだ本
ジャンル : 本・雑誌

『資本主義最終章の始まり 大恐慌2009~2010』 ラビ・バトラ 住宅投資の促進と子育て支援が○

資本主義最終章の始まり 大恐慌2009~2010
Ravi Batra
490131887X


 いつもセンセーショナルな予測で驚かしてくれるラビ・バトラの今回の予測はかなり大人しいです。平凡といってもいい内容で、面白くないので、ほぼ流し読みです。

2009-2010年 日本経済5つの予測

予測1 日本経済は最低2年間、回復しない
予測2 日本円はさらに強さを増す
予測3 日本はアメリカ国債を買わなくなる
予測4 住宅投資の促進が日本経済再生の鍵
予測5 「子育て支援」が日本再生への最短の道



 銀行や証券会社などの金融機関に支援をしている政府の対応はどこの国でも共通ですが、バトラにいわせれば、経済混乱の原因は「金融システムにあるのではなく、世界の消費者の購買力が低いこと」にあります。

 金融機関に入った金は投資に向かいミニバブルをもたらします。アメリカの現状を見ればよくわかります。中国では財政出動により株バブルと不動産バブルの真っ最中です。

 こんなことやっていて本当に経済はよくなるのかどうかと疑問を持ってしまいます。金融機関を肥やすのではなく直接消費者にお金がまわる支援をする必要があります。

 そこで、バトラが日本に提言(予測)しているのは、住宅投資の促進と子育て支援です。

住宅の需要を生み出すために、これまでの家から、さらに広い住宅、小さめのマンションからより広い部屋のマンションへ、マンションから戸建の家へと助成金やローン金利優遇、税制優遇措置などによる住み替えを促進するのだ。



 収入が右肩下がり、おまけにボーナスカットの時代に、助成があるからといって、固定費を増やす勇気のある家庭はどれだけあるだろうかという疑問はあります。液晶テレビや自動車のエコポイントならば一時的な支出ですからこの機会に買い換えておこうと思う人はいても、何十年ものローンを新たに組むものかどうか。

 ローンが払えずに不動産を手放せば、借金はチャラにするアメリカ流のノンリコースローンならば、けっこう行けるかもしれません。ただしこちらも危険はあります。アメリカのように住宅ローンが不良債権化するならば再び経済危機を招きますから、誰にどれだけかせるのか、きっちり審査しなければなりません。それもこの右肩下がりの状況での審査ですからかなり難しいはずです。

 子育て支援は基本的に正しいでしょう。国内需要が減っているのは少子化が大きな要因ですから。子どもが増えれば、広い住宅が必要になり、食費、被服費、教育費、など様々な需要が喚起されます。

日本の私立高校・大学の高額な教育費は、子どもをたくさん持つことをためらわせる大きな要因となっていると思われるので、教育費の補助、または、減税によるサポートがさらに考えられるだろう。



 ということで、バトラは民主党の政策を支持しているようです。

 人口が減れば、国内需要が減って不景気。人口が増えればいずれ飢餓や資源不足を招きます。人口問題はじつにやっかいですね。

2010年世界経済大予言―大恐慌を逆手にとる超投資戦略 2009年 断末魔の資本主義―崩壊から聡明へ 光は極東の日本から メルトダウン 金融溶解 仕組まれたアメリカ解体の真実 すでに世界は恐慌に突入したーデリバティブとドルはあと数年で崩壊する!!ー
by G-Tools


テーマ : 最近読んだ本
ジャンル : 本・雑誌

『犬を飼う』 谷口ジロー 老いた犬を見とる家族の長い日々

犬を飼う (小学館文庫)
4094150013


 生き物を飼っていてつらいのは老いと死に直面することですが、このマンガに描かれているタムタムの場合、老いてから死ぬまでの期間の長いことに驚きます。一体いつになったら死ぬのだろうというほどの驚異的な生命力で粘ります。

 自力で歩けなくなってから10ヶ月。発作を起こして寝たきりになって2ヶ月。点滴だけで1ヶ月も生きています。その間、看病や苦労は並大抵ではなく、主人公夫妻はがん患者を抱える家族くらいのつらさを味わっています。しかし、その筆致は冷静です。愛犬が死にゆく様と自分たちの対応を客観的に描いています。とくに感動を強いることもなく、記録的に徹している印象すらあります。あるいは私が冷静に読んでいるだけなのかもしれませんが。

 犬を飼う時は、犬の老後についてはあまり考えないでしょうが、本書を一度読んでおくことは覚悟を決める上でプラスになるでしょう。安易に飼い始めて、こんなはずではなかったと思っても遅いですから。もっともこれほどの苦労はレアケースでしょうけど。うちで飼っていて犬は、よろよろ歩くようになってしばらくしてら、肺炎であっさり死んでしまいました。

 このマンガは谷口ジローさんの体験した実話だそうです。谷口さんはもう生き物は飼いたくないと思いながらも、次には猫を飼っています。あれほど動物が苦しむ姿を見た後に、よく懲りないな、と思いますが、子どものいない夫婦にとってはペットがいるといないではまるで違うのでしょう。

 タイトルは「犬を飼う」ですが、こちらは50ページほど、猫と飼う話のほうが数倍分量があります。購入する際は気をつけて。

 表題の『犬を飼う』は第三七回小学館漫画賞審査委員会特別賞受賞しています。

テーマ : マンガ
ジャンル : アニメ・コミック

『まんがで読破 わが闘争』 ヒトラー 最も危険な扇動者の半生

わが闘争 (まんがで読破)
4781600115


 『わが闘争』を原作にしたマンガです。かなり簡略化されています。原作の厚さから比べると数十分の一くらいの簡略化じゃないでしょうか。

 描かれているのはヒトラーの子供時代からはじまって、ドイツの総統になるまでの半生記です。私が(比較的よく)知っているのはこの後のヒトラーですから、本書はちょうどいい補足となりました。

 やや荒いタッチで書かれた本書のヒトラーは狂気を宿した目をしていますが、同時に凄まじいほどのカリスマ性を発揮しています。かなり短いこのマンガでもその魅力の一端が伝わってきますから、まともにヒトラーを描いたら、おそらく一定数の心酔者を生み出してしまうでしょう。

 ヒトラーの伝記ってあまり見かけません。これほど歴史に影響を与えた人物ですから、読みやすく簡単なものから、深く長大なものまでいろいろな種類が出ていてもよさそうなものですが、どういうわけかほとんど見つかりません。

 その理由は「危険だから」でしょうね。

 実際にドイツ国民を心酔させ圧倒的な支持を受けたヒトラーです。今でもナチに関する制限の多いドイツにネオナチという極右の人たちがいるくらいですから、そうとうな感化力があるのでしょう。

 残念ながらというべきか、幸いにもというべきか、当時のドイツがおかれていた歴史的事情を知らず、民族間の敵愾心を知らない私たちには、ヒトラーの言葉に酔うことはできません。今ひとつ伝わらないところがあります。ですから、日本人にとってはおそらく危険度はかなり低いはずです。

 ドイツであればこんなマンガも発行できないのでしょうが、日本では読めます。しかし、手軽な伝記をあまり見かけないのはどういうことなのでしょう。自粛しているのでしょうか。それとも売れないと思われているのか。

 本書もヒトラーが総統になるまでですから、話はまだ半分。ある意味これからが本番です。ヒトラーに興味があれば、また別の本を読まなければなりませんが、ほどよい一冊が見つかりません。

 水木しげるがマンガでヒトラーを描いているようです。読んだことはありませんが、次に読むべき一冊はそのあたりになるかもしれません。


君主論 (まんがで読破) 資本論 (まんがで読破) 続・資本論 (まんがで読破) 共産党宣言 (まんがで読破) 死に至る病 (まんがで読破)
by G-Tools

テーマ : 最近読んだ本
ジャンル : 本・雑誌

『ぼくらの頭脳の鍛え方 必読の教養書400冊』 立花隆選・文庫&新書百冊

立花隆選・文庫&新書百冊

●あの戦争

101『大日本帝国の興亡(1~5)』 ジョン・トーランド ハヤカワ文庫NF
102『終戦日記』 大彿次郎 文春文庫
103『南京事件 増補版』 秦郁彦 中公新書
104『731 石井四郎と細菌戦部隊の闇を暴く』 青木冨貴子 新潮文庫
105『責任 ラバウルの将軍今村均』 角田房子 ちくま文庫
106『戦艦大和-生還看たちの証言から』 栗原俊雄 岩波新書
107『『きけわだつみのこえ』の戦後史』 保阪正康 文春文庫
108『私の見た東京裁判(上・下)』 冨士信夫 講談社学術文庫
109『石油技術者たちの太平洋戦争-戦争は石油に始まり石油に終わった』 石井正紀 光人社NF文庫
110『陸軍燃料廠-太平洋戦争を支えた石油技術者たちの戦い』 石井正紀 光人社NF文庫
111『ラジオの戦争責任』 坂本慎一 PHP新書
112『激闘マリアナ沖海戦-日米戦争・最後の大海空戦』 江戸雄介 光人社NF文庫
113『「信濃!」-日本秘密空母の沈没』 J・F・エンライト、J・W・ライアン 高城肇訳 光人社NF文庫
114『検証・昭和史の焦点』 保阪正康 文春文庫
115『東京裁判日本の弁明-「却下未提出弁護側資料」抜粋』小堀桂一郎編 講談社学術文庫

●近代日本

116『明治十年丁丑公論・痩我慢の説』 福沢諭吉 講談社学術文庫
117『日本の百年10 新しい開国-1952~1960』 鶴見俊輔編著 ちくま学芸文庫
118『日本の百年7 アジア解放の夢-1931~1937』 橋川文三編著 ちくま学芸文庫

●現代史

119『ハル回顧録』 コーデル・ハル 宮地健次郎訳 中公文庫BIBLIO20世紀
120『文化大革命十年史(上・中・下)』 厳家祺・高皋 辻康吾訳 岩波現代文庫
121『ヴァイツゼッカー』 加藤常昭 清水書院
122『昭和天皇独白録』 寺崎英成、マリコ・テラサキ・ミラー 文春文庫
123『マッカーサー-フィリピン統治から日本占領へ』 増田弘 中公新書
124『13日間-キューバ危機回顧録』 ロバート・ケネディ 毎日新聞社外信部訳 中公文庫BIBLIO20世紀
125『コルベ』 川下勝 清水書院
126『レーニン』 レフ・トロツキー 森田成也訳 光文社古典新訳文庫
127『ぽくたちは水爆実験に使われた』 マイケル・ハリス 三宅真理訳 文春文庫

●憲法

128『憲法「押しつけ」論の幻』 小西豊治 講談社現代新書

●アメリカ

129『ウィルソン 新世界秩序をかかげて』 志邨晃佑 清水新書
130『アメリカ大統領の権力ー変質するリーダーシップ』 砂田一郎 中公新書
131『好戦の共和国アメリカ-戦争の記憶をたどる』 油井大三郎 岩波新書
132『憲法で読むアメリカ史(上・下)』 阿川尚之 PHP新書
133『オンリー・イエスタティ-1920年代・アメリカ』 F・L・アレン 藤久ミネ訳 ちくま文庫
134『アメリカの軍事戦略』 江畑謙介 講談社現代新書
135『ドキュメント アメリカの金権政治』 軽部謙介 岩波新書

●軍事

136『日本は原子爆弾をつくれるのか』 山田克哉 PHP新書
137『補給戦-何が勝敗を決定するのか』 マーチン・ファン・クレフェルト 佐藤佐三郎訳 中公文庫BIBLIO
138『ブラックホーク・ダウン-アメリカ最強特殊部隊の戦闘記録(上・下)』マーク・ボウデン 伏見威蕃訳 ハヤカワ文庫NF
139『機関銃の社会史』 ジョン・エリス 越智道雄訳 平凡社ライブラリー
140『失敗の本質-日本軍の組織論的研究』 戸部良一ほか 中公文庫

●経済

141『グローパル恐慌-金融暴走時代の果てに』浜矩子 岩波新書
142『世界財閥マップ-グローバル経済を動かすパワー総覧』 久保巌 平凡社新書
143『新編 後藤田正晴-異色官僚政治家の軌跡』 保阪正康 中公文庫
144『戦後保守党史』 冨森叡児 岩波現代文庫
145『自民党戦国史(上・下)』 伊藤昌哉 ちくま文庫

●全共闘

143『安田講堂1968-1969』 島泰三 中公新書
144『東大落城-安田講堂攻防七十二時間』 佐々淳行 文春文庫
145『新左翼とロスジェネ』 鈴木英生 集英社新書

●ユニークな視点で読み解く世界史

149『旧体制と大革命』 アレクシス・ド・トクヴィル 小山勉訳 ちくま学芸文庫
150『十二世紀ルネサンス』 伊東俊太郎 講談社学術文庫
151『アラブが見た十字軍』 アミン・マアルーフ 牟田口義郎・新川雅子訳 ちくま学芸文庫
152『インカ帝国の滅亡』 J・F・マルモンテル 湟野ゆり子訳 岩波文庫
153『終わらぬ「民族浄化」 セルピア・モンテネグロ』 木村元彦 集英社新書
154『ヴァングル興亡史-地中海制覇の夢』 松谷健二 中公文庫BIBLIO
155『東ゴート興亡史-東西口ーマのはざまにて』 松谷健二 中公文庫BIBLIO
●ファシズム

156『ドイツ第三帝国』 ヘルマン・グラーザー 関楠生訳 中公文庫
157『ムッソリーニ-ファシズム序説』 木村裕主 清水書院
158『ワイマル共和国-ヒトラーを出現させたもの』 林健太郎 中公新書

●マルクス

159『マルクスと批判者群像』 良知力 平凡社ライブラリー
160『ルイ・ボナパルトのブリュメール18日-初版』 カール・マルクス 植村邦彦訳 平凡社ライブラリー

●芸術

161『奇想の図譜』 辻惟雄 ちくま学芸文庫
162『デュシャンは語る』 マルセル・デュシャン 岩佐鉄男・小林康夫訳 ちくま学芸文庫

●サイエンス

163『ラヴォアジエ』 中川鶴太郎 清水書院
164『なぜ人はニセ科学を信じるのか(I、II)』 マイクル・シャーマー 岡田靖史訳 ハヤカワ文庫NF
165『新・生物物理の最前線-生命のしくみはどこまで解けたか』 日本生物物理学会編 講談社ブルーバックス
166『物理学と神』 池内了 集英社新書
167『超ひも理論とはなにか』 竹内薫 講談社ブルーバックス
168『宇宙創成はじめの3分間』 S・ワインバーグ 小尾信彌訳 ちくま学芸文庫
169『量子力学の解釈間題-実験が示唆する「多世界」の実在』コリン・ブルース 和田純夫訳 講談社ブルーバックス
170『また・つかぬことをうかがいますが…-科学者も居留守を使う98の質問』ニュー・サイエンティスト編集部編 金子浩訳 ハヤカワ文庫NF
171『ゆかいな理科年表』 スレンドラ・ヴァーマ 安原和見訳 ちくま学芸文庫
172『科学101の未解決問題-まだ誰も答えを知らない』 ジェームス・トレフィル 美宅成樹訳 講談社ブルーバックス
173『理系バカと文系バカ』 竹内薫 嵯峨野功一構成 PHP新書
174『宇宙100の大誤解』 N・カミンズ 加藤賢一・吉本敬子訳 講談社ブルーバックス
175『系統樹思考の世界』 三中信宏 講談社現代新書
176『自己組織化とは何か第2版』 江崎秀ほか 講談社ブルーバックス
177『人体常在菌のはなし-美人は菌でつくられる』 青木皐 集英社新書
178『生命を捉えなおす-生きている状態とは何か』 清水博 中公新書
179『ファラデーとマクスウェル』 後藤憲一 清水書院

●哲学・思想

180『人はなぜ戦争をするのかエロスとタナトス』 フロイト 中山元訳 光文社古典新訳文庫
181『フロイト=ユンク往復書簡(上・下)』 W・マクガイアー、W・ザウアーレンダー編 金森誠也訳 講談社学術文庫
182『パース』 岡田雅勝 清水書院
183『この哲学者を見よ-名言でたどる西洋哲学史』 ピエトロ・エマヌエーレ 泉典子訳 中公文庫

●死

184『百万回の永訣-がん再発日記』 柳原和子 中公文庫
185『「死ぬ瞬間」をめぐる質疑応答』 エリザベス・キューブラー・ロス 鈴木晶訳 中公文庫

●仏教

186『日本奇僧伝』 宮元啓一 ちくま学芸文庫
187『名僧列伝 (一~四)』 紀野一義 講談社学術文庫
188『理趣経』 松長有慶 中公文庫BIBLIO

●趣味の本
 
189『詩を読む-詩人のコスモロジー』 谷川俊太郎 詩の森文庫
190『詩的自叙伝-行為としての詩学』 寺山修司 詩の森文庫
191『異端教祖株式会社』 ギヨーム・アポリネール 窪田般彌訳 白水Uブックス
192『宮沢賢治全集(7、8巻)』 宮沢賢治 ちくま文庫
193『謎解き・風の又三郎』 天沢退二郎 丸善ライブラリー
194『ハリウッド100年史講義-夢の工場から夢の王国へ』 北野圭介 平凡社新書
195『象は世界最大の昆虫である ガレッティ先生失言録』 ヨハン・ゲオルク・アウグスト・ガレッティ 池内紀編/訳 白水Uブックス
196『二十世紀を騒がせた本』 紀田順一郎 平凡社ライブラリー

●マンガ

197『宮崎駿の〈世界〉』 切通理作 ちくま文庫
198『ぜんぶ手塚治虫!』 手塚治虫 朝日文庫
199『マンガの深読み、大人読み』 夏目房之介 知恵の森文庫
200『つげ義春コレクション(全9巻)』 つげ義春 ちくま文庫
    

●付録・立花隆選・セックスの神秘を探る十冊

1『人間と動物の性行動』 C・S・フォード他 新思潮社
2『ヴァギナ』 C・ブラックリッジ 河出書房新社
3『ファロスの神話』 アラン・ダニエルー 青土社
4『性という[饗宴]』 伏見憲明 ポット出版
5『ヘンタイの理論と実践』 仲西敦 三才ブックス
6『何が彼女をそうさせたか』 本橋信宏 バジリコ
7『200人の女のクリトリス絶頂体験』 三井京子 データハウス
8『フロイト先生のウソ』 ロルフ・デーゲン 文春文庫
9『X染色体』 D・ベインブリッジ 青土社
10『性とはなにか』 リン・マーギュリス、ドリオン・セーガン せりか書房


本書には、部分的に書評、コメントがついていますが、ここでは書名、著者、出版社のみ抜粋しました。
どのような書物なのか、なぜリストアップされているのかについては本書をお読みください。

ぼくらの頭脳の鍛え方 (文春新書)
4166607197

テーマ : 最近読んだ本
ジャンル : 本・雑誌

『ぼくらの頭脳の鍛え方 必読の教養書400冊』 佐藤優選・文庫&新書百冊

佐藤優選・文庫&新書百冊

●思想・哲学・宗教

101『学問論』 シェリング 勝田守一訳 岩波文庫
102『西洋哲学史古代から中世へ』『西洋哲学史近代から現代へ』熊野純彦 岩波新書
103『エチカ 倫理学(上・下)』 スピノザ 畠中尚志訳 岩波文庫
104『永遠平和のために』 カント 宇都宮芳明訳 岩波文庫
105『フロレゴメナ』 カント 篠田英雄訳 岩波文庫
106『将来の哲学の根本命題 他二篇』 フォイエルバッハ 松村一人・和田楽訳 岩波文庫
107『西洋哲学史(上・下)』 シュヴェーグラー 谷川徹三・松村一人訳 岩波文庫
108『新約聖書 福音書』塚本虎二訳 岩波文庫
109『独白』 シュライエルマッハー 木場深定訳 岩波文庫
110『ヘーゲル』 城塚登 講談社学術文庫
111『善悪の彼岸』 ニーチェ 木場深定訳 岩波文庫
112『プラグマティズム』 W・ジエイムズ 桝田啓三郎訳 岩波文庫
113『笑い』 アンリ・ベルクソン 林達夫訳 岩波文庫
114『存在と時間(上・中・下)』 マルティン・ハイデガー 桑木務訳 岩波文庫
115『我と汝・対話』 マルティン・ブーバー 植田重雄訳 岩波文庫
116『啓蒙の弁証法 哲学的断想』 アドルノ・ホルクハイマー 徳永恂訳 岩波文庫
117『反哲学史』 木田元 講談社学術文庫
118『ウィトゲンシュタイン』 藤本隆志 講談社学術文庫
119『精神分析入門(上・下)』 フロイト 高橋義孝・下坂幸三訳 新潮文庫
120『玉勝間(上・下)』 本居宣長 岩波文庫
121『三酔人経綸問答』 中江兆民 桑原武夫・島田虔次訳 岩波文庫
122『現代語訳 論語』 宮崎市定 岩波現代文庫
123『現代語訳 般若心経』 玄侑宗久 ちくま新書
124『善の研究』 西田幾多郎 岩波文庫
125『イスラーム文化 その根抵にあるもの』 井筒俊彦 岩波文庫
126『環境倫理学のすすめ』 加藤尚武 丸善ライブラリー
127『相対性理論』 A・アインシュタイン 内山龍雄訳 岩波文庫
128『不完全性定理』 ゲーデル 林晋・八杉満利子訳 岩波文庫
129『パカの壁』 養老孟司 新潮新書

●戦争・歴史・天皇

130『日露戦争史 20世紀最初の大国間戦争』 横手慎二 中公新書
131『ノモンハンの夏』 半藤一利 文春文庫
132『国防婦人会 日の丸とカッポウ着』 藤井忠俊 岩波新書
133『双発戦闘機「屠龍」一撃必殺の重爆キラー』 渡辺洋二 文春文庫
134『歴史と外交 靖国・アジア・東京裁判』 東郷和彦 講談社現代新書
135『日本の戦争』 田原総一朗 小学館文庫
136『〈戦前〉の思考』 柄谷行人 講談社学術文庫
137『日本書紀(上・下)』 宇治谷孟訳 講談社学術文庫
138『謎の大王 継体天皇』 水谷千秋 文春新書
139『対論 昭和天皇』 原武史、保阪正康 文春新書
140『武士の家計簿 「加賀藩御算用者」の幕末維新』 磯田道史 新潮新書
141『ニコライの見た幕末日本』 ニコライ 中村健之介訳 講談社学術文庫
142『兵法孫子 戦わずして勝つ』 大橋武夫 PHP文庫
143『CIA 失敗の研究』 落合浩太郎 文春新書
144『日本解体 「真相箱」に見るアメリカ(GHQ)の洗脳工作』 保阪正康 扶桑社文庫
145『沖縄学への道』 外間守善 岩波現代文庫
146『嫉妬の世界史』 山内昌之 新潮新書

●国家・政治・社会

147『国家の品格』 藤原正彦 新潮新書
148『法の精神(上・中・下)』 モンテスキュー 野田良之ほか訳 岩波文庫
149『フランスの内乱』 マルクス 木下半治訳 岩波文庫
150『政権交代論』 山口二郎 岩波新書
151『日本共産党』 筆坂秀世 新潮新書
152『ユダヤ人間題によせて ヘーゲル法哲学批判序説』 カール・マルクス 城塚登訳 岩波
153『スルタンガリ工フの夢 イスラム世界とロシア革命』 山内昌之 岩波現代文庫
154『反ファシズム統一戦線 新訳』 ディミトロフ 坂井信義・村田陽一訳 国民文庫
155『コーヒー・ハウス 18世紀ロンドン、都市の生活史』 小林孝夫 講談社学術文庫
156『検証 日朝交渉』 高崎宗司 平凡社新書
157『北朝鮮に消えた友と私の物語』 萩原遼 文春文庫
158『平壌ハイ』 石丸元章 文春文庫
159『物語バルト三国の歴史 エストニア・ラトヴィア・リトアニア』 志摩園子 中公新書
160『不思議の国サウジアラビア パラドクス・パラダイス』 竹下節子 文春新書
161『米軍再編 日米「秘密交渉」で何があったか』 久江雅彦 講談社現代新書
162『拒否できない日本 アメリカの日本改造が進んでいる』 関岡英之 文春新書
163『被差別部落一千年史』 高橋貞樹 岩波文庫
164『テロルの決算』 沢木耕太郎 文春文庫
165『貧乏物語』 河上肇 岩波文庫
166『反真因 「すべり台社会」からの脱出』 湯浅誠 岩波新書
167『新左翼とロスジェネ』 鈴木英生 集英社新書
168『つぶせ!裁判員制度』 井上薫 新潮新書
169『新聞があぷない』 本郷美則 文春新書
170『教養主義の没落 変わりゆくエリート学生文化』 竹内洋 中公新書

●文学の力・物語の力

171『口語訳 古事記【神代篇】』『口語訳古事記【人代篇】』『古事記講義』 三浦佑之 文春文庫
172『新装版 源氏物語(1~7)』 今泉忠義 講談社学術文庫
173『今昔物語集(1~9)』 国東文麿訳 講談社学術文庫
174『御伽草子(上・下)』 市古貞次校注 岩波文庫
175『雨月物語〔上・下)』 上田秋成 青木正次訳 講談社学術文庫
176『四谷怪談 悪意と笑い』 廣末保 岩波新書
177『倫敦塔・幻影の盾』 夏目漱石 新潮文庫
178『ドストエフスキー 謎とちから』 亀山郁夫 文春新書

●マルクスと資本主義

179『経済学・哲学草稿』 マルクス 城塚登・田中吉六訳 岩波文庫
180『貨銀・価格および利潤』 カール・マルクス 長谷部文雄訳 岩波文庫
181『ドイツ・イデオロギー 新編輯版』 マルクス、エンゲルス 廣松渉編訳 岩波文庫
182『世界の共同主観的存在構造』 廣松渉 講談社学術文庫
183『「資本論」を読む』 伊藤誠 講談社学術文庫
184『フォイエルパッハ論-新訳』 フリードリヒ・エンゲルス 藤川覚・秋間実訳 国民文庫
185『愛と資本主義』 中村うさぎ 角川文庫
186『日本資本主義発達史(上・下)』 野呂栄太郎 岩波文庫
187『近代経済学の解明(上・下)』 杉本栄一 岩波文庫

●ビジネスパーソン仕事術

188『入門! 論理学』 野矢茂樹 中公新書
189『断る力』 勝間和代 文春新書
190『だめだこりゃ』 いかりや長介 新潮文庫
191『読書について 他二篇』 ショウペンハウエル 斎藤忍随訳 岩波文庫
192『「相対性理論」を楽しむ本 よくわかるアインシュタインの不思議な世界』 佐藤勝彦 PHP文庫
193『ビジネス数学入門』 芳沢光雄 日経文庫
194『無限と連続』 遠山啓 岩波新書
195『交渉力入門』 佐久間賢 日経文庫
196『外国語上達法』 千野栄一 岩波新書
197『世界の言語入門』 黒田龍之助 講談社現代新書
198『たのしい・わるくち』 酒井順子 文春文庫
199『打ちのめされるようなすごい本』 米原万里 文春文庫
200『ペットと日本人』 宇都宮直子 文春新書


本書には、部分的に書評、コメントがついていますが、ここでは書名、著者、出版社のみ抜粋しました。
どのような書物なのか、なぜリストアップされているのかについては本書をお読みください。

ぼくらの頭脳の鍛え方 (文春新書)
4166607197

テーマ : 最近読んだ本
ジャンル : 本・雑誌

『ぼくらの頭脳の鍛え方 必読の教養書400冊』 佐藤優選・書斎の本棚から百冊

佐藤優選・書斎の本棚から百冊

●宗教・哲学についての知識で、人間の本質を探究する

1『聖書』(新共同訳) 日本聖書協会
2『コーラン』 岩波文庫
3『精神現象学』 ヘーゲル 平凡社ライブラリー
4『唯物史観の原像』廣松渉 三新書
5『純粋理性批判』 カント 岩波文庫
6『人間的自由の本質』シェリング岩波文庫
7『論理哲学論考』 ウィトゲンシュタイン 岩波文庫
8『存在の分析(アビダルマ)』 櫻部建・上山春平 角川ソフィア文庫
9『はじめての唯識』 多川俊映 春秋社
10『歴史的現実』 田辺元 こぶし書房
11『世界史の哲学』 高山岩男 こぶし書房
12『認識と関心』 ハーパーマス 未来社
13『存在と時間』 ハイデッガー 細谷貞雄訳 ちくま学芸文庫
14『問題集』 アリストテレス 岩波書店
15『神学・政治論 (上・下)』 スピノザ 岩波文庫
16『単子論』 ライプニツ 岩波文庫
17『日本基督教の精神的伝統』 大空社 魚木忠一
18『ユダヤ教入門』 N・デ・ラーンジュ 岩波書店
19『宗教からよむ「アメリカ」』 森孝一 講談社選書メチエ
20『歴史存在論の研究』 武市健人 桜井書店
21『フランス革命についての省察』 バーク 岩波文庫
22『なぜ私は生きているか』 J・L・フロマートカ 新教出版社
23『負け犬の遠吠え』 酒井順子 講談社文庫
24『現代のヒューマニズム』 務台理作 岩波新書
25『宗教論』 シュライエルマッヘル 岩波文庫
26『認識の対象』 リッケルト 岩波文庫
27『歴史主義とその諸問題』エルンスト・トレルチ ヨルダン社
28『キリスト教史』藤代泰三 日本YMCA同盟出版部
29『第四の人間と福音』 ヨゼフ・スモリック 日本YMCA同盟出版部
30『「現代」への哲学的思惟 マルクス哲学と経済学』 滝沢克己 三一書房
31『ムッソリー二』 ロマノ・ヴルピッタ 中公叢書
32『口-マ書講解』 カール・バルト 平凡社ライブラリー

●政治・国家についての知識で、世界の現実を知る

33『中核VS革マル』 立花隆 講談社文庫
34『世界共和国へ』 柄谷行人 岩波新書
35『三つの会話』 ソロヴィヨフ 刀水書房
36『マルクス主義と民族問題』 スターリン 国民文庫(大月書店)
37『職業としての政治』 ヴェーバー 岩波文庫
38『國體の本義』 文部省教学局
39『ゴルバチョフ回想録』 ミハイル・ゴルバチョフ 新潮社
40『復興亜細亜の諸問題』 大川周明 中公文庫
41『プロパガンダ戦史』 池田徳眞 中公新書
42『アーロン収容所』 会田雄次 中公新書
43『北方領土交渉秘録 失われた五度の機会』 東郷和彦 新潮社
44『<帝国>グローバル化の世界秩序とマルチチュードの可能性』 アントニオ・ネグリ、マイケル・ハート 以文社
45『国防哲学』 蓑田胸喜 慧文社
46『謀略』 大橋武夫 時事通信社
47『国家論』 オッペンハイマー 改造文庫
48『幻滅者の社曾観』 高畠素之 大鐙閣
49『民族とナショナリズム』 アーネスト・ゲルナー 岩波書店
50『定本 想像の共同体』 べネディクト・アンダーソン 書籍工房早山
51『スパイのためのハンドブック』 ウォルフガング・ロッツ ハヤカワ文庫
52『アラビアのロレンス』 ロバート・グレーヴズ 平凡社ライブラリー
53『ロシアと現代世界』 ゲンナジー・ジュガーノフ 自由国民社
54『ナショナリズム』エリ・ケドゥーリー 学文社
55『ロックフェラー回顧録』 デイヴィッド・ロックフェラー 新潮社

●社会・経済についての知識で、われわれが置かれた制約を知る

56『資本論』 マルクス 岩波文庫
57『帝国主義』 レーニン 岩波文庫
58『経済原論』 宇野弘蔵 岩波書店
59『価値と資本』 ヒックス 岩波文庫
60『雇用、利子および貨幣の一般理論』 ケインズ 岩波文庫
61『経済学および課税の原理』 リカードゥ 岩波文庫
62『凶悪』 「新潮45」編集部 新潮社
63『野中広務 差別と権力』 魚住昭 講談社文庫
64『突破者』 宮崎学 新潮文庫

●文学についての知識で、想像力、構想力を豊かにする

65『門』 夏目漱石 岩波文庫
66『セメント樽の中の手紙』 葉山嘉樹 角川文庫
67『人間の條件』 五味川純平 岩波現代文庫
68『オイディプス王』 ソポクレス 岩波文庫
69『存在の耐えられない軽さ』 ミラン・クンデラ 集英社文庫
70『人間の運命』 ショーロホフ 角川文庫
71『林檎の木』 ゴールズワージー 角川文庫
72『死国』 坂東眞砂子 角川文庫
73『夜叉ケ池・天守物語』 泉鏡花 岩波文庫
74『カラマーゾフの兄弟』 ドストエフスキー 光文社古典新訳文庫
75『復活』 トルストイ 岩波文庫
76『花と蛇』 団鬼六 太田出版
77『かわいい女・犬を連れた奥さん』 チェーホフ 新潮文庫
78『オリガ・モリソヴナの反語法』 米原万里 集英社文庫
79『影を裁く日』 高柳芳夫 講談社文庫
80『我が心は石にあらず』 高橋和巳 新潮文庫
81『沈黙』 遠藤周作 新潮文庫
82『塩狩峠』 三浦綾子 新潮文庫
83『小説 陸軍』 火野葦平 中公文庫
84『花ざかりの森・憂国』 三島由紀夫 新潮文庫

●歴史についての知識で、未来への指針を探る

85『神皇正統記』 北畠親房 岩波文庫
86『新葉和歌集』 岩波文庫
87『太平記』 小学館
88『ロシアと∃-ロッパ』 マサリク 成文社
89『ソ同盟共産党(ポリシェビキ)歴史小教程』 モスクワ外国語図書出版所
90『おもるさうし』 岩波文庫
91『異形の王権』 網野善彦 平凡社ライブラリー
92『昭和天皇』 原武史 岩波新書
93『動物裁判 西欧中世・正義のコスモス』 池上俊一 講談社現代新書
94『近代世界システム』 ウォーラーステイン 岩波書店
95『ユダヤ人の歴史』 ポール・ジョンソン 徳間書店
96『開国 日露国境交渉』 和田春樹 NHKブックス
97『東方見聞録』 マルコ・ポーロ 平凡社ライブラリー
98『大学という病 東大紛擾と教授群像』 竹内洋 中公文庫
99『口-マ人の物語』 塩野七生 新潮文庫
100『球陽』 角川書店



本書には、部分的に書評、コメントがついていますが、ここでは書名、著者、出版社のみ抜粋しました。
どのような書物なのか、なぜリストアップされているのかについては本書をお読みください。

ぼくらの頭脳の鍛え方 (文春新書)
4166607197

テーマ : 最近読んだ本
ジャンル : 本・雑誌

『ぼくらの頭脳の鍛え方 必読の教養書400冊』 立花隆選・書斎の本棚から百冊

立花隆選・書斎の本棚から百冊

●生命科学

1『二重らせん』 ジェームス・D・ワトソン 講談社文庫
2『細胞の分子生物学』ブル-ス・アルパーツ ニュートンプレス
3『数値でみる生物学』 R・フリント シュプリンガー・ジャパン
4『パワーズオフテン』 P・モリソンほか 日経サイエンス

●物質科学

5『ファインマン物理学』 ファインマン 岩波書店
6『元素111の新知識』 桜井弘編 講談社ブルーバックス
7『生命元素事典』 桜井弘編 オーム社
 以上の二冊は座右において常に参照すべし。


●地球科学

8『宇宙をかき乱すべきか』 F・ダイソン ちくま学芸文庫
9『全地域史解読』 熊澤峰夫・伊藤孝士・吉田茂生編 東京大学出版会
10『古代文明と気候大変動』 B・フェイガン 河出文庫

●現代科学論

11『神は妄想である』 リチャード・ドーキンス 早川書房
12『科学革命の構造』 トーマス・クーン みすず書房
13『心の社会』 マーヴィン・ミンスキー 産業図書
14『人類最後のタプー』 リー・M・シルヴァー NHK出版


●心理学

15『ユング自伝』ユング みすず書房
16『元型と象徴の事典』 ベヴァリー・ムーン編 青土社


●生理学

17『ガイトン臨床生理学』 ガイトン 医学書院
18『ネッター解剖学アトラス』 ネッター 南江堂


●死

19『人間臨終図巻』 山田風太郎 徳間文庫
20『死ぬ瞬間』 キューブラー・ロス 中公文庫

●人類史・文化人類字

21『図説人類の進化』 デビッド・ランパート 平凡社
22『人間はどこまでチンパンジーか?』J・ダイアモンド 新曜社
23『ヒトは食へられて進化した』ドナ・ハート、R・W・サスマン 化学同人
24『ヒトはいかにして人となったか』T・W・ディーコン 新曜社
25『ヒトの変異』 アルマン・マリー・ルロワ みすず書房
26『心の先史時代』 ステイーヴン・ミズン 青土社
27『神の仮面』 J・キヤンベル 育土社
28『金枝篇』 フレイザー ちくま学芸文庫

●二十世紀の歴史

29『20世紀全記録』 講談社
30『わが闘争』 ヒトラー 角川文庫
31『SHOAH(ショアー)』 ランズマン 作品社
32『ニュルンベルク・インタビュー』 ゴールデンソーン 河出書房新社
33『人類、月に立つ』 アンドルー・チェイキン NHK出版
34『ベスト&フライテスト』 ハルバースタム 朝日文庫

●日本近現代史

35『米欧回先実記』 久米邦武編 岩波文庫
36『西国寺公と政局』 原田熊雄 岩波書店
37『原敬日記』 原敬 福村出版
38『回想十年』 吉田茂 中公文庫
39『昭和史の天皇』 読売新聞社編

●基礎的古典

40『聖書』 日本聖書協会
41『旧約聖書略解』 日本基督教団出版局
42『原典ユタの福音書』 日経ナショナルジオグラフィック社
43『ウパニシャッド』 湯田豊訳 大東出版社
44『プッタ 悪鹿との対話』 岩波文庫
45『中国古典名言事典』 諸橋轍次 講談社
46『無門開講話』 柴山全慶 創元社
47『イスラーム神秘主義聖者列伝』 アッタール編 国書刊行会
48『ハディース イスラーム伝承集成』 牧野信也訳 中公文庫
49『歴史』 ヘロドトス 岩波文庫

●数学

50『オイラーの贈物』 吉田武 ちくま学芸文庫
51『数学---その形式と機能』 ソーンダース・マックレーン 森北出版
52『ガロアの生涯』 インフェルト 日本評論社


●哲学

53『形而上学』 アリストテレス 岩波文庫
54『パンセ』 パスカル 中公文庫
55『方法序説』 デカルト 岩波文庫
56『ツァラトゥストラ』 ニ-チェ 中公文庫
57『永遠平和のために』 カント 岩波文庫はか
58『論理哲学論考』 ウィトゲンシュタイン 岩波文庫ほか
59『プラグマティズム』 W・ジェイムズ 岩波文庫
60『新しい学』 ヴィーコ 法政大学出版局

●政治学・法学

61『国家』 プラトン 岩波文庫
62『プラトンの呪縛』 佐々木毅 講談社学術文庫
63『君主論』 マキアヴェッリ 岩波文庫
64『職業としての政治』 ウェーバー 西島芳二訳 角川文庫
65『自由の条件』 ハイエク 春秋社
66『開かれた社会とその敵』 ポパー 未来社
67『アレオパジティカ』 ミルトン 岩波文庫
68『コンメンクール篇 日本国憲法』 (『法律学体系』所収) 宮澤俊義 日本評論社
69『正義論』 ロールズ 紀伊国屋書店
70『エリック・ホッファー自伝』 エリック・ホッファー 作品社

●共産主義思想

71『ユートピア』 トマス・モア 岩波文庫
72『国家と革命』 レーニン ちくま学芸文庫ほか
73『共産党宣言』 マルクス、エンゲルス 岩波文庫
74『革命家の教理問答書(カテキズム)』 ネチャーエフ(『バクーニン著作集』白水社などいろいろあり)
75『十六の墓標』 永田洋子 彩流社

●日本思想

76『言志四録』 佐藤一斎 講談社学術文庫
77『西郷南洲遺訓』 岩波文庫
78『日本改造法案大網』 (『北一輝著作集』みすず書房所収など) 北一輝
79『國體精華乃發揚』 上杉慎吉 洛陽堂

●世界文学

80『オイディプス王』 ソポクレス 岩波文庫ほか
81『変身物語』 オウィディウス 岩波文庫
82『アーサー王物語』 マロリー 筑摩書房
83『ガルガンチュアとパンククリュ工ル』 ラブレー ちくま文庫
84『赤と黒』 スタンダール 新潮文庫はか
85『マルチの手記』 リルケ 岩波文庫ほか
86『闇の奥』 コンラッド 岩波文庫
87『魔の山』 トーマス・マン 新潮文庫ほか
88『審判』 カフカ 新潮文庫ほか
89『北回帰線』 ヘンリ・ミラー 新潮文庫
90『荒地』 T・S・エリオット 大修館書店

●日本文学

91近松門左衛門
92松尾芭蕉
93萩原朔太郎
94『死霊』 埴谷雄高 講談社文芸文庫

●ファンタジー・SF

95『すばらしい新世界』 ハックスリー 講談社文庫
96『2001年宇宙の旅』 アーサー・C・クラーク ハヤカワ文庫SF
97『はてしない物語』 ミヒャエル・エンデ 岩波少年文庫
98『タイムマシン』 H・G・ウェルズ 角川文庫
99『100万回生きたねこ』 佐野洋子 講談社
100『風の谷のナウシカ』 宮崎駿 徳間書店

本書には、部分的に書評、コメントがついていますが、ここでは書名、著者、出版社のみ抜粋しました。
どのような書物なのか、なぜリストアップされているのかについては本書をお読みください。

ぼくらの頭脳の鍛え方 (文春新書)
4166607197

テーマ : 最近読んだ本
ジャンル : 本・雑誌

『系統樹思考の世界』 三中信宏 古因学とアブダクションと系統樹

系統樹思考の世界 (講談社現代新書)
4061498495


 著者が本書で問題にしているのは、物理学のような典型的な科学とは違う科学、たとえば歴史学であり進化生物学です。それはヒューウェルが定義した古因学の定義に当てはまるような科学でもあります。

 「古因学」に分類されるためには、「過去の事象に関する因果法則」を追求するという研究目的が共有されていることがただひとつの条件です。


 古因学の対象は、生物、非生物を問いません。言語も活字も電気製品も古因学に含むことができます。

 そこで使われる推論の手法は、演繹でも帰納でもなく、アブダクション(最良の説明への推論)であり、時間軸を含めて図像化すれば系統樹になります。

 では、アブダクションとはなんでしょうか。

 理論の「真偽」を問うのではなく、観察データのもとでどの理論が 「より良い説明」を与えてくれるのかを相互比較する  アブダクション、すなわちデータによる対立理論の相対的ランキングは、幅広い科学の領域(歴史科学も含まれる) における理論選択の経験的基準として用いることができそうです。
 第三の推論様式としてのアブダクションは、さまざまな学問分野において、”単純性(「オッカムの剃刀」)”とか ”尤度”あるいは”モデル選択”というキーワードのもとに、これまでばらばらに論じられてきました。しかし、将来的には統一されていくだろうと私は推測しています。


 アブダクションはなかなか危険な論理で、形式的には論理学でいう後件肯定の誤謬に等しいものです。当然このような推論を採用すればそれはもはや科学ではないとの反論はあり得るでしょう。少なくとも厳密な意味での科学ではない、と。

 著者は従来の典型的な科学にもこんなことをいいます。
 

 直感的あるいは日常的な意味での「真」あるいは「偽」ということばは、私たちに強くアピールするものがあります。「それは真実だ」と言われれば、つい納得してしまう人は少なくないでしょう。しかし、論理学における「真」とか「偽」という表現は、日常的な用法よりはるかに強い意味をもちます。それは他の可能な仮説や説明との比較を必要とせず、データのみに基づいてある仮説や説明の真偽を判定しているからです。
 一方、現実の科学の現場では、得られたデータに照らし、ある仮説や主張がどれくらい妥当なのか、対立仮説と比較してその仮説を受容できるのかどうかが大きな問題です。データに基づいて、ある科学的仮説が「真」あるいは「偽」であることをテストするのは、かぎりなく困難だと言わねばなりません。
 科学では、仮説の論理学的な意味での「真偽」を判定しているのではなく、データに支えられた範囲での仮説間の相対的比較をしているのだと考えたほうが、実際により近いと私は考えています。これはデータに基づく推論とみなせます。


 こういう科学観の持ち主がアブダクションを受け入れることはさほど抵抗のない、むしろ自然なことなのでしょう。

 さて、系統樹。

 起源(オリジン)から始まる多様性への変化を時間軸に沿ってその発生を枝分かれとして図像で描けば、系統樹になります。そしてむろん古因学的な科学の対象を図像で表現すれば系統樹になります。

 本書の多くの部分は、この系統樹の豊かさを語ることに費やされています。

 しかし愕然とするような事実が語られます。系統樹的思考では「祖先子孫関係」は原理的に不可知であるというのです。系統樹を使った推論の方法はきちんと数学的に整理されていますが、本当の姿は不可知です。

 さらにやっかいなのは、系統樹はツリー構造であり、ネットワーク構造(網構造)の一部であることです。たとえば、生物の進化は系統樹で表しますが、実際の血縁関係、親子関係は系統樹では表現できません。ひとりの子供から見れば親は複数いるのです。つまりネットワーク構造になっています。

 対象を細かく分析すればするほど、系統樹ではなくネットワークで問題を解く必要がありそうです。

 最後に、ジョセフソン夫妻が定式化したアブダクションの推論様式を以下に紹介しておきましょう。

推論様式

 前提1 データDがある。
 前提2 ある仮説HはデータDを説明できる。
 前提3 H以外のすべての対立仮説H'はHほどうまくDを説明できない。
 結 論 したがって、仮説Hを受け入れる。


 アブダクションによりある仮説がベストであると判定されるための諸条件

 (1)仮説Hが対立仮説H'よりも決定的にすぐれていること。
 (2)仮説Hそれ自身が十分に妥当であること。
 (3)データDが信頼できること。
 (4)可能な対立仮説H'の集合を網羅的に比較検討していること。
 (5)仮説Hが正しかったときの利得とまちがったときの損失を勘案すること。
 (6)そもそも特定の仮説を選び出す必要性があるかどうかを検討すること。



分類思考の世界 (講談社現代新書) 知の分類史―常識としての博物学 (中公新書ラクレ 236) 「分ける」こと「わかる」こと (講談社学術文庫) 分類という思想 (新潮選書) 生物系統学 (Natural History)
by G-Tools

テーマ : 最近読んだ本
ジャンル : 本・雑誌

『『おくのほそ道』をよむ』 堀切実 なぜつまらないのか。なぜ嫌いなのか。

『おくのほそ道』をよむ (岩波ブックレット―クラシックスと現代)
4000032283


 なかなか面白いのにタイトルで損をしています。

 大学の期末試験でのアンケートをもとに『おくのほそ道』を分析していますが、そのアンケートの内容がなんと

Ⅰ『おくのほそ道』-そこがつまらない
Ⅱ芭蕉-そこが嫌い

 というもの。

 1993年当時、大学の卒論で松尾芭蕉を選ぶ学生が激減。江戸ブームといっても人気があるのは西鶴や秋成の散文や歌舞伎。俳句短歌は人気がなかったそうです。

 私立A大学国文科三年生を相手に『おくのほそ道』の演習をやっても結果はおもわしくなく、この期末試験の暴挙となったそうです。

 嫌われる理由の主なところを上げておきましょう。

Ⅰ『おくのほそ道』-そこがつまらない
 
 虚構性へのアレルギー(虚と実のあいまいさ、旅の臨場感に欠ける、日程上のズレが気になる)
 構成上の欠点(焦点のなさ、こま切れ的、後半部の単調さ、結末のつまらなさ)
 古典の教養に依存した文章であること
 文章がオリジナリティに欠けること
 レトリックの過多
 文章へのアレルギー(省略表現、文のリズムが一定しない、文体がかたい)
 ”人間”が出ていないこと(人間味が薄い、人との交渉が少ない、人物描写が少ない、曽良が生かされていない、女性の登場が少ない、人物描写が類型的)
 文学的な味わいに欠けること(旅情の乏しさ、旅の楽しみがない、旅の目的が不明確、文学的ストーリー性がない、意外性がない)


Ⅱ芭蕉-そこが嫌い
 
 独善的人物像にみえること(自己を絶対視する 思い込みの強さ 脱俗の不徹底)
 偽善者のイメージがあること(ポーズとしての清貧、超俗の姿勢の自負)
 情緒的な麺での魅力のなさ(センチメンタル 孤独感 漂白感 修行者像 寿貞とのかかわりかた)
 性格的な面での魅力のなさ(非常でクール もったいぶり 優柔不断 外交辞令的態度 えこひいき)

 とにかくひどい言われようです。あまたある『おくのほそ道』関連本の中でここまで否定的に書かれたものはありません。ここまで赤裸々に読者の不満をさらしたものもありません。

 かくいう私もかなりの部分で同意します。たしかに『おくのほそ道』はつまらないです。冒頭部分のパクリはともかくとして、漂泊の思いがどんな旅を招くのかと期待しましたが、始まってみれば、なんのことはないつまらない紀行文なのです。

 芭蕉の人間性に共感することもありませんでした。ポーズとしての清貧、超俗の姿勢の自負なんて批評は芭蕉にはかなり痛いものでしょう。しかもけっして的外れではありません。

 日本を代表する名著をコテンパンにした予想外に面白い本です。

 ちなみにGoogle日本語入力で、「おくのほそ道」を変換しようとすると「奥の細道」がサジェストで表示されます。正解は「おくのほそ道」。多くの人が「奥の細道」と入力して検索したのでしょう。間違ったことを提案してくるのは使っている日本人の多くが間違っているから。これもまた悲しい事実です。


おくのほそ道(全) (角川ソフィア文庫―ビギナーズ・クラシックス)
角川書店
4043574029

テーマ : 最近読んだ本
ジャンル : 本・雑誌

『漢字廃止で韓国に何が起きたか』 呉善花 反面教師に学ぶ漢字の大切さ

「漢字廃止」で韓国に何が起きたか
4569695183


 かつて別の本で発表した文章を2つあわせて一冊にしています。購入されるときはご注意ください。

 読んだのは前半の「Ⅰ 漢字廃止・ハングル専用政策の災禍」のみ。どうやらネット上のコピーで以前に読んでいたようなのですが、まさか同じ内容とは知らずに読み始めて、途中で気がついきました。でも面白かったので最期まで読んでしまいました。それほど面白い。

 韓国が国の政策で漢字を廃止してハングルだけで読み書きをした結果、どんな問題が起こったかをつづっています。これは日本語をすべてひらがなにした場合に起こる問題でもありますから、日本に置き換えて考えると身にしみて理解できます。

 日本以上に同音異義語が多い韓国では、音だけではわからない熟語ばかりが増えて、本を読んでも理解できないという困った状態になりました。とりわけ概念を表現する抽象的な言葉は音からだけでは意味がつかみにくいため、一般の韓国人は論説文は読めないそうです。

 漢字が読めないので漢字混じりの過去の書籍は当然読めません。図書館にある本のほとんどが読めません。

 その結果、どうなったのか。

 一般に知的な関心は低く、国民一人あたり年間平均読書量0.9冊という、惨憺たる知的荒廃が生み出されている。「国民全体が文盲のどん底に陥った」というのは、けっして大げさな言葉だとばかりはいえないのである。


 著者によると韓国人は抽象的な思考ができないといいます。歴史に問題について論じてもまともな議論にはならず、感情的な言葉ばかりが出てくるのはその影響もあるのだとか。

 著者は日本語の優れている点は訓読みにあるといいます。同じく漢字をとりいれたベトナムや韓国と違い日本には訓読みがあるおかげで漢字を自国の文字のように理解できるようになり、本来の日本語も訓という形で残すことができました。このあたりのことは他の日本語の成立について書いた本にもよく出てきますから、ほぼ定説ですが、そのことの重みが実感として理解できます。

 では、韓国も漢字を復活させればそれでいいのかというと、ことはそう簡単ではないようです。韓国が漢字を復活させてもそれだけでは上手くいかないと著者はいいます。相変わらず抽象語はまるで外国語のようにして理解する必要があり、日本人のように漢字を自国の言葉のようには理解出来ないといいます。この問題を解決するためには韓国語にも訓読みを取り入れることが必要だと著者はいいます。もちろんそれは困難な道ですけど。

 本書の魅力は日本語の良さが再認識できることです。漢字を含む日本語の豊かさを理解し、大切にしようという気になれます。

 本書の後半はどうでもいい内容ですが、前半部分は読む価値はあります。


韓国:倫理崩壊1998‐2008―社会を蝕む集団利己主義の実情 日本語と漢字文明―漢字を受け入れ、仮名をつくった独創性 韓流幻想―「夫は神様」の国・韓国 (文春文庫) 日本の曖昧力 (PHP新書) 帰化日本人―だから解る日本人の美点・弱点
by G-Tools

テーマ : 最近読んだ本
ジャンル : 本・雑誌

『散歩もの』 久住昌之原作,谷口ジロー画 中野ブロードウェイの屋上には日本庭園がある

散歩もの (扶桑社文庫)
4594060803


 マンガです。しかも短い。

 孤独のグルメをさらにゆるくストーリー性を薄くしたような感じです。それじゃつまらないだろうと予想されますが、その通り。やはり孤独のグルメにはかないません。

 とはいえ、ゆったりとした日常の散歩の味わいをよく表現していますし、やはり谷口ジローの絵が素晴らしいです。

 しかし、一番面白かったのは、久住昌之の「あとがきにかえて」。

 中野ブロードウェイの屋上を写真を添えて紹介しています。意外にも屋上には直線距離100メートルの庭園になっていて、池のある日本庭園もあります。犬を散歩させる住人などがいて驚きます。ただし住民以外は立入禁止です。そういう意味ではとても貴重な写真です。

 中野ブロードウェイの上はマンションになっていて、かつてはジュリーこと沢田研二、元東京都知事の青島幸男などが住んでいたとか。これまた意外です。


犬を飼うと12の短編 (ビッグコミックススペシャル) サムライ・ノングラータ 父の暦 (ビッグコミックススペシャル) センセイの鞄 1 (アクションコミックス) ブランカ (ビッグコミックススペシャル)
by G-Tools

テーマ : 最近読んだ本
ジャンル : 本・雑誌

認知の歪み12パターン 昔はこれでも適応的だった

大人のための健康法 (角川oneテーマ21)
4047100552


 精神科医・和田秀樹氏は『大人のための健康法』の中で「心の健康に悪い思考パターン」を紹介しています。先行する記事でうつのメカニズムについて書いたついでにこの思考パターンを紹介したいと思います。

 和田氏は「心の健康に悪い思考パターン」と書いていますが、一般には「認知の歪(ゆが)み」といわれているものです。うつや神経症の心理療法として有名な認知療法で提出された概念です。

 認知療法では、次のような過程で感情が生じるとしています。

 出来事や外界→認知(出来事や外界に対する解釈)→感情

 人間は出来事や外界をそのまま客観的にとらえているのではなく、一度自分で認知して解釈をします。そしてその認知内容にたいして感情的な反応をします。

 うつ病などの精神疾患になりやすい人は、認知の仕方に問題があり、間違った推論、おかしな思考をしていて、それが自分自身を苦しめていると見ています。このおかしな認知を「認知の歪み」といいます。

 和田氏は『大人のための健康法』の中で12の認知の歪みをあげています。

■二分割思考
互いに相反する極端な二通りの見方で物事を判断し、「中間の灰色部分」がない。

■過度の一般化
ある特定のできごとを、多くのできごとのなかの単なる一つとして見ないで、人生における一般的な特徴であるとみなす。

■選択的抽出
複雑な状況にある特定の側面に注意を注いでしまい、その状況に関係のある他の側面を無視する。

■肯定的な側面の否定
否定的な人生観と相反するような肯定的な経験を「たいしたことではない」などと言って否定する。

■読心
それを支持するような証拠がないのに、他人が特定の(例えば否定的な)反応をしていると思ってしまう。

■占い
将来のできごとに対する否定的な予測を、まるで確立された事実のようにとらえて反応する。

■破局視
将来生ずる可能性のある否定的なできごとを事実関係を正しく判断してとらえるのではなく、耐えることができない破局のようにみなす。

■縮小視
肯定的な特徴や経験が、実際に起きたことは承知しているのに、とるに足らないものと考える。

■情緒的理由づけ
感情的な反応が必ず実際の状況を反映していると考える。

■「~すべき」という言い方
「~すべきである」、「~しなければならない」という言い方が、動機や行動を支配している。

■レッテル貼り
ある特定のできごとや行為に言及するのではなく、自分自身に大雑把なレッテルを貼ってしまう。

■自己関連づけ
他の数々の要因が関連しているのに、自分こそがある特定のできごとの原因であると考える。


 いかにも不合理なものが並んでいますがが、人間の長い歴史から見ると、これらの中には人間の生存に役立ったものが多くあるのではないかと推測できます。人間は長い間、外敵との争いが絶えず、食料の不足に悩んできたはずです。即座の判断を迫られることが多く、じっくり考えるよりも経験則で判断することで対応していたのではないでしょうか。

 敵か味方かを判断することが重要な生活では二分割思考は大切です。ある体験から学んで危険を回避するには過度の一般化が必要です。ある出来事をじっくり分析検討するよりもすばやく経験から学ぶなら選択的抽出もいい方法でしょう。

 そう考えると、適応的であったという意味での合理性があるのではないかと思われます。科学的な意味での合理性ではなく、これで生き残ったのだからいいだろうという結果論的な一種の合理性です。

 もうひとつ取りあげてみましょうか。

 今ある外敵を防いでも次にどんな危険があるかもしれず、今満腹しても次の食料にありつけるかどうかもわかりません。何かが上手くいってもそれで喜んで満足はしていられません。次々に苦難がやってくるのはむしろ当たり前の生活だったのでしょう。その場合、成功を喜んで悦に入っているよりも、肯定的な側面の否定をして冷静でいる方が有利です。

 それでは彼らはうつだったのでしょうか。そうではありません。うつになるには自己注目が持続する必要がありますが、彼らはそんな反省的自意識などあまり持たなかったでしょう。それにいつも危険や飢え、生活の不便さに即応しなければならないのですから、外部に意識を向けて生活する必要があります。自己注目の持続など起こりにくい生活だったはずです。 

 文明が発展するどこかの段階でこれらの認識方法は適応から不適応へ、機能的から非機能的へと変わっていったのでしょう。それに応じて近代的な意味での合理的な思考へとみずからの思考の歪みを正していけばいいのでしょうが、それはなかなか困難な道です。人間はもともとそんなに合理的ではないのですから。少なくとも生まれつき合理的というわけにはいきません。

 もしかするとそれなりの教育を受けたとしても自らの思考を改善できる割合はほんの少しかもしれません。いや、こういうネガティブ思考はやめておきましょう。


こころが晴れるノート―うつと不安の認知療法自習帳

こころが晴れるノート―うつと不安の認知療法自習帳
こころの自然治癒力―自分を回復させる力の高め方 (こころライブラリー) うつと不安の認知療法練習帳 うつ・不安に効く~7つのステップ 気持ちを軽くする携帯式認知療法 こころのエクササイズ つらい気持ちを楽にする38のアイデア (こころライブラリー) こころが軽くなる気分転換のコツ (だいわ文庫)
by G-Tools

テーマ : うつ病(鬱病)、メンタルヘルス
ジャンル : 心と身体

『ネガティブ・マインド』 その3 「うつ」を回避する方法

ネガティブ・マインド―なぜ「うつ」になる、どう予防する (中公新書)
4121020197


 うつを回避するために著者が勧める方法はなんと「気晴らし」です。

 気晴らしとは「他のことを考える、または何かの活動に従事することにより、問題から注意をそらすこと」です。気晴らしの対象というのがあってそちらに意識を向けることが重要です。

 何も考えないようにする思考抑制とは違うことに注意してください。落ち込むようなことできごとや考えがあって、それを考えないようにすると、かえって考えてしまうことになります。思考抑制は逆効果です。

 考えてみればこれは当たり前のことです。意識とはつねに何かについての意識ですから、他に意識の対象を与えずに、たんに考えないようにすることはとても難しく、何か雑念が湧いてくるのが普通です。気にかかることがあれば、当然それが脳裏に浮かんでくるでしょう。この活動に意識を向けるべきとはっきりと対象を設定して誘導する「気晴らし」こそが理にかなっています。

 しかし、何が一番有効な気晴らしかは単純には決められないといいます。それでも、比較的有効なのは「運動」だそうです。平凡な結論でがっかりですが、『脳を鍛えるには運動しかない!』でも詳細に語られたように、やはり「運動」は肉体にも精神にもいいのです。

 自己注目の仕方を変えるということも「うつ」対策になります。

 そのポイントは、うつの心理学的研究で知られるようにうつを助長させる推論の誤りをしないことです。具体的には、「恣意的推論」「選択的注目」「過度の一般化」「拡大解釈と過小評価」「個人化」「完全主義的・二分法的思考」を避けることです。これらの思考がどんなものかは別の記事で紹介したいと思います。

 著者はネガティブ思考を修正する具体的な方法について述べていますが、これらは一般的なうつの本に書いてあるのと同じです。

 推論の誤りを直すこと、つまりネガティブ思考の修正には時間がかかりますし、難しくもあります。このことは知っておいた方がいいでしょう。やはり気晴らしが一番手軽なようです。

 不思議なのはうつのメカニズムを逆手にとって、ポジティブな方向に回転させる方法を著者が提言していないことです。たとえば、楽しいことを思い出す、自分のよい面を意識的に想起する、などです。

 もっとも、平常時ならともかく、楽しくないときに楽しいことを思い浮かべることは案外難しいのかもしれません。やはり運動がもっとも手軽で効果的ということでしょうか。

 (おわり)

テーマ : 最近読んだ本
ジャンル : 本・雑誌

『ネガティブ・マインド』 その2 「うつ」が持続するメカニズム

ネガティブ・マインド―なぜ「うつ」になる、どう予防する (中公新書)
4121020197


 自己注目が持続することでうつは憎悪すると書きましたが、そのメカニズムは単純ではありません。いろいろな機能が複合的に関与しているようです。

■完全主義

 完全主義者はうつになりやすいという話はよく聞きます。しかし、完全主義のどこが悪いのでしょうか。

 自己志向的完全主義尺度には、四つの下位尺度があります。それは「完全でありたいという欲求」「自分に高い目標を課する傾向」「ミスや失敗を過度に気にする傾向」「自分の行動に漠然と疑いもつ傾向」の四つです。

 驚くべきことに「完全でありたいという欲求」「自分に高い目標を課する傾向」の二つにはうつとの関連性はありません。問題なのは「ミスや失敗を過度に気にする傾向」「自分の行動に漠然と疑いもつ傾向」の二つで、とりわけうつとの関連が深いのが「自分の行動に漠然と疑いもつ傾向」です。

 「自分の行動に漠然と疑いもつ傾向」とは、次の質問に「あてはまる」と答える人です。「注意深くやった仕事でも、欠点があるような気がして心配になる」「何かをやり残しているようで、不安になることがある」「納得できる仕事をするには、人一倍時間がかかる」「念には念を入れる方である」「戸締まりや火の不始末などは、何回か確かめないと不安である」。うつよりも心配性といったイメージではないしょうか。

 つまり、うつになり易いのは、完全主義というよりも、ミスや失敗を気にしていて、心配性で疑心暗鬼になるタイプということです。
 
■内在他者

 坂本氏は自分に高い要求を課するのは内在他者があるせいだといいます。内在他者とは、他人の視点(人の目)や価値観を自分の中に取り込んで、内在化した他者のことをいいます。

 この内在他者がミスを許さない厳しいものであれば、うつを憎悪させる原因となります。また、内在他者の形成には親の影響が大きいといいます。


■気分一致効果

 気分一致効果とは、気分に一致する記憶や判断や行動が促進される現象をいいます。明るい気分のときは、明るいことを思い出し、明るい考えを持ち、明るい積極的な行動をします。逆に、暗い気分のときは、暗い過去の出来事を思い出し、暗い考えを持ち、暗い消極的な行動をします。

 気分が暗い時に暗い音楽を聴くと、共感によるカタルシスが起こって、すっきりすることもあるはずですが、気分一致効果全体としてみれば憎悪する面が多いのかもしれません。あまり暗い気分に浸るのは危険ということですね。


■自己確証

 人間は自分についてのイメージ=自己概念を持っていて、その自己概念を維持しようとします。そのため、自己概念と一致することを考えたり行ったりして、自分が自分であることを確かめます。これを自己確証といいます。

 もう少し専門的ないいかたをすると、「自己概念を確証、確認してくれる社会的現実を求め、実際の社会環境と自分の心の中にそれを作り出すように行動したり解釈したり」します。

 自分はダメだと思っている人は、その自己概念に一致するような自己評価を求め、自分でもダメだと考え、ダメな自分らしい行動をし、ダメな自分らしい環境を欲するというわけです。


■自己成就的予言

 自己成就的予言とは、「人がこのようなことが本当にあるだろうと予期すると、無意識のうちに予期に適合した行動をとっていしまい、結果として予期された状況を作り出してしまうプロセス」です。

 著者は、石油ショック時のトイレット・ペーパー騒動や教育者の子供に対するピグマリオン効果を例にあげています。
 
 しかし、うまくいくと思えば必ずしもプラスに作用するとは限りません。試験に受かりそうだと楽観していると勉強しないので逆に落ちてしまい、試験に落ちそうだと心配すればかえって勉強して受かるということもあります。このように悲観的な考え方を動機づけに使うことを対処的悲観主義といいます。

 非行少年には楽観的な子どもが多いという話を聞いたことがあります。「このままではまずい」と考えることも人間には必要なようです。

■自己発生的態度変容

 自分が好意を持つ相手のことを考えているとますます好きになって「あばたもえくぼ」になります。嫌いな相手のことを考えているとますます嫌いになって「坊主憎けりゃ袈裟まで憎い」となります。

 このような現象を自己発生的態度変容といいます。

 自己発生的態度変容が自分自身に向かえば、好きな自分がますます好きになり、嫌いな自分がますます嫌いになります。


■認知的不協和

 自己確証や自己発生的態度変容が発生する背後には認知的不協和があるのではないかと著者はいいます。

 認知的不協和とは、自分の考えに合わない現実や考えを不快に感じることです。矛盾を不快に感じることといってもいいでしょう。

 ダメな自分のうまくいった体験は認知的不協和を発生させますから不快です。そこで「自分の成功など大したことない」と考えることで認知的不協和が解消されます。

 ダメな自分の失敗は認知的不協和を発生させませんから、「ああ、やっぱり自分はダメだ」とそのまま受け入れられます。



 以上のような、いろいろなメカニズムがあることを知ると、一度悪循環に陥るとなかなか抜け出せないことがわかります。うつは持続しやすく、憎悪しやすいのです。

 では、どうやったらその悪循環から抜け出せるのでしょうか。

 (つづく)

テーマ : 最近読んだ本
ジャンル : 本・雑誌

外事警察 第4話「裏切り」 あと2回で収束できますか?

 昼間、録画しておいた海外ドラマの「24」を見てしまい、外事警察とつい比べていました。24に比べると、さすがに外事警察はずいぶんとのんびりした展開に見えます。緊張が足りないし、アクションも足りない。そもそもアクション中心のドラマではないので、比べてはいけませんね。

 さて、外事警察もついに内部分裂というか、オモテ(ゼロ)とウラの対立に発展してきました。ゼロとは、警察庁警備企画課理事官倉田(遠藤憲一)が管理する全国公安警察を仕切る秘匿組織のことらしいのですが、どうも両者の関係がいまいちわかりません。

 倉田が直接指揮できるゼロ、住本の勝手で動くウラ、ということは言えるかもしれません。そして住本は倉田の頭を飛び越えて警視庁警備局長・有賀正太郎との結びつきが強い。

 松沢陽菜(尾野真千子)が住本に愛想を尽かし、かねてより協力してくれと言われていた倉田に近づき、 愛子(石田ゆり子)を正式の協力者として登録し、自分に運営させてほしいといいます。

 そして、オモテとウラの対立となるわけですが、事態は緊迫し、テロ組織に近づきつつあるこの時に、公安内部でこのようなことをしていて、一体どうなってしまうのかー、と思わせる展開です。

 ストーリーを複雑化させて、はたしてうまく話を回せるのか、心配です。日本のドラマって比較的単純な話が多いので、もしやストーリー展開で失敗するのではないかと不安がでてきました。

 いろいろな対立をうまくさばけるのか、鮮やかな終息に持っていけるのか。脚本家の手腕が気になってきました。

 松沢に「お母さんとダブリますか」と心の傷をえぐられた住本。彼の心の問題もどう決着をつけるのでしょうか。

 なにしろあと2回ですからね。名作となるか凡作に落ちてしまうのか、あと2回で決まります。

 心配してもしょうがない。見事な着地を期待して見続けることにしましょう。

テーマ : ドラマ感想
ジャンル : テレビ・ラジオ

『ネガティブ・マインド なぜ「うつ」になる、どう予防する』 坂本真士 これが「うつ」のメカニズムだ

ネガティブ・マインド―なぜ「うつ」になる、どう予防する (中公新書)
4121020197


 社会心理学者、坂本真士氏の「うつ」研究をまとめた一冊です。本来、うつは精神医学や心理学や研究対象ですが、社会心理学的にアプローチしたところが斬新です。

 以前、同氏の『自己注目と抑うつの社会心理学』を読んだことがあり面白かったので手に取ったのですが、本書は新しい研究が含まれていて、手軽に読める新書形式なので、お得感があります。

 坂本氏は、うつの原因は自己注目=自己に向いた注意の持続にあるといいます。氏の分析では、次の3段階を経て自己注目の持続=うつに至ります。

 1.自己注目の始発=うつが生じるきっかけ

 なんらかの刺激や出来事への反応して自己注目が始まります。たとえば、自分が近づいたら会社の同僚が話をやめたという出来事があり、「私が来たから話をやめたのだ。なにかまずいことをしたのかな」と自分に注意を向ける自己注目がはじまります。

 2.自己注目の作動=うつの発生

 貯えられていた自己に関する情報がアクセスされ、意識に上り、そこから感情が生じる段階です。その情報とは、過去の記憶、信念として持っているあるべき自分のあるべき姿などです。そして意識された内容がネガティブな場合、うつ的になります。たとえば、過去に仲間外れにされた記憶や、いつも仲間に受け入れらなければならないといった信念です。

 3.自己注目の持続=うつの憎悪

 自己注目が持続することでうつは憎悪します。うつ的な気分で自己注目をすればますますネガティブな自分へ注目が集まって、うつは持続します。

 では、どういう人が自己注目を持続させ、うつになるのでしょうか。

 まず、自分ひとりでいる状況で自己注目しやすく、ポジティブ状況で自己注目しにくいタイプです。つまり、「ひとりで家にいるとき」「暇で何もすることがないとき」に「自分について考えることがある」のに、いいことがあっても自分のことを考えない、自分のいい面を見たり、感じたりしない人です。

 面白いのは、ネガティブな出来事があった時に自己注目をする人のうつレベルは平均的であったことです。坂本氏の分析では、ネガティブな出来ごとに遭遇した時に、自分に注目し反省する人は、日本では謙虚であると考えられ、人に受け入れやすいのではないかということです。

 完全主義や非機能的態度も危険だといいます。非機能的態度とは、うつを発生させるような考え方を生み出すもととされています。たとえばこんな考えの持ち主です。「もし私がミスをしたら、私は人から軽く見られるだろう」「常にうまくやっていなければ、人々は私を尊敬しないだろう」「私の愛する人が私を愛してくれなかったら、私には何の価値もなくなる」「他の人に嫌われたら、私は幸せではありえない」…。

 こういう考え方というのは、ある種の向上心をもたらすかもしれませんが、しかし、いつも願いどおりにいくわけではありません。ましてや人がどう思うかなど自分でコントロールできるわけもありません。こんな考えを持ち続けるといつかは失敗する、日常生活は機能しないという意味で非機能的です。そこに完全主義が加われば、さらに事態は悪化するはずです。

 また、自己没入尺度の高いひともうつになりやすくなります。自己没入尺度とは「自分へ注意が向きやすく、自分に向いた注意を持続させやすい傾向」を測るものです。つまりは、もともと自己注目しやすいタイプです。

 以上をまとめると、もともと自分へ注意が向きやすいタイプで、ひとりになると自分について考える人、完全主義で、自分へ無理な要求をする人(非機能的態度)は、うつになる危険性が高いといえます。

 (つづく)

テーマ : 最近読んだ本
ジャンル : 本・雑誌

『戦国時代の大誤解』 鈴木眞哉  信長は桶狭間で奇襲攻撃はしていない

戦国時代の大誤解 (PHP新書)
4569659403


 在野の研究者、鈴木眞哉氏による歴史の意外な事実集。

 軽く読めて、「へえ、そうなんだ」と思える情報が満載。ライトな歴史好きに最適の一冊です。

 在野の研究者という立場のためか、歴史学会の常識にこだわらず、歴史学の重鎮には気を使わず、疑問に思ったことを気楽に表明し、新発見をどんどん披露するのは、一般歴史ファンにはありがたいことです。

 歴史というのは従来の歴史観の上にただ新事実が付け加わるだけでなく、それまでの常識がくつがえる面白さというのもあります。本書の楽しさはその常識がくつがえるところにあります。

 また、歴史の研究書はほとんど読まず、小説、ドラマ、映画から知識に頼っている人は創作された歴史を当たり前のように思っていますが、本書は歴史書に書かれたことと講談本などの影響で作られた歴史の違いを指摘しているので、目からうろこが落ちる体験もできるかもしれません。

 ただ、多くの事例を取り上げたため、個々の事例の記述が短く、きちんと検証を書いていないため、あまりにライトな仕上がりになっています。本気度の高い歴史ファンからは低い評価を受けそうです。実際、アマゾンの評価では散々のようです。

 私もケチをつけておきましょう。ある個所では『甲陽軍艦』を信頼できない資料としておきながら、別の個所では同じ資料を根拠に語っています。このような都合のよい資料の使い方は信頼性をそこないます。

 そんなこともあって、あくまでのライトファン向けです。気楽な読み物として接するのがいいようです。

 私が面白いと感じたところをいくつか紹介しましょう。

 今川義元を織田信長が打ち取った桶狭間の戦い。『信長公記』には、今川義元は上洛をしようと侵攻していたとは書かれていないそうです。普通の地域紛争のひとつではないかと著者はいいます。信長が奇襲したというのも怪しい。正攻法で戦ったと『信長公記』にはあるそうです。

 本能寺の変での明智光秀のセリフ「敵は本能寺にあり」。これを記した信頼できる資料はないそうです。多数の兵を前にして突然言うなんて、状況にもあっていないし、いかにも芝居っぽいセリフですから、私もリアリティは感じていませんでした。

 そして同じく本能寺での信長のセリフ「是非に及ばず」。こちらは解釈の問題への疑義を表明しています。従来は信長が死を覚悟していったのだとの解釈が多いようですが、実際はこのあと信長は応戦への指示を出し、自らも戦っているのだから、「つべこべ言わずに戦え」という意味だと指摘しています。これは大いに同意します。部下の誰かが光秀への非難の言葉を述べたり、あれこれ推測をしたりしたのかもしれません。そこで信長が「この場でいい悪いを言ってもしょうがない。まずは戦え」という意味のことをいったのでしょう。

同じ著者の『刀と首取り』は面白いです。
戦国武将・人気のウラ事情 (PHP新書) 戦国史の怪しい人たち―天下人から忍者まで (平凡社新書) 刀と首取り―戦国合戦異説 (平凡社新書) 戦国15大合戦の真相―武将たちはどう戦ったか (平凡社新書) 軍需物資から見た戦国合戦 (新書y)
by G-Tools

テーマ : 最近読んだ本
ジャンル : 本・雑誌

『ぼくらの頭脳の鍛え方 必読の教養書400冊』 立花隆,佐藤優

ぼくらの頭脳の鍛え方 (文春新書)
4166607197


 ジャーナリストの立花隆と元外務省の佐藤優による対談形式の読書案内です。

 各自200冊のブックリストをあげていますが、その特徴について。

 立花氏は、新しい科学の本を多くあげています。古典とか文学とか読んでもしょうがない。新しい科学こそが原題の教養だ、という考えです。

 カントの『純粋理性批判』をニュートン的世界観だからダメだといいます。アインシュタインの相対性理論が登場してからは、「カント流のアプリオリな判断形式は成り立たないのが現実世界」だ、と。

 立花氏は宗教、共産主義、精神分析学関係の本などもブックリストにあげていますが、それは素晴らしいからあげているのではなくて、現実世界に影響を与えたからであって、立花氏自身はそれらには否定的です。

 文学も読む必要なしといってますが、ブックリストにはいくつか上がっています。しかし、文学として楽しめというのではなく、日本語として優れているとか、そんな理由です。

 佐藤氏は熱心なキリスト教徒なので、キリスト教関係の本がたくさんブックリストに入っています。宗教、哲学、日本の古典文学などを批判的な意味でなくあげているのも立花氏との違いです。

 両者に共通しているのが、歴史、政治です。歴史はおもに近代史、現代史。立花氏が日本のそれに偏っているのに対し、佐藤氏は世界に目を向けています。それは今までの経歴からも予想できることです。立花氏は日本の新左翼運動を分析した『中核VS革マル』や日本の政治の中枢にいた田中角栄を追及した『田中角栄研究』を書いていますし、佐藤氏は外務省でロシアを担当していました。それが読書傾向にも反映しているようです。

 対談の内容としては、それほど面白いわけでもありません。所詮人の書いた本を紹介しているだけですから、過度な期待はしないほうがいいでしょう。それよりも佐藤優の語る裏話やちょっとしたエピソードが面白いです。

 拘置所で隣の房には連合赤軍の坂口弘がいたといいます。その元赤軍は死刑囚でありながら模範囚であり、拘置所内で影響力があったそうです。まわりが極道雑誌の「実話時代」などを読んでいる中、彼が読んでいたのは歴史や哲学で、佐藤が借りたハーバーマスに興味を持って自分も借りていたとか。このエピソードは細部が面白いのでぜひ読んでみてください。

 麻生邸見学ツァーで雨宮処凛の仲間が三人公務執行妨害で逮捕されて、どうにかしたいと佐藤優にメールをしてきて、佐藤は雨宮と電話で相談。そこで佐藤は鈴木宗男に電話して助けてやってください、と。すると鈴木は元警察犬量の亀井静香に連絡して3人を釈放させたとか。

 読書の話よりこういう話のほうが面白かった。

 現在、400冊のブックリストをテキスト化しています。そのうちこのブログに掲載します。

テーマ : 最近読んだ本
ジャンル : 本・雑誌

坂の上の雲 第1回 「少年の国」 歴史に残る傑作かもしれない

 渡辺謙のナレーションからはじまるオープニングから滂沱の涙(オーバーだ)。途中でも泣き、ラストも泣きました。予想外の素晴らしいできでした。

 予告編もたいしたことないし、どうせがっかりさせられるだけだと思いながらも鑑賞開始。はじまったらもう釘付けの展開でした。

 原作の文章をそのままナレーションにしたのは正解。司馬遼太郎の言葉が生きていました。司馬作品を映像化したのだという感激がこみ上げてきました。

 映像もよく作られていますし、プロットにゆるみがありません。あの長編を映像化したのですから、ゆるみようがないですが、それでもよく作ってあります。

 子ども時代もよかったし、東京に出てからの兄弟の生活もよかった。貧しい生活の中にあっても、精神が生き生きとしています。そういう部分をうまく脚本が捉えているし、演出もツボを押さえていました。

 以前『坂の上の雲』の感想をブログに書いたときには、あまり褒めませんでした。なにしろ戦闘場面が長くて退屈なところが数百ページもあります。明治時代は資本主義が発達する中で、女工哀史のような暗い部分もあるのに、ほとんど書かれていません。坂の上の雲だけを見つめるのはいかがなものかと思いました。

 しかし所詮は小説。明治という時代の一側面を描いたに過ぎません。今回は割り切って楽しもうと思いました。

 今後の展開については心配もあります。長編ドラマ、とりわけ長編の歴史物は途中で失速することが多いのです。成長物語は面白くても、大人になってからの展開、ある程度の地位についてからの展開は高揚感を失いがちです。そこをどう乗り切ることができるか。注目したいと思います。

 最後に、ひとつ文句をつけておきましょう。十代の若者を本木雅弘、香川照之、菅野美穂が演じるのはいささか苦しい。阿部寛は子役二人を経て登場したので、違和感がありませんでした。時間軸の長い長編だから大目に見るべきところですけどね。


坂の上の雲〈1〉 (文春文庫)

坂の上の雲〈1〉 (文春文庫)
坂の上の雲〈2〉 (文春文庫) 坂の上の雲〈3〉 (文春文庫) 坂の上の雲〈4〉 (文春文庫) 坂の上の雲〈5〉 (文春文庫) 坂の上の雲〈6〉 (文春文庫)
by G-Tools

テーマ : ドラマ感想
ジャンル : テレビ・ラジオ

プロフィール

Author:Cozy
情報処理系講師、フリーライター。減速生活者にしてB級遊民。

Twitterはcozyoffです。
TwilogはCozy(@cozyoff)です。

当ブログへのリンクはご自由に。

名言集および格言集
最近の記事
最近のコメント
最近のトラックバック
月別アーカイブ
カテゴリー
FC2カウンター
ブログ内検索
RSSフィード
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。