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『肉声 太宰治』 山口智司

肉声太宰治
山口 智司
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 太宰治生誕100年ということで、出版ブーム、映画ブームとなっています。

 私も若い頃は太宰はけっこう読みました。主要作品で読んでいないのは「右大臣実朝」くらいです。おそらく全作品の8割は読んでいると思います。

 さすがに今では距離を置いて見てしまいますが、そういう覚めた目から見てもやはり面白い小説家であり、人間です。

 太宰の小説の面白さはどこにあるのか。

 太宰治は私小説を書いた人のように思われがちですが、じつは違っていて、実際に体験したことを題材にしていても、かなり脚色しています。このあたりの事情は二度目の妻である津島(石原)美知子のエッセイ『回想の太宰治』に詳しく語られています。

 だから嘘なのかと言えば、そうではなく、真実を明確にし、面白くするために脚色であり、描かれたものは事実ではないけれど小説的真実というものです。真実と面白さを共存させるための虚構。そこに太宰の面白さの要因の一つがあります。

 太宰治は小説中の主人公と作家がかなり近いために、その人物像もどこまでが事実でどこからが虚構なのか不明です。有名なエピソードの数々はまさに太宰の作品のように鮮やかに人物像を描いています。

 本書は、そうした太宰のエピソード。とりわけ太宰治自身が実生活で発した言葉を拾い集めています。ここに集められた手紙や口頭での発言は、太宰の小説の主人公のように太宰的です。芝居がかっていたり、オーバーであったりで、普通の生活人の発言ではありません。まさに太宰治そのものです。 

 読み進むうちに思うことは、ここに太宰治の真実があるというよりも、意識的に太宰治という人物が演じられているのではないかという疑惑です。

 それが本書の面白さであり、奇妙な深みを感じさせる所以でもあります。
 
 つい先日、「太宰治物語」というテレビドラマを見ました。太宰治役は、豊川悦司。美知子婦人を寺島しのぶ、太田静子を菅野美穂、山崎富栄を伊藤歩が演じました。

 太宰とはちょっとイメージの違う豊川ですが、この作品のセリフは実話からとったものが多く、なるべく太宰を忠実に再現しようとする意思を感じました。人物像を知りたい人にはお勧めです。ただもう少し病気による死への傾斜を丁寧に描いてもよかったのではないか、と思いますが。

 まだ読んでいない「右大臣実朝」を読みたくなってきました。


>回想の太宰治 (講談社文芸文庫 つH 1) 文豪ナビ 太宰治 (新潮文庫) 文芸別冊太宰治 (KAWADE夢ムック 文藝別冊) 走れメロス (新潮文庫) 太宰治検定公式テキスト (-旅をしようよ!「津軽」-)
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テーマ : 最近読んだ本
ジャンル : 本・雑誌

『グーグル革命の衝撃 検索があなたの人生を変える』 NHK取材班

グーグル革命の衝撃 (新潮文庫)
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 NHKスペシャル「“グーグル革命”の衝撃 あなたの人生を“検索”が変える」の書籍版です。

 テレビ放送に比べてこの書籍版は情報量が多く、グーグル幹部へのインタビューも掲載されていて、盛沢山です。グーグルの誕生物語からはじまり、グーグルの現在、未来まで網羅しています。

 グーグルは二人の学生が出会い、独自の検索システムを生み出し、ページのランキング手法を生み出し、広告と連動させることで商業化に成功しました。

 コンピュータが自動で収集したウェブ情報、その膨大な量のデータから瞬時に検索結果を導き出すのは、グーグルの数十万ともいわれるコンピュータが連携したネットワークの仕事です。流行の言葉で言えば、クラウド・コンピューティング。

 広告事業で商業化に成功したグーグルは、広告の新しい形態を次々と生み出し、あらゆる媒体の広告事業に乗り出しています。

 しかし、その検索が企業の生死を握るほどに重大な意味を持っているにもかかわらず、アルゴリズムは不明です。検索結果にどれだけの客観性のがあるのか、グーグルの恣意性がどれだけ繁栄しているのか、まったくわかりません。

 一企業の検索結果が政治的、思想的な偏向を生み出しはしないのか、疑問は残ります。具体的には、中国での検索結果のフィルタリング問題があります。

 グーグルの具体的な影響力ももちろんですが、その壮大な目標に圧倒されます。

 グーグルは、あらゆる情報(文字、映像、動画)をあらゆる言語で検索できることを目標にしています。あらゆる情報には、個人の情報、検索履歴、なども含まれ、そのデータを元にエージェント的なサービスを行い、広告と連動させようとしています。

 個人の情報、それはその人自身の記録や記憶までもがグーグルに蓄積され、検索可能になるのです。しかも本人が特定の情報を欲しなくても、過去のデータを参照することでエージェントが働き、その人に有用な情報を提供しようとします。

 もちろんこれはamazonが一部実現していますし、NTTドコモのサービスにもその一端が見られます。ただ、グーグルの場合、情報の蓄積が膨大であるうえ、本人の承諾があれば、あらゆる個人情報が蓄積しようと考えています。

 その具体的な結果がどうなるのか、興味深いことであると同時に、そら恐ろしくもなります。

 私自身もグーグル検索は頻繁に利用しています。グーグルのない生活は考えられないくらいです。

 しかし、危惧を覚えると同時に楽観もしています。いくらグーグルのシェアが大きいといっても、他の検索サービスだってあります。yahoo!でもMSNのbingでも十分な検索が可能です。グーグルだけが検索技術を独占しているわけではありません。グーグルが危険なら他のサービスを使えばいいだけのことではないでしょうか。

 Windowsマシンを買えば、最初はIEを使い、検索はbingがデフォルトです。検索革命はまさに衝撃と言ってもいいでしょうが、グーグルがすべてを支配することにはならないような気がします。


グーグルに依存し、アマゾンを真似るバカ企業 (幻冬舎新書) ザ・グーグルウェイ グーグルを成功へ導いた型破りな戦略 ヤクザが店にやってきた―暴力団と闘う飲食店オーナーの奮闘記 (新潮文庫) 僕が2ちゃんねるを捨てた理由 (扶桑社新書 54) グラーグ57〈下〉 (新潮文庫)
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『カンパニーオブヒーローズ』と依存症にならない自分

例の戦争ゲームのその後。

あれからすぐに焦燥感はなくなりました。ゲーム内容が把握できるとすぐに落ち着きましたので、おそらく、ゲームを把握したい早く理解したいという気持ちが軽い焦燥感として表れたのではないかと推測しています。それと脳がゲームの刺激に慣れたことも大きいかもしれません。

脳が刺激を欲する、慣れてくれば、脳がより強い刺激を欲する。楽しい経験、夢中になった経験をするとその体験を繰り返す期待が増し、それもまた脳を刺激する。

そんな風にして依存症は形成されていきますが、以前何かの本で紹介したように、もともと快感を感じにくいタイプの人は通常の生活からは快感が得られないために、強い刺激のギャンブルや薬物への依存へと走るようになります。

おそらく自分は快感の感じ方は平均的ではないかと思います。ですから、そんなに強い刺激を求めないし、依存症にはそうならないタイプだと思います。

ゲームに慣れたからと言って、それが不満となり、より強い刺激のゲームをしたいとも思いません。次々と刺激の強いゲームを求めるなんてことはありません。むしろ刺激が強いとちょっと不安になるようです。興奮性の強さにそんなに価値を認めないというようなところがあります。

他の例だと、お酒。私の酒量は多くありません。学生の頃は吐くまで飲んだりもしましたが、今では食膳に軽く飲んで、ほろ酔いでやめてしまいます。吐くほど飲むのはバカな行動だとしても、酒を楽しむならもっと飲んでもよさそうですが、私はなぜかあっさりと飲むのをやめてしまいます。

もちろん刺激がいらないわけではありません。そこそこは欲しい。しかし、そこそこ感じられればそれでいい。耽溺するようにより強い刺激を求めようとは思わない。

私は多趣味な方だと思います。でも、飽きやすいので、趣味がコロコロ変わります。そのあたりにも淡白さを感じます。一時的に夢中にはなりますが、そこそこまでやると飽きてしまう。これは性格かもしれません。

しかし、こういう性格というか反応はわりと普通なはずです。そう簡単に依存症になるのなら、世の中依存症だらけになってしまいます。やはりブレーキがかかる仕組みがあるのでしょう。それがむしろ自然な状態であると。

となると、これは性格と呼ぶよりも、自然は心の働きであって、それがきちんと働いている状態は「正常」と呼ぶべきかもしれません。

依存症にならないのはむしろ正常である、と…。そうなのかなあ。

依存症 (文春新書)

依存症 (文春新書)
やめたくてもやめられない脳―依存症の行動と心理 (ちくま新書) 苦しいけれど、離れられない 共依存・からめとる愛 依存症がよくわかる本―家族はどうすればよいか? 依存症溺れる心の不思議―酒、薬、ギャンブル、買い物…なぜやめられないのか? (KAWADE夢新書) 脱常識の家族づくり (中公新書ラクレ)
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テーマ : ゲーム
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『きれいに地デジを映す本―意外と簡単デジタルTV対応 』 高木誠利,能登尚彦

きれいに地デジを映す本―意外と簡単デジタルTV対応 (電波の世界で遊んでみようseries)
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 地デジを見るためには、地デジチューナーを買うか、地デジチューナー内蔵のテレビに買い換える必要があります。それにUHFのアンテナも立てなければなりません。

 すべて電気屋さんに任せてしまう人はともかくとして、少しでも節約したい人は、アンテナくらい自分で何とかならないかと考えるはずです。しかし、自分で何とかするには基本的知識と具体的方法を知らなければなりません。

 そこで本書です。本書には、自分でアンテナも立てようと考えている人向けに、基礎知識から具体的手順まであれこれと書いてあります。

 屋根の上にアンテナを立てるのはちょっと無理でもベランダにマスト(ポール)を立てたり、ベランダ設置型のアンテナならば、わりと簡単にできます。

 おそらく本書を参考にすれば特に問題もなく解決するでしょう。

 そういう意味ではお勧めの一冊なのですが、基礎知識部分がちょっとばかり専門的です。TSの仕組みとか位相変調とかまで書いてあります。

 また、地デジオンリーの事例ばかりが詳しくて、地デジとBSを両方扱うケースがほとんど載っていません。地デジとBSを別々のケーブルでつなぐ図が載っていますが、1台のテレビならともかく、複数のテレビに分配するには、このやり方では無理です。

 どうやってケーブルを一つにまとめるのか。BSアンテナへの電源供給はどうするのか。分波はどうするのか。いろいろ考えるべきことがあります。構成によっては全端子から電気を供給しなければならないし、一端子だけ流せばいい場合もある。ブースターを使えばブースターから電気は供給されます。

 そのあたりのことがほとんど触れられていないのはほんとに残念です。最初は一台のデジタル対応テレビしか買わないにしても、いずれ各部屋にデジタルテレビが入るはずです。BSだって見るでしょう。そういうニーズに応えて欲しいものです。

 最近は、ブースターと分配器が一体になった機器も出ているようです。これを使えば、地デジ、BS、CSを簡単に一本にまとめて、多分配を実現できますが、ちょっと価格が高いようです。ウェブで調べてもこの方法について言及しているところがありませんでした。ブースターと分配器が別々というのが今は主流のようです。

 ちなみにわが家ではリビングのテレビだけデジタルで、自前でアンテナを立てて、地デジとBSを別ケーブルでつないで見ています。2年以内に自分の部屋もデジタル化しなければなりません。どういう方法が合理的か、私も研究したいと思います。


地デジTV用プリアンプの実験―弱い信号を増幅して快適に受信しよう。遠くの局も狙える! (プリント基板付き電子工作解説書シリーズ) 地デジ完全ガイド’09年版 (マキノ出版ムック) いまこそ地デジを始めたい! (三才ムック VOL. 248) 図解入門 よくわかる最新デジタル放送の基本と仕組み―基礎から学ぶデジタル放送技術 (How‐nual Visual Guide Book) 地デジがまるごとわかる本 (100%ムックシリーズ)
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テーマ : 最近読んだ本
ジャンル : 本・雑誌

映画 『何がジェーンに起ったか?』

何がジェーンに起ったか? [DVD]
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 はじめて観たベティ・デイビスの映画がこれです。もちろん名前だけは知っていました。かつて「ベティ・デイビスの瞳」があって、どんな美人女優かと思っていましたから。それが…。

 ジャンルとしてはサイコ・サスペンス。そして二大女優の主演。

 ベティ・デイビスが演じるのは、かつて子役スターベビー・ジェーンとして人気者だったジェーン・ハドソン。ジョーン・クロフォードが演じるのは、姉のブランチ・ハドソンです。妹ジェーンの人気がかげった後、姉ブランチの人気が出てきて、立場が逆転します。しかし、ある日、ブランチが事故で下半身不随になります。何者かに自動車をぶつけられたかのように見えますが…。

 月日は流れ、老年となった姉妹二人の生活が映し出されます。車椅子生活のブランチは妹ジェーンに多くを頼って暮らしています。しかし、ジェーンはなにかとブランチにつらく当たり、それが徐々にエスカレートしていきます。

 主演の二大女優は年老いた姉妹を演じています。とりわけジェーンを演じるベティ・デイビスは老醜をさらけ出し、狂気じみていて、過去の栄光への思いが立ちがたく、すさまじい執着と勘違いぶりを見せてくれます。

 日本の女優は年をとってもこんな役はやらないでしょう。しかもおそらくは監督の期待以上に演じきっています。この役者魂、女優根性は見上げたものです。ハリウッド映画もなかなか奥深いです。

 そして、肝心のストーリーも見事。よくできています。わくわく、はらはらするサスペンスが続き、衝撃のラストへとまったくゆるみがありません。

 間違いなく傑作映画です。

 ジョーン・クロフォードもいいんですが、ベティ・デイビスの怪演が強く印象に残ります。まさか「ベティ・デイビスの瞳」が歌っていたのは、このときのベティ・デイビスじゃないでしょうね。

 モノクロ時代のこういうしっかりした映画を見ると、映画本来の面白さとは何なのだろうと考えさせられます。SFXも嫌いじゃありませんが、しっかりしたストーリーはやはり必要です。


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CD 『男と女-TWO HEARTS TWO VOICES- [Best of]』 稲垣潤一

男と女-TWO HEARTS TWO VOICES-
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 稲垣潤一と多数の女性歌手とのデュエット集。

 べつに稲垣潤一が好きなわけではありませんが、amazonを見ていたら、コメントも多く評判がよかったので聞いてみました。

 曲目リスト
1. Hello, my friend(松任谷由実/1994年7月27日)/ 高橋 洋子
2. 悲しみがとまらない(杏里/1983年11月5日)/ 小柳ゆき
3. あなたに逢いたくて (松田聖子/1996年4月22日) / 松浦 亜弥
4. Piece of my wish(今井美樹/1991年11月7日)/ 辛島 美登里
5. セカンド・ラブ (中森明菜/1982年11月10日) / YU-KI from TRF
6. サイレント・イヴ(辛島美登里/1990年11月7日)/ 大貫 妙子
7. あの日にかえりたい(荒井由実/1975年10月5日)/ 露崎 春女
8. 人生の扉(竹内まりや/2007年5月23日)/ 白鳥 英美子 with 白鳥 マイカ
9. 木綿のハンカチーフ(太田裕美/1975年12月21日) / 太田 裕美
10. 秋の気配(オフコース/1977年8月5日) / 山本 潤子
11. ドラマティック・レイン(稲垣潤一/1982年10月21日) / 中森 明菜


 なかなかの選曲(カッコ内はオリジナルの歌手)とメンバーじゃないでしょうか。

 なんといっても、小柳ゆきと歌う「悲しみがとまらない」がかっこいいです。ハーモニー的にその音程で歌うのはどうだろうという部分もありますが、でも小柳ゆきのかっこよさは異常。この曲だけでも聴いて欲しいです。

 「セカンド・ラブ」が稲垣潤一の歌唱にじつにハマっています。YU-KIとのデュエット部分もいいのですが、これはソロでも歌ってもらいたいほど。楽曲のよさが引き出されています。

 「あの日に帰りたい」の露崎春女。この人、知りませんでしたけど、いい声をしています。歌いっぷりも見事です。低音部分はぞくぞくします。

 私としては一番期待したのが「木綿のハンカチーフ」。手紙のやり取りのようなこの歌詞。当然、太田裕美と稲垣とで歌い分けるものだと思っていたら、ワンコーラスずつ歌ってます。なんという期待はずれ。でも、曲としてはよく仕上がっていて悪くありません。でも、なんでこういう割り振りにしたのでしょう。理解できません。

 「ドラマティック・レイン」の中森明菜が暗い。瞬間的にフラットしているような気も。それでも出来はいいです。

 曲、アレンジ、歌唱、すべてにおいてレベルの高いアルバムです。


男と女2 バラードベスト 悲しみがとまらない 男と女2 Special Edition(カラオケCD付2枚組) STANDARDS3(DVD付)
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『ロジカル・コミュニケーション 誰でも論理的に話せる』 安田正

ロジカル・コミュニケーション
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 本書は(論理的に)わかりやすく伝える技術を教えようとしています。

 その技術のよい点は2つあります。ひとつは目指すべきポイントが単純であること、ふたつめは、それがあまり難しくない方法であることです。

 まず、目指すべきポイントが単純であることですが、ひとことで言えば、「アウトライン化」するということだけです。話の大枠をとらえ、きっちり分節化あるいは構造化してあげること。基本はこれだけです。

 その方法も難しくありません。3ステップで作業は終わります。ステップ1=話を大きく分ける、ステップ2=情報のかたまりに名前(ラベル)をつける、ステップ3=名前(ラベル)を使って伝えたい情報の全体像を予告する。

   【アウトライン化の方法】

ステップ1 … 話を大きく分ける

ステップ2 … 情報のかたまりに名前(ラベル)をつける

ステップ3 … 名前(ラベル)を使って伝えたい情報の全体像を予告する


 とまあ、本書に書いてある方法でこの本を紹介してみました。わかりやすく伝わったでしょうか。

 私としてはもっといろいろなテクニックや目の覚めるような技法を期待したのですが、実際はオーソドックスで単純でありました。

 さらに困ったことには論理的でもありません。書名には「ロジカル」とか「論理的に」と書かれているのに。

 その理由は、本書で扱っているのが、論証を含まない結論ありきの実例ばかりだからです。報告、提案などが実例に挙げられていますが、その中身を見ると、データの分析もなければ、実証もありません。だからこんなに単純な方法ですませられるのです。

 本書を参考にわかりやすく話はできるようになるかもしれませんが、論理的には話せるようにはなりません。

 著者は、日本のようなハイコンテクスト文化では、ロジカルシンキングなど役に立たないとまで強弁しております。いくら日本でもツーカーで通じる場面もあれば通じない場面もあるでしょう。それなのに、ロジカルであるべき場面を一切無視するとは…。

 タイトルは「日本式、わかりやすい報告の技術」が妥当ではないでしょうか。


ロジカル・ライティング PREP法で簡単に身につく 論理的に「話す」技術 伝えるための書く技術 ロジカル・リスニング 言いたいことが確実に伝わる17秒会話術 (アスカビジネス)
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ジャンル : 本・雑誌

映画 『ツォツィ』

ツォツィ プレミアム・エディション(2枚組) [DVD]
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 2006年アカデミー賞外国語映画賞受賞した英・南アフリカの合作。

 最悪の都市・ヨハネスブルグに育った不良少年に訪れる魂の再生物語です。

 主人公のツォツィ(不良、チンピラの意味)は、貧困街で育ったギャング。自動車強盗した車に乗っていた赤ん坊をつれて家に帰ることで、人生が大きく変わります。

 ツォツィは、この赤ん坊に自分を重ねてみています。近所の若い女ミリアムを銃で脅して赤ん坊に乳を飲ませるとき、ツォツィはまるで自分が母親から乳を飲まされているような感情を抱きます。

 エイズで死に掛けた母親、感染するから近づくなといわれていました。無慈悲で飲んだくれの父親はツォツィの犬を痛めつける。涙を流し、たまらずに家を飛び出したツォツィ。土管の中で暮らすホームレスの子どもとなりました。

 自分が愛された記憶がなかったのかもしれません。いや、母親が発病する前にはわずかにあったかもしれませんが、心の底に眠っていたのでしょう。

 ミリアムが赤ん坊をいたわり、愛情を向ける姿を見て、ツォツィはまるで自分が愛を受けたかのように癒されていきます。

 ミリアムが赤ん坊に向かって「名前は何なの?」と聞いたとき、ツォツィは「デビット」と答えます。「赤ん坊の名前はデビットだ」。それは誰にも明かさなかったツォツィの本名です。このとき、観客はツォツィがなぜ赤ん坊を連れ帰ったかに気づきます。

 自分の中にある人間的感情が蘇ることで、ツォツィは変わります。

 この映画の真のストーリーは直接的には描かれていません。観客のイマジネーションにゆだねられています。意味のわからない人はまったくわからないかもしれません。

 この映画は貧困の背景にあったアパルトヘイト(過去ではありますが)や黒人間にも発生した経済格差問題にはあまりふれていません。ただ金持ちと貧乏人がいることだけが提示されています。もう少し社会背景に踏み込めばさらにいい映画になったでしょう。

 作品中、先生とあだ名されている年上の男、「品位(decency)」という言葉を盛んに繰り返します。彼は「品位とは尊敬だ。自分自身に対する」と説明します。

 愛情を受けることがなければ、自分への尊敬も生まれません。愛された記憶の不足しているツォツィは品位を求められても、それは無理なことでした。彼は魂の癒しを受けることでやっと変わることができたのです。

 そして、最後には罪を償う決心もついたのかもしれません。ラストシーンはそのことを暗示しています。


ルワンダの涙 [DVD] ツォツィ ラストキング・オブ・スコットランド [DVD] マンデラの名もなき看守 [DVD] イン・マイ・カントリー [DVD]
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『死ぬときに後悔すること25』 大津秀一

死ぬときに後悔すること25―1000人の死を見届けた終末期医療の専門家が書いた
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 サブタイトルは「1000人の死を見届けた終末期医療の専門家が書いた」。著者の肩書きが緩和医療医となっています。麻酔にも詳しい医師のようです。

 死期の近づいた患者が口にした後悔の言葉を著者がセレクトしたのが以下の25個。1000人のうちどれだけが後悔の言葉を口にしたのか、実数、割合については不明です。後悔の言葉もない人がいるはずですし、著者が書くように末期には話をすることもできない患者が多数いるわけですから、多くの人がこういう後悔をしているのだと思い込まないほうがいいでしょう。

 と、釘を刺した上で紹介します。誤解しやすい部分があるので、カッコの中に私が注釈を入れました。

・健康・医療編
1 健康を大切にしなかったこと
2 たばこをやめなかったこと
3 生前の意思を示さなかったこと
4 治療の意味を見失ってしまったこと


・心理編
5 自分のやりたいことをやらなかったこと
6 夢をかなえられなかったこと
7 悪事に手を染めたこと
8 感情に振り回された一生を過ごしたこと
9 他人に優しくなれなかったこと
10 自分が一番と信じて疑わなかったこと


・社会・生活編
11 遺産をどうするかを決めなかったこと
12 自分の葬儀を考えなかったこと
13 故郷に帰らなかったこと
14 美味しいものを食べておかなかったこと
15 仕事ばかりで趣味に時間を割かなかったこと
16 行きたい場所に旅行しなかったこと


・人間編
17 会いたい人に会っておかなかったこと
18 記憶に残る恋愛をしなかったこと(※こういう後悔をする人は少ないそうです)
19 結婚をしなかったこと(※内縁関係の人が籍を入れないでいたことを指します。独身者の後悔では少ないそうです。)
20 子供を育てなかったこと(※独身者の後悔はこちらが多いそうです)
21 子供を結婚させなかったこと


・宗教・哲学編
22 自分の生きた証を残さなかったこと
23 生と死の問題を乗り越えられなかったこと
24 神仏の教えをしらなかったこと

・最終編
25 愛する人に「ありがとう」と伝えなかったこと

※は引用者による注。


 以上です。

 案外俗っぽいことや現実的なことを後悔しているのに驚きますし、「ああ、なるほど」と感じるものもたくさんあります。

 本書を読みながら、もっとおいしいものを食べたほうがいいのかな、とか、旅行をしておいたほうがいいのかな、などと思いましたが、死ぬときにそんなこと思うかなと疑問にも思います。

 やはりひとによって思うことは違うでしょうね。

 実際に自分が死に臨んでみないとどんなことを思うかわかりませんが、もし自分の死を想像して、こんなことを後悔しそうだと予想できるなら、今のうちに後悔しないように生きたいものですね。

 しかし、現時点の私の考えでは、何の後悔もしない心、心安らかである心が重要で、そういう心境になれないとしたら、そういう心になってしまったことが一番の問題だと思います。あれこれと迷う自分の心を制することこそが重要でしょう。

 本書の内容は、著者のエッセイがほとんどで、患者の肉声や個々の詳しい状況もあまり書かれていません。これがじつに残念です。どこかの出版社が同じテーマで本を出すなら、ぜひとも統計処理をして、多数の具体的証言をそのまま掲載もしていただきたいものです。


余命半年 満ち足りた人生の終わり方 (ソフトバンク新書 96)

余命半年 満ち足りた人生の終わり方 (ソフトバンク新書 96)
死ぬときに後悔すること25―1000人の死を見届けた終末期医療の専門家が書いた 死学 安らかな終末を、緩和医療のすすめ がんと闘った科学者の記録 いのちの砂時計―終末期医療はいま 瀕死(ひんし)の医療 患者は病院とどうつきあい、どう生きればいいか
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『100年の難問はなぜ解けたのか 天才数学者の光と影』 春日真人

NHKスペシャル 100年の難問はなぜ解けたのか―天才数学者の光と影
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 ほんの数年前に、数学者ポアンカレが1904年に提出した「ポアンカレ予想」が100年を経て証明されました。証明したのは、ロシアのペレルマン博士でした。

 本書は、この数学史上の大事件を追いかけたルポルタージュであり、この100年の間、ポアンカレ予想に挑戦した人々の物語です。

 そもそもポアンカレ予想とは何でしょうか。

 それは「単連結な3次元閉多様体は3次元球面に同相である。」というもので、一般人にはまったく理解できません。

 これを別の表現にすると「宇宙にグルリと巡らせたロープは、自分の手元に回収できるでだろうか。もしロープが回収できるならば、宇宙は丸いと言えるはずだ。」となります。

 多くの数学者が挑戦しながら失敗したこの100年の難問をなぜペレルマン博士は解けたのか。これは興味深い問題です。

 なぜなら多くの数学の天才たちがこの難問に挑戦し、その証明の近くまで行きながら、挫折を繰り返していたからです。通常の方法では解けないのではないかと疑うにしても、ではどうすればとけるのか、これがさっぱりわからなかったのです。

 結論から言えば、ペレルマン博士は数学者が用いる普通の方法でこの問題を解きませんでした。そして多くの数学者が彼の証明を理解できませんでした。このくだりを書いた部分は衝撃的な内容です。ぜひ本書で読んでみてください。

 そしてペレルマン博士とはどんな人物なのかが最後は話題の中心となっていきます。

 ペレルマン博士は世に言う奇人であり、数学界のノーベル賞といわれるフィールズ賞を辞退し、ポアンカレ予想にかけられた懸賞金の100万ドル(1億円)も受け取りませんでした。

 かつては人とも交流し、質問にもやさしく答えたというペレルマン。いつしか彼は人が変わったように人間とのかかわりを断ち、数学の問題だけに集中する完全に孤独な生活を選びます。

 残念ながら、その後の彼に著者は会うことはできず、恩師や友人も会っていません。いくつかの断片的情報から孤高の数学者の姿を想像しうるのみです。

 ただいえることは、彼は数学のあれこれに通じたオールマイティーの天才であり、物理学にも優れた才能を有していたこと。高い集中力を維持するには、一人でいることが必要だったことです。それがポアンカレ予想の証明に寄与したのです。

 ペレルマン博士の論文は、その後、複数の数学者チームによる検証が行われて、その正しさが確認されています。

 本書は、NHKスペシャルとしてテレビ放映されたものに新しい情報などを加えて書かれています。テレビに釘づけになった人にもお勧めします。私はこの放送を2回見ました。

ポアンカレ予想―世紀の謎を掛けた数学者、解き明かした数学者 数学21世紀の7大難問 (ブルーバックス) 新装版 数学・まだこんなことがわからない (ブルーバックス) 聖なる幾何学 解読! アルキメデス写本
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映画 『ユー・ガット・メール』

ユー・ガット・メール [DVD]
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 オリジナルストーリーかと思いきや、文通で知り合う二人という設定の『街角/桃色(ピンク)の店』のリメイク版だそうです。文通を電子メールに置き換えたところに当時は新らしさがあったのでしょうが、今となっては「ぴーひゃらひゃら」とダイアルアップ接続することに懐かしさすら覚えます。

 (ちなみに私はパソコン通信の時代からネットをやっています。最初に参加したBBSは「ナツメネット」でした。モデムの通信速度は2400bpsあったかどうか。)

 現実に会っている相手がじつはメールの相手であったという意外な事実だけでも話は成立しますが、大型店舗が個人商店を廃業に追い込むという現代的なシチュエーションをからめて、複雑化しています。さらにそれぞれに同棲相手がいますから、もっとややこしい話になりそうなところですが、そこはあっさりと話が進むのがいかにもポップでわかりやすいハリウッド映画です。

 この作品を魅力的にしているのはキャスリーン(メグ・ライアン)が経営している児童書の専門店がとても味があるつくりで朗読会を開いたりして、子ども成長を見守る文化的な機能を果たしているところです。たんなる小さい本屋ではつぶれるのもしょうがないという印象を持ってしまいますが、キャスリーンのお店はどうしても残したいという思いを観客にもたらします。

 対してジョー(トム・ハンクス)が出展するフォックス書店はいかにも大型書店の典型。日本でもこういう書店はたくさんできましたが、本の割引も行っているところが日本との違いでしょうか。しかし、これはこれで便利なわけで、私は大型書店歓迎派です。

 問題はこの二つのお店が向かい合っていて、大型店が良心的で文化的なお店をつぶしにかかることです。

 地域に固有の文化が巨大資本の安売り店に侵食されていく様は、グローバル化という名で世界各地で起こっている現象の縮図でもあります。

 映画の中ではそうした動きに反対する新聞、テレビの報道、反対運動が描かれますが、基本はラブコメディ。そこをながながと引っぱりはしません。ふたりの関係がどう逆転していくのかに焦点は移ります。

 ここで気になるのは、ジョーは大企業の御曹司であることです。もしこの恋愛が成就すれば、シンデレラ物語の要素を持ちますが、もともとはジョーが自分の店をつぶしたわけで、いわばマッチポンプにすぎません。

 二人の関係におおいにわだかまりを感じる人もいるはずです。自分がキャスリーンならジョーを許す気になれるだろうか。文化を理解していないジョーに共感できるだろうか、と。

 しかし、ジョーはキャスリーンの心をつかもうと努力をします。キャスリーンもまたうちとけていく。

 二人の間にあるはずのわだかまり。それを越えて恋愛は成就するのか、メールでの関係がある救いとなりえるのか、というところが興味の焦点です。

 この映画が現代特有の文化的問題を含んでいるのは間違いありませんが、すべての問題を「恋愛」により解決する、あるいはごまかしてしまうところが、ハリウッド的という批判もあるでしょう。予定調和的すぎるという批判も当然です。原作ではバッドエンドになっていたとウィキペディアにはあります。その方が納得でいる人もいるかもしれません。

 私は本作の結末でよかったと思います。キャスリーンの最後のセリフにはなぜか納得しましたし、涙も出ました。キャスリーンの心の動きに共感したからでしょうか。

 考えれば、不思議です。感動したのは事実ですが、なぜ感動したのか、自分でもよくわかりません。

 もう一度見れば答えが見つかるかもしれません。

テーマ : 映画レビュー
ジャンル : 映画

CD 『ベスト』 ジュリー・ロンドン

ベスト
ジュリー・ロンドン
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 ジュリー・ロンドンの声はいい。ハスキーで色気がある。それでいて心に染み入るような声質を持っています。歌い方も素晴らしい。それなりに情はあるけれど、けっしてべとつかない。へんなビブラートをつけたりしないので、ロングトーンもきれいに伸びます。しかも美人。

 このベスト盤はスタンダードの名曲ぞろい。どこに文句をつけるべきか。

 これをジャズ入門として聞くこともできるし、たんなるアメリカのスタンダード曲集として聞いてもいい。いずれにせよ極上のジュリー・ロンドンの世界に浸れます。

 私は「想い出のサンフランシスコ」が一番好きです。トニー・ベレットと同じアレンジでゆったりしています。スローな曲はむずかしいのですが、彼女の間合いの取り方は最高です。声そのものの魅力も遺憾なく発揮されています。歌唱力も抜群であることがよくわかります。

 リンク先のamazonで試聴できます。この短い試聴でも彼女の魅力は伝わるはずです。

 彼女はなんどもベスト盤が企画されていて、だいたい内容はかぶっています。私はツイン・ベストという2枚組みを聞いていますが、似たような曲目が並んでいます。どちらも名曲ぞろいなので間違いなしです。

 amazonで調べたら、アメリカ盤のみですが、デジタルリマスター盤もでていて、50曲も入っていて価格も安いです。できたらこちらの方がお得です。どんな音に生まれ変わったのか、機会があれば聞きたいですね。

 デビューアルバムの『彼女の名はジュリー』は最初は手を出さないほうがいいです。バックがギターとベースのみと地味。曲が地味でしかも似たような曲調の曲が並んでいて、すぐに飽きます。ジャズ入門みたいな本にはこのアルバムを紹介したものがありますが、最初はポピュラーな曲から入ったほうが無難です。

↓リマスター輸入盤。50曲入りで安いので、できればこちらを。
The Very Best of Julie London
Julie London


テーマ : 洋楽
ジャンル : 音楽

『NHKスペシャル 病の起源2』 その3 アレルギー

NHKスペシャル病の起源〈2〉読字障害/糖尿病/アレルギー
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 アレルギーになるのは衛生的な清潔な環境で暮らしているからだとする衛生仮説がかなり有力視されています。

 といっても、きれいな環境で育つとアレルギーになるという単純なものではありません。

 人間の免疫細胞は、細菌・ウィルスに対して防御する「細菌型免疫」と寄生虫や吸血ダニに対処する「IgE型免疫」の2種類があり、育った環境によってどちらがより多くなるかが決定します。

 清潔な環境は細菌もウィルスも寄生虫も吸血ダニも少ないのですが、スギ花粉や植物の花粉は身のまわりにあります。スギ花粉などはとくに排除する必要もない物質なのですが、IgE型免疫が多い現代人はこれに過剰に反応してしまいます。

 問題はなぜIgE細胞が増えるのかです。

 とりあえず今わかっているのは、エンドトキシンという物質に子どもの頃に触れている人はアレルギーとりわけ花粉症にはなりにくいということです。

 エンドトキシンは大腸菌などの細菌を覆っている膜の成分です。家畜の糞に多く含まれています。ですから家畜とともに暮らす生活ではエンドトキシンに多く触れ、アレルギーにはなりにくくなります。家畜だけではなく、非衛生的な環境ではエンドトキシンに多く触れているはずですから、やはりアレルギーにはなりくいのです。

 エンドトキシンに触れれば人間の免疫は細菌型免疫が優勢になります。逆に細菌を排除した衛生的な環境で育てば、家ダニやら花粉やらに反応してIgE型免疫が増えます。

 IgE型が優勢になった人間はたいして害もない植物の花粉に過剰に反応するようになります。これが花粉症というわけです。

 IgE型免疫は細菌型免疫に比べると新しい免疫だそうです。哺乳類に誕生したとき、皮膚の弱い哺乳類は吸血ダニなどに苦しめられたと考えられています。そうした害虫に対抗するために発達したIgE型免疫は人間に受け継がれています。そして今、清潔な環境にある人間は害のない花粉に過剰に反応し苦しむようになってしまいました。

 清潔な環境で育ったがゆえにアレルギーを引き起こすというのはなんとも皮肉な話です。

 もちろん細菌やウィルスが身のまわりに増えることがいいことではありませんが、とくに害がない程度に細菌に慣れておくことは必要かもしれません。

 しかし、なんでもかんでも除菌して、抗菌グッズを使い、土や家畜と離れて暮らしている現代人は意識的に細菌に接しない限りアレルギー体質のままであるでしょう。

 若い人ほどアレルギー体質である傾向は世界的です。現代はまさにアレルギーの時代になってしまいました。

テーマ : 美容・健康
ジャンル : ライフ

『NHKスペシャル 病の起源2』 その2 糖尿病

NHKスペシャル病の起源〈2〉読字障害/糖尿病/アレルギー
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 日本人は食事の面でちょっとだけ欧米化しただけでも糖尿病の危険性が高まります。

 肉食中心だった欧米人はインシュリンが多く分泌される人がその食生活に適応して生き残ってきました。つまり過剰なカロリーを脂肪として蓄える能力が高いのです。

 一方、肉をほとんど食べずに穀物が多かった日本人は基本的にインシュリンの分泌量が少ないのです。カロリーが増えれば、脂肪に蓄える前に糖尿病になってしまいます。しかも肉に含まれる飽和脂肪酸はインシュリンの働きを弱める働きがありますから、食の欧米化は危険なのです。

 欧米人はすごく太ってから糖尿病になるのに対して、日本人は太っていないのに糖尿病になるのは、この体質の違いによります。一言でいえば、膵臓のできが違う、ということです。

 結論としては、日本人はとにかく肉を食うなってことです。

 こうした民族による体質の違い加えて、胎児のときの栄養状態が将来糖尿病になりやすいかどうかを大きく左右することもわかってきました。

 母親の胎内にいるときに母親が食事を制限していると、貧困体質のスイッチが入り、筋肉が少なく脂肪が多い体質となり、すぐに太るようになります。当然、糖尿病の危険性も高まります。

 国の経済成長で貧困から脱して裕福になる場合、地方の貧しい生活から抜け出して都会の豊な生活に切り替わる場合、そして母親の痩せ願望によるダイエットによって、このような危険性が高まります。

 日本ではとくに若い女性のダイエットの行き過ぎが問題となります。この豊な日本において生まれてくる新生児の体重は減り続けています。母親が自分の体型を気にするあまり赤ん坊を犠牲にしています。これはかなり怖い話です。

 正しい医学知識、科学知識を広めていく必要があります。

 昔は若い女性と言えば、太っているものでした。高校生くらいになるとコロコロしているのが普通でした。今では、細い
女子高生が多いですよね。おそらく昔にさかのぼればさかのぼるほど、今の高校生くらいで母親になるのは当たり前だったでしょう。その時期に栄養を蓄えて赤ん坊を産むのが人間の本来の生活だったに違いありません。

 今では、寿命が延びて、晩婚化して、子どもを生む年齢も遅くなっています。そしてやせている方がいいという思い込みは、妊娠中でも続いています。もちろん子どもへの影響は知らないのでやっているのですから、悪意などあろうはずはありません。

 一方、男の方は太る傾向にあるようです。豊かさをそのまま享受しています。肉好きで野菜嫌い、魚嫌いが増えているといいます。

 人間が人間としての自然を見失うと、なんらかのしっぺ返しがやってくるということです。

 なにはともあれ、日本人は米食えと、と。


(つづく)

テーマ : 美容・健康
ジャンル : ライフ

ゲームにハマる『カンパニーオブヒーローズ』

 いい年をしてゲームにハマっています。『カンパニーオブヒーローズ』というPCゲームです。ジャンルはRTS(リアルタイムストラテジー)。将棋のように戦略を練りながらも、リアルタイムで戦いが進行するタイプのゲームです。

 購入してまだ一週間ほどですが、ゲームとしてのできに感心しています。なかなかグラフィックスが素晴らしく、奥深いゲーム性があるみたいです。

 もともとRTSが好きで、10年ほど前にウォークラフト2、スタークラフトなんてのをやっていましたが(AOEは好きじゃなかった)、今度の『カンパニーオブヒーローズ』は、第二次世界大戦のドイツVSアメリカ軍の戦いです。

 現実の戦争を題材にしたゲームを面白がるというのも不謹慎というか、はしたない感じもしますが、じつは戦争映画も嫌いじゃありません。戦闘シーンの激しいのが好きだったりして…。

 第二次世界大戦の平気とかわりと好きなので、このゲームはまさに「探していたゲーム」なんです。今まで知らなかったのがもったいない。

 それにしても、何かにハマるってことはいいことも悪いこともありますね。

 いいことは、楽しみがあるってこと。ゲームのように実用性がないことが対象であれば、いいことはそれだけ。

 悪いことはなにか、ほかの事がおそろかになる。ほかの事への関心を失う。時間を失う。ゲームに関してはほとんど金がかからないのでそんなところです。

 あることに関心が向けば、他への関心が薄れる。あることに時間を使えば、別ことに使う時間が減る。まあ、当たり前のことですが、今回の「ハマり」に関してちょっと気にかかることがあります。

 このゲームにハマる心理の中に私は一種の焦燥感を見いたしました。やっていることは楽しみであるのだけど、急き立てられるような感覚を覚えるのです。一体、これは何だろう、と。

 一生懸命攻略法を考えたり、上達するためにもっと時間を使わなければ、と思うことは、一種自分にノルマを課しているようで、追い立てられるな感じが伴うのかも知れません。

 もっとゆったりと楽しみたいと思うのですが、意外と気持ちは焦った感じを含んでいます。これがちょっと嫌なんです。

 しかも、リアルタイムで進むゲームなので、ゲーム中はさらに急き立てられ、脳が興奮します。ゲームが終わった後にも脳の中に痺れが残っている感じがあります。

 興奮冷めやらぬってことなんで、別に当たり前なのですが、どうも自分はリラックスしてゆったり楽しむことを理想としているためか、ちょっと違和感のある楽しみなんですね。

 もしかすると、久しぶりにこの手の興奮性の高いゲームにハマっているので、まだその感覚になじんでいないのかもしれません。あるいは年を取って、自分はこの手のゲームに向かない生理を持つようになったのでしょうか。

 しばらく様子を見てみましょう。

 それにしてもよくできてます。このゲーム。

 ゲームレビュー 雰囲気がよくわかります。

 日本語公式サイト

 デモ版はこちら

カンパニー オブ ヒーローズ -ベストプライス-
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テーマ : PCゲー
ジャンル : ゲーム

『NHKスペシャル 病の起源2』 その1 読字障害

 NHKスペシャル病の起源〈2〉読字障害/糖尿病/アレルギー
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 小学校とか中学に本の読めない子がいました。先生に当たられて、教科書を読もうとするのですが、彼らはつっかかってしまってほとんど先に進みませんでした。

 今までは彼らのことを勉強ができないだけだと思っていましたが、もしかしたら読字障害という病気だったのかもしれません。

 言語は基本的に音声によるものです。言語学の本にもそう書いてあります。長い間、人間は文字を持っていませんでしたし、今でも文字のない文化もあります。文字はなくても言語は成立し、話し言葉としての言語が言語の本質です。

 では文字はどうなのか。私たちは文字を話し言葉の延長のようなものと捉えていますが、読み書きは話すこととは別の能力だといいます。それは発生の順序の問題ではなく、脳の使用という面から見ても別物です。

 文字を読むとき視覚野から入った情報を音声に変換します。音声になればあとは話し言葉を理解するのと同様です。

 しかし、文字という形を音声に変換するための専用の能力(脳の部位)を人間は持っていません。人間はこの作業のために脳の39野と40野という部位を使っています。本来この部位は視覚と聴覚と体性感覚という3つの情報を統合する領域であって、細かくより複雑な作業を可能にするために存在します。

 この39野と40野で文字を音声に変換するのは、この部位の本来の機能ではなく、読み書きへの応用であって、しかも学習という名の長い訓練を経た後に実現する能力です。 

 人によってはどうもこの学習がうまくいきません。時間をかけてもダメです。こういう人たちが読字障害となります。米英で10%、日本では5%が読字障害の可能性があるといわれています。この数字の違いは表音文字と表意文字という違いが影響しています。

 読字障害の人たち向けの教育方法を研究している人たちもいます。それなりに効果が上がっていますが、単に形を音に変換するのではなく、体を使って覚えます。他の機能も使って補うという感じです。39野と40野の働きを変えるというわけではありません。

 面白いのは、読字障害を持っている人は別の能力が長けていることです。空間把握能力がずば抜けていたり、異なる要素を組み合わせる創造性を有する人が多くいるようです。

 具体的には、画家のパブロ・ピカソ、自動車王のヘンリー・フォード、ディズニー映画のウォルト・ディズニー、電話を普及させたグラハム・ベル、恐竜が爬虫類より鳥類に近いこと証明したジャック・ホーナーなど。本書では独自の空間表現で設計をする建築家の藤堂高直さんをクローズアップしていました。

 彼らは39野、40野を字を読むことに使っている人とはまた違った発想と能力で仕事をしているのでしょう。もしかするとそれが39野、40野の本来の機能に近い使いかたなのかもしれません。

 文字を持った人類は文明を発達させました。読み書き能力のことをリテラシーといい、基礎的な能力だと私たちは考えています。しかし、一方で文字になじみにくい人たちは別の特殊な能力を秘めています。リテラシーを持てない人たちがその能力を発揮できる環境が整うことが両者にとって大きな利益となるのではないでしょうか。読字障害の研究に予算の割り当てがなされることを期待したいです。

(つづく)

テーマ : 最近読んだ本
ジャンル : 本・雑誌

プロフィール

Author:Cozy
情報処理系講師、フリーライター。減速生活者にしてB級遊民。

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