スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

『楽訓』 その3

 清福という言葉あります。きよらかな幸福、精神的な幸福という意味です。益軒はこの清福を重視します。

 清福ということがある。楽しみを好む人はかならずこれを知っていないといけない。これは識者の楽しむところで俗人は知らない。だからわが身に清福を得て大きい幸福があるのに、これを知って楽しんでいる人はまれである。


 普通の人は物質的な幸福を求めて騒がしく暮らしています。今より1割、2割裕福であれば、自分は幸福になれると思い頑張って働き、資産を増やそうとします。そしてその目標を達すれば、再び、今より1割、2割裕福であれば、と思います。足ることを知らなければ、もっともっという思いは際限なく続きます。

 清福は今ここに幸福の源泉があると知り、楽しんで暮らすことです。物質的な幸福という幻を追うように齷齪(あくせく)することはありません。

 貧賤で世にみとめられなくても、その身が気楽で、静かで、心に憂いがなければ、これを清福という。余暇があってしずかに書を読み古の道を楽しむのは、清福の大きな楽しみである。


 これはまさしく私がB級遊民の生活信条としていたことそのものです。知足、閑適、道楽がB級遊民の生活信条です。

 知足はすでに見たとおり益軒の重要な考えのひとつです。閑適については本書に次のような言葉が見つかります。「およそ閑のなかには楽しみがいつもある」「心が閑でないと楽しみが得がたい」。道楽についてはこの引用の後につづく部分でとりわけ読書と自然の楽しみについて書いています。

 およそ読書の楽しみとは、色を好まなくてもよろこび深く、山林に入らなくても心のどかに、富貴でなくても心ゆたかになることである。人間の楽しみでこれにかわるものはない。


 前回、「みずから善を楽しみ、人を救って善をするに越えた楽しみはない」という言葉を紹介しました。今度は読書を最高の楽しみのようにいっています。どっちが一番なんだよと、つっこみを入れたくなりますが、益軒が生涯にわたって読書を好んだことは間違いのない事実です。

 益軒は受動的に読書をするだけではなく、学んだことをまとめて著述をすることにも熱心でした。楽訓ではとくにふれていませんが、創造の喜びもまた益軒の重要な楽しみであったはずです。

 楽しみについて縦横に語る益軒ですが、自分が楽しみを得られるのも時代がよかったのだといいます。

 大君(徳川将軍)の御恵みによって、こういう太平の御代に生まれ、堯、舜の仁にあって、白髪になるまで戦争にあわなかった。これは大きな楽しみではないか。


 益軒には、パックス・トクガワーナ(徳川による平和)が自分の穏やかな生活を支えているという強い認識がありました。そして、徳川の統治がその統治の手段として儒教の普及をもたらし、長く続く知識人の時代を生み出したのです。貝原益軒はまさに江戸時代が生んだ知者のひとりといえるでしょう。

養生訓 ほか (中公クラシックス)
松田 道雄

養生訓 ほか (中公クラシックス)
坂村真民一日一言―人生の詩、一念の言葉 安岡正篤一日一言―心を養い、生を養う 人生の王道  西郷南洲の教えに学ぶ 地球が天国になる話 大学・中庸
by G-Tools
スポンサーサイト

テーマ : 最近読んだ本
ジャンル : 本・雑誌

『楽訓』 その2

養生訓 ほか (中公クラシックス)養生訓 ほか (中公クラシックス)
松田 道雄

中央公論新社 2005-12
売り上げランキング : 324757

Amazonで詳しく見る
by G-Tools


 楽訓のすすめる人間関係は仁を基本としています。

 人の憂苦を思いやって、人の妨げとなることをしてはいけない。つねに心にあわれみがあって、人を救い恵み、かりにも人を妨げ苦しめてはならぬ。われひとり楽しんで人を苦しめるのは天のにくむところであって、自粛しなければならぬ。人とともに楽しむのは天のよろこぶ理であって、真の楽しみである。


 人と和すれば楽しく、人と仲たがいすれば楽しくはありません。それは誰でも知っているし、当たり前のことですが、いかにも益軒の円満な性格を反映した考えです。仏教の慈悲喜捨の考えにも近いようです。

 しかし、世の中には頭にくることが多いものです。他人の行動に腹が立ち、心おだやかでいられないことがしばしばあります。

 人が悪く生まれついたのは、その人の不幸である。あわれんでやらねばならぬ。こだわってうらみとがめ、みずからを苦しめてはならぬ。人が悪いからといって、自分の心の楽しみを失うのは愚かである。


 他人に腹を立て責めることは、自分が不快になることですから損です。くだらないことで腹を立てるのはさらにバカらしい。プラグマティズム(功利主義)的な発想ですが、納得できます。ショーペンハウアーもいうように、朗らかな性格が一番です。腹を立てやすい人はそれだけ不幸です。わかっていても、人はなかなか怒りから抜けられませんが、いつも心がけておきたいことです。

 益軒は富貴と貧賤についても言及しています。

 君子は足ることを知って貪らぬゆえ、身は貧しくても心は富んでいる。古い言葉に「足る事を知る者は心富めり」とあるとおりだ。小人は身が富んでも心は貧しい。貪りが多く飽くことを知らぬからである。それゆえ、ただこの楽しみを知って貧賤を気にとめず、富貴を願わぬ計りごとをすべきである。老いては、いよいよ貪らず、足ることを知って貧賤を甘受するがよい。


 今あるものい満足をしていれば心はおだやかです。ない物を欲しがるところに苦しみが生まれます。他人の富貴をうらやむことも苦しみです。どこからが貧しくどこからが富んでいるのかが問題なのではなく、現状に対して自分がどう思うかが問題です。やはり少欲知足は生きる秘訣じゃないでしょうか。

 最近は歌の歌詞でもドラマでも夢だの願いだのを強調しすぎています。足ることを知ることの大切さが語られることがほとんどありません。古来からの聖人の道にもう少し思いをいたしたほうがよいと思うのですが、どうでしょう。
 
 益軒は分ということもいっています。

 分に安んじて、分外をうらやんではならぬ。分外を願う人は楽しみがなく、憂いが多い。禍はここからおこる。愚かというべきだ。


 あんまり分を強調されると違和感を覚えます。分によって自分を納得させる発想は、職業や社会階層が固定的だった江戸時代の人らしい発想といえるでしょう。

 益軒は他人の不幸について意外なことも書いています。

 世の中には自分ほども幸福でない人が多い。自分より下の人を見て足ることを知り、分に安んじ、外を願わなければ、憂いなく楽しみ多く、禍がない。また極貧の人も、人おのおの生まれついた分があることを知って、分に安んじて、天をうらやんだり人をとがめたりしてはならない。


 自分より不幸な人を見て、足ることを知るというのは、ちょっと残酷な気がしますが、たしかに人間にはそういうところがあります。ニュースで人の不幸見ると、自分でなくてよかったと安心します。もちろん益軒が言っているのは他人の不幸を楽しめということではありません。自分の状態に満足するひとつの方法としていっています。心穏やかであるための心のテクニックといったところです。

 もしわが身に不幸があったら、古今の大きな不幸にあった人のそれに、自分の不幸をくらべてみると、自分の不幸はそれほどでもなくなり、うらみがなくなるだろう。これはつたない計のように聞こえるだろうが、いにしえの賢者の教えである。これをやってみると効果のあることが多い。この計はすてがたい。


 今生きている人ではなく歴史上の人物などに対してなら、いやみがなくていいですね。

 ゴーギャンがこんなことをいっています。「苦しいときは、自分よりもっと不幸なゴッホという男がいたことを考える」。ゴッホにとって喜びの源泉ともなり苦しみの源泉ともなったゴーギャンがいうから深い言葉になります。

 私もゴッホのことを考えると涙が出そうになります。そしてゴッホ展で彼の最晩年の絵を見たときの強い印象が思い出されます。あの異様に生々しい絵が彼の不幸を生々しく伝えてくるようでした。

 益軒は不幸な人をあわれむべきだともいいます。

 余財があったら、こういう貧しい人にはほどこしをして救い、自分も楽しみ、人も楽しませるがよい。人間の現世の楽しみは、みずから善を楽しみ、人を救って善をするに越えた楽しみはない。


 益軒は慈善を人間の楽しみの最上においています。慈善活動をしたことがないのでよくわかりませんが、益軒は私欲から離れること、善をなすことをかなり重視していたことがわかります。

 彼は様々な研究をし、多くの本を残しました。医学だけではなく、興味は多様な分野に及んでいて、博物学的な関心があったとも言われます。それを本に残すことは、自分が楽しみ、読者を楽しませることでもあったのでしょう。しかし、慈善活動らしきことを実際にしていたのかどうかはわかりません。

 現代ならば、慈善とボランティア活動のすすめといったところでしょうか。社会制度の問題はそれとして、人が助け合うことが一番の楽しみなのだと益軒は考えたのです。なかなかそういう心境に達せそうにありませんが、覚えておきたいと思います。

(つづく)

テーマ : 最近読んだ本
ジャンル : 本・雑誌

『楽訓』 貝原益軒

養生訓 ほか (中公クラシックス)
松田 道雄
4121600851


 『貝原益軒 養生訓ほか』(中公クラシックス)は養生訓、楽訓、和俗童子訓の三作を収めています。 

 養生訓と和俗童子訓は収めている本は多いのですが、楽訓はあまり見かけません。中公クラシックスには楽訓が収められているので貴重です。私は以前より楽訓を読んで見たかったので、本書に楽訓があるのを知って、喜びました。

 結論を言うと、なかなか面白いエッセイです。有名な養生訓よりも上ではないかと思います。

 貝原益軒は儒教と仏教を取り込んだ上に、自分の人間観、健康観を加えて独自の思想に到達しました。楽訓では、生きることの楽しみについて語っていますが、彼のいう楽しみには仁と少欲知足が欠かせない条件となっています。

 人は幼時から聖人の道を学び、わが心に天地より生まれつきもらった仁を行って、みずからも楽しみ、人にも仁をほどこして楽しませるがいい。仁とは何か。あわれみの心を本として、行い出したいろいろの善をすべて仁という。仁とは善の総称である。


 仁を行えば楽しい。そのことがまず語られます。仁は単に道徳という意味ではありません。人間に備わる基本原理のような意味合いがあります。抽象的でちょっとわかりづらいかもしれませんが、今はただ漠然と捉えておきましょう。言わんとすることがだんだんわかってきます。

 およそ人の心には、天地よりもらった至高の和の元気がある。これが人の生きている理である。草木が生長してやまぬように、つねにわが心のうちには天機が生きてやわらぎよろこぶ勢力の絶えないものがある。これを名づけて楽しみという。これは人の生理であるから、同時に仁の理である。


 人間にはもともと元気があり、内面に楽しみがあるというのです。老いて衰えることも病も人間にはありますが、益軒はそのような人間の暗い面はあまり見ないようです。このあたりは仏教のシビアな現実認識と違います。原則的にポジティブです。普通の人が受け入れやすいのも益軒の特徴でしょう。

 人の心には本来この楽しみがある。私欲の行いさえなければ、いつでも、どこででも楽しいはずだ。これが本性から流れ出た楽しみである。外に求めるのではない。わが耳・目・口・鼻・形の五官は外物に接して色を見、声を聞き、物を食い、香をかぎ、からだを動かす。この五つのわざを静かに欲少なく暮らせば、行きもかえりも楽しくないものはない。これは外物を楽しみの本としないからである。また外物にふれて、その歓喜の力によって楽しみがはじめて出てくるのでもない。本来人の心に生まれつきの楽しみがあるゆえ、外物にふれて、その助けを得て内にある楽しみがさかんになったのである。


 内にある楽しみはきっかけを与えれば盛んになる。しかも欲を少なくして、私欲を離れていないとその楽しみは得られないのです。私たちはついつい強い刺激を求めがちですが、それは違うと益軒はいいます。外物の助けを得るだけでいいのです。そうすれば楽しみは内からわいてきます。

 養生訓を読むと益軒は過度を嫌っています。飲食などでも「ほどほど」を養生の要件としています。過度は身を破ることになる。慎まなければならない、と益軒は警告します。楽しみを得ることも同様です。外物を過度に求めることは慎まなければなりません。

 この後、益軒は人間関係や貧のあり方について、さらには自然の楽しみ、読書の楽しみを語ります。

(つづく)

老いてますます楽し―貝原益軒の極意 (新潮選書)
山崎 光夫

老いてますます楽し―貝原益軒の極意 (新潮選書)
養生訓―全現代語訳 (講談社学術文庫 (577)) 健康の天才たち (新潮新書) 心と体のことわざ養生術 50歳から貝原益軒になる 戦国武将の養生訓 (新潮新書) いつまでも「老いない脳」をつくる10の生活習慣 (WAC BUNKO)
by G-Tools

テーマ : 最近読んだ本
ジャンル : 本・雑誌

強欲資本主義

 強欲資本主義という言葉を最近よく聞きます。考えたのは投資銀行ロバーツ・ミタニLLCの創業者兼マネージングディレクターの神谷秀樹氏らしいです。氏は米投資銀行のゴールドマン・サックスに在籍していたこともあり、まさに強欲資本主義の渦中にいた人物です。

 強欲とは日本ではあまり使われない言葉ですが、英語でグリード(greed)といえば、キリスト教で七つの大罪のひとつです。アメリカではよく知られた罵りの言葉でもあるようです。

 リーマン・ブラザーズのリチャード・ファルドCEOが米下院の公聴会に呼ばれたとき、うしろで「CAP GREED」と書かれた紙を掲げている女性がいました。他にもファルドはいろいろな人から「GREED(強欲)」との罵声をあびていました。
 
 神谷氏のコラムにこうあります。

強欲資本主義とは、投資ファンドなどが収益優先主義に走り、投資先の企業を活性化するどころか、逆に食い物にしてしまうことがはびこる姿だ。


 投資銀行の金融商品は金融工学により計算された安全な商品だと思われていました。しかし、金融工学というものは、金を貸してはいけない人にいかに貸すかを考えるまやかしの技術です。格付け会社の評価などもいまとなれば大嘘ばかりでした。

 これにひっかかって、多くの企業や個人や公的機関もまた大損をしたわけです。彼らもある意味、強欲だったのですが、相手はさらに強欲で結果的には前代未聞の壮大な詐欺に引っかかったということです。

 神谷氏は著書の中でこう書いています。

 なぜ私が強欲資本主義を糾弾するのか。その理由は単純です。このような資本主義の至り着くところは「大恐慌」しかないからです。
 それぞれの金融機関、もしくはバンカー 一人ひとりが、「自己の利益だけを他の人の犠牲のもとに貧欲に追求する」ということを続ければ、金融システム自体がもたなくなるのです。


 制限を受けない強欲資本主義の恐ろしさを今私たちは感じています。おそらく来年の日本はすごいことになるでしょう。サブプライムローン問題などの直接的被害は少なかったとはいえ、外需の落ち込み、円高、さらには国内の強欲な経営者により内需の弱い体質に変えられてしまっているからです。

 日本には強欲資本主義はないかもしれませんが、強欲な経営者はいます。たとえばITバブルのときにもてはやされたヒルズ族の経営者などもそうでしょう。ホリエモンなどはその代表です。当時はたいした業績もない企業の株価がやたらと騰がっていました。

 森永卓郎氏はこうした日本の金もちと接して、金があるのに幸せそうではなかったといいました。彼らの話題は、合コンと節税とインサイダー取引の3つだけだったそうです。そういえば、村上ファンドの村上氏の「聞いちゃった」発言にはあきれましたね。森永氏の言葉を信じれば、インサイダー情報の交換は日常的に行われていたのでしょう。

 派遣法を改悪した経団連もなかなかの強欲です。おまけに違法な偽装請負までやっていました。大きな利益を上げながら賃金をあげなかった企業も強欲です。おかげで購買力の弱くなった日本で株価が高いのは内需の安売り企業ばかりです。(ばかりというと嘘ですね。資源価格の下落と円高でパルプや電力なんかも強いです)

 かつてのヒルズ族の話題が合コンと節税とインサイダー取引だったとすると、アメリカの強欲経営者たちの話題はどんなものだったのでしょう。私が勝手に推測すると、高級リゾート、新しい金融商品なんてところが思い浮かびます。いずれ破綻することを予測していたのなら、破綻後にいかに公的資金を巻き上げるか、なんてことも話題になっていたかもしれません。

 利益は自分のフトコロへ。損害は公的資金で穴埋め。

 そういえば、日本の銀行も驚異的な低利率により、庶民の財産を移転して、せっせとお金を貯めていました。

 やはりこの機会に日本も違った形の資本主義へと変わっていかなければならないでしょう。中長期的には、労働者の賃金を抑制していけば、景気が悪くなるのは当たり前です。そういう安易な方法ではなく、まともな方法で再生することはできるでしょうか。

 これから日本は再びデフレに突入します。はたして希望の光が日本から現れるでしょうか。

テーマ : 憂国
ジャンル : 政治・経済

『ラビ・バトラ緊急予告 資本主義消滅最後の5年』 ラビ・バトラ

資本主義消滅最後の5年―ラビ・バトラ緊急予告
Ravi Batra Pema Gyalpo ペマ ギャルポ
490131839X


 2006年2月に出版された本書には5つの予告が書かれています。

 第1の予告 原油価格は、1バレル100ドルを超える
 第2の予告 米経済は2006年後半から、長期リセッションに入る
 第3の予告 2010年、資本主義消滅へ
 第4の予告 米・中冷戦状態でチャイナリスク爆裂
 第5の予告 破滅から黎明へ 光は極東の日本から


 第1の予告の原油価格の暴騰は当たりました。2008年7月11日には最高値147.27ドルをつけました。さすがのラビ・バトラもここまでの高騰は予測しなかったでしょうが、「瞬間的には1バレル100ドルもあり得る」と書いています。

 さらに「原油バブル崩壊に住宅バブル崩壊が追い打ち」も予測しています。これは見事に当たっていますが、バブルはいずれ崩壊するという意味では、容易に予測できることでした。(と、後付けで言ってみる)

 第2の予告のアメリカの景気後退(リセッション)は、時期がずれましたが、ほぼあたりそうです。2007年の第4四半期でマイナスとなっています。その後、プラスとなり、2008年第3四半期にマイナスとなりました。今回のサブプライムローン問題の実体経済への影響は長引きそうですから、このまましばらくはマイナス成長になりそうです。 

 さて、問題は2010年の資本主義の消滅です。これまでのきわめて投機的でハイリスク、ハイリターンの金融資本主義は終わる可能性は高まりました。しかし、それ以上のことはどうでしょうか。

 ラビ・バトラはアメリカで富裕者の時代は終わり、武人の時代がやってくると考えています。そして富裕者の時代が終わるとき、「必ず大衆(サイレント・マジョリティ)が蜂起し、社会革命が起きる」といいます。

 オバマ次期大統領が勝利演説でこのようにいっていました。「今回の金融危機から得たほかでもない教訓というのは、メーン・ストリート(普通の町の中央通り)が苦しんでいるのにウォール・ストリートだけ栄えるなど、そんなことがあってはならないということ。それを忘れずにいましょう。」

 しかし、これが社会革命へとつながるかどうかは今のところわかりません。

 現時点では格差の是正はそれほど大規模には実現しそうには見えません。アメリカ政府はシティ・グループ救済の条件として役員報酬の制限を掲げています。これはひとつの傾向かもしれませんが、救済の条件ですから、政府から救済を受けない企業には関係ありません。

 大きな格差はやがて是正されるとラビ・バトラは考えています。最高賃金と最低賃金の差を当面は10倍、目標としては2倍と前回紹介『1995~2010 世界大恐慌 資本主義は爆発的に崩壊する』の中で書いています。ただし、それが実現する経済体制を資本主義とはいわずにプラウト経済と呼んでいます。

 資本主義にもいろいろなバリエーションがあり、いずれも多少なりとも搾取的であり、どこまでが資本主義なのか定義がむずかしいようです。ラビ・バトラが終わるといっている資本主義は、大きな格差のあるきわめて搾取的な資本主義です。

 とりあえずはこれまでのようなアメリカ型金融資本主義は終わるかもしれませんが、ラビ・バトラがいうような資本主義の崩壊が起るかどうかはわかりません。はっきりした予兆が見えるとしたら、不況が本格化する来年でしょう。 

 第4の予告の中国の問題も深刻です。経済力、軍事力ともに高まった中国は世界の脅威となりつつあります。ラビ・バトラは米中の小さな軍事的な衝突が起り、やがて冷戦時代に入ると考えています。

 東シナ海では中国と日本の間に資源をめぐる対立があります。しかし、これにはアメリカは手を出さないといいます。中国側企業にはアメリカの資本も入っているのだとか。

 世界的に大きな問題となりそうなのは南シナ海での中国の存在です。

 南シナ海には膨大な天然資源が眠るといわれており、すでに中国は南沙諸島にあったベトナムの軍事施設を1988年に軍事力で追い出して、1992年には一方的に海洋法に基づく領海宣言を行っています。

 中国が南シナ海の油田を掘削した場合、「そのときアメリカは、間違いなく軍を大動員する。米・中激突だ。」とバトラはいいます。

 他に中国国内での分裂、内戦なども予想していて、チャイナリスクというのはかなり高いようです。

 第5の予告の日本については別の本『日本国破産のシナリオ―破滅から黎明へ 光は極東の日本から』に述べるということです。
 
 以上見てきたように第1と第2の予告はほぼ当たり。第3以降はこれからの問題です。世界はどのように変化していくのでしょうね。 

日本国破産のシナリオ―破滅から黎明へ 光は極東の日本から
Ravi Batra Pema Gyalpo ペマ ギャルポ

日本国破産のシナリオ―破滅から黎明へ 光は極東の日本から
資本主義消滅最後の5年―ラビ・バトラ緊急予告 新たな黄金時代―腐敗政治と経済混乱が新時代の革命を生む ラビバトラとの対話 日本と世界は同時に崩壊する! 2010年資本主義大爆裂!―緊急!近未来10の予測 サーカーの予言―資本主義は花火のように爆発する
by G-Tools

テーマ : 最近読んだ本
ジャンル : 本・雑誌

『徳川三代の情報戦略』 童門冬二

徳川三代の情報戦略 (人物文庫)
童門 冬二
4313752048


 おもに徳川家康がどのように情報収集と情報操作をしていたかを描いています。

 家康は伊賀、甲賀の忍者の利用が関ヶ原と大阪の陣、さらには大名支配に役立てます。また、家康は部下や各大名が結託したりグループを作らないように分断したり、競争させたりとたくみに人心をあやつります。このあたりのタヌキおやじぶりが裏側からよく描かれています。

 司馬遼太郎の「関ヶ原」「城塞」あたりでも、じゅうぶんにタヌキおやじなのですが、それを補完するような内容で、合わせ読むと理解が深まります。

 ここまでで三分の二くらいでしょうか。残りの大部分が秀忠、最後に少しばかり家光の話となります。

 第二代将軍の秀忠は、家康が没した後、家康が駿府に集めたブレーンの多くを解雇し、江戸に中枢を完全に集めます。新たな情報戦略として、陰で動いていた忍者たちを公儀隠密として政治機能の中に位置づけます。

 また、下克上や戦いの時代に終止符を打つために、武家諸法度などを厳しく遵守させるなど法の支配を強めます。

 そして、第三代の家光になると、生まれながらの将軍として、外様大名を家臣として扱うことを宣言し、徳川の支配を確固たるものにします。

 こうして徳川による平和=パックス・トクガワナーナが確立します。

 今まで歴史関連本は戦国時代や幕末を中心に読んできましたが、本書により徳川支配までのおおまかな流れを把握できたので、今後は徳川時代の読書も増やしてみようと思います。


全一冊 小説 上杉鷹山 (集英社文庫)
童門 冬二

全一冊 小説 上杉鷹山 (集英社文庫)
上杉鷹山の経営学―危機を乗り切るリーダーの条件 (PHP文庫) 全一冊 小説二宮金次郎 (集英社文庫) 「人望力」の条件―歴史人物に学ぶ「なぜ、人がついていくか」 (講談社プラスアルファ文庫) 全一冊 小説直江兼続―北の王国 (集英社文庫) 参謀力―直江兼続の知略
by G-Tools

テーマ : 最近読んだ本
ジャンル : 本・雑誌

クリスマスでも恋人イラネ…52%

 クリスマスを恋人と過ごすことがトレンドだった頃があります。バブル景気前後がまさにそうでした。

 その後、クリスマスを家族と過ごす人が増えてきたというニュースを聞くようになりました。さらに最近では若者の意識が大きく変化しているようです。

今年のクリスマスに対する意識調査、20代・30代未婚男性対象で現在恋人がいない71.2%

インデックスとポイントオンは、20代30代未婚男性を対象に、今年のクリスマスに対する意識調査を実施した。その結果、現在恋人がいないが71.2%、クリスマスまでに欲しくないが52%、クリスマスまでに告白したい意中の人がいるは32.2%となった。


 20代30代未婚男性で恋人がいない人が71.2%です。恋人がいない人の中でクリスマスまでに恋人が欲しくないが52%です。全体の中でも37%になります。なかなかの高率じゃないでしょうか。

 ちなみにクリスマスを家族と過ごす人が17.2%、恋人と過ごすと決めている人が19.8%、一人で過ごすと決めている人が18.6%と3つが拮抗しています。

 わざわざ一人で過ごすと決めておかなくてもよさそうなものですが、なにかかたくなな「意志」を感じます。クリスマスイブにわざわざ吉野家にひとりで入り、「大盛りねぎだくギョク」と殺伐とした雰囲気で注文するような。

 一方、アメリカではクリスマスが消費の最盛期となります。なんとアメリカの国内消費の25%がこの時期に集中します。しかし、今年のクリスマスは物が売れないだろうとの予測が出ています。予想をさらに下回るとアメリカの景気低迷はいよいよどん底へ向かっていくことになります。

 サブプライムローンのこげつきに続いてクレジットカードのこげつきが注目されています。アメリカの金融資本主義の推進力はアメリカ国民の浪費にあったわけですが、これでいよいよそのエンジンを失うことになります。

 証券化商品とかレバレッジだとか危険な仕組みも規制がかかる方向が決まっています。しかし、どこまで規制をするのでしょう。アメリカやイギリスはおおいに抵抗を示すと思うのですが。

 かくいう私は、今年のクリスマス、自宅でアメリカ消費の冷え込みを伝えるニュースを見ながらワインでも飲むことになりそうです。そのとき家族と一緒かどうかは未定です。

浪費するアメリカ人―なぜ要らないものまで欲しがるか
Juliet B. Schor 森岡 孝二
4000025848

世界金融危機 (岩波ブックレット NO. 740)
金子 勝
4000094408

テーマ : 気になるニュース
ジャンル : ニュース

『大政奉還 徳川慶喜』 童門冬二

大政奉還―徳川慶喜 (人物文庫)
童門 冬二
4313752129


 最後の将軍徳川慶喜が一橋慶喜として政治の表舞台に立ち、やがて大政奉還にいたるまでの政治ドラマを描いています。 

 叙述はやや小説風。登場人物の思考や会話部分などを除くと、小説的な想像力で書かれている部分はそれほど多くはなさそうです。

 NHKドラマの『篤姫』では、あっさりと描かれる政治劇がなかなか詳しく書いてあり、興味深く読みました。

 幕末史は流れが複雑で一人の人物であっても時期により思想が異なり、また役割が異なります。慶喜は外様大名によるプッシュが強く、幕府側からは朝廷側の人間であると見られていながら、自身は徳川家出身であり、思想としては尊皇敬幕という公武合体的な曖昧さを持っていました。

 役職も複雑で、家茂の将軍後見職でありながら天皇直属の大名会議の参与となります。それらをやめたあと禁裏御守衛総督となり朝廷を警護する立場となり、禁門の変では長州を追い払います。

 第二次長州征伐では薩摩の裏切りがあり、幕府軍は敗退。

 家茂が逝去すると慶喜が徳川幕府の将軍となります。薩長による倒幕を予見して大政奉還をしますが、事は収まらずついには朝敵とされ、戊辰戦争に突入。自身は江戸に逃げ帰り、朝廷に対してはひたすら恭順の姿勢をとります。

 ヌエ的であり、日和見的であるように見えますが、この本を読む限りでは慶喜なりに最善の道を探っているようにも見えます。もともと英明の人であり、一時は徳川家康の再来といわれた人物です。政権を投げ出した無責任な人間だと簡単にいうことはできません。

 とにかくその複雑な立場と身の処し方は本書を読んでいただくしかありません。 『篤姫』の背景を知りたい人にもぜひ読んでいただきたい一冊です。

 やはり幕末史は難しいですね。そこが飽きさせないところでもあります。


最後の将軍―徳川慶喜 (文春文庫)
司馬 遼太郎
4167105659


 

テーマ : 最近読んだ本
ジャンル : 本・雑誌

住みやすさ世界一のアイスランドはバブル国家だった

 2007年に国連開発計画(UNDP)が発表した人間開発指数では、アイスランドが世界で一番住みやすい国とされていました。それがいまや国家破綻の危機にあります。

住むのに最も望ましい国はアイスランド=国連統計

 人間開発指数の測定は、次の4つの情報から計算するようです。成人識字率(15歳以上)、総就学率、一人当たりのGDP、平均寿命です

 ところが今回の世界金融不安でアイスランドは大打撃を受けました。首都のレイキャビックの様子をNHKの『世界ふれあい街歩き』という番組で見て、いい街だなと思っていたので、アイスランドの危機がテレビで紹介されたときは「あの穏やかなレイキャビックが?」と非常に驚きました。

国民は突然知った!GDP10倍の借金 アイスランド崩壊の危機

日本円に換算するとアイスランドの名目GDPは約2兆円(昨年推定)、今年の国家予算は約2800億円。これは、47都道府県で最下位の鳥取県の予算と県内総生産をもやや下回る。大手3行の借金は20兆円にものぼり、通貨クローナの暴落で実質的な返済額は倍に膨れ上がったとみらる。

今後の経済予測も深刻だ。経済規模は最大10%縮小し、1%台だった失業率は金融、建設などを中心に8%に、インフレ率は20%に達する-。


 財政は破綻し、国家の崩壊もありえない話ではなくなっています。おまけに円建ての外債500億円が債務不履ですよ。金返せ。

 しかし、この記事を読んで驚きました。これはアメリカのとばっちりというよりも、自ら選んだ金融立国→バブルの結果としてのバブル崩壊だったのです。

 「基幹産業といえば漁業しかなく、欧州の最貧国」であったアイスランドは金融立国をめざし、バブルをふくらませ、世界で一番住みやすい国などと称され、そして8年間で崩壊しました。

 人間開発指数には一人当たりのGDPが含まれていますが、バブルの絶頂にある国のGDPなど破裂寸前の風船のようなものです。その時点では確かに住みやすかったのかもしれませんが、リスクをどう織り込むのかってのは重要な問題でしょう。

 そう考えるとリスクを計算しないこのようなランキングなどあまり意味がないような気がします。もちろん、リスクの計算などできるものではないのかもしれませんが…。

 アメリカ型の金融資本主義の崩壊は現実になりつつあります。ラビ・バトラの予言(予測)は当たっていますよね。

アイスランド紀行 増補版―氷と火の島から
小林 理子

アイスランド紀行 増補版―氷と火の島から
アイスランド・フェロー諸島・グリーンランド 第3版―素晴らしき自然景観とオーロラの魅力 (旅名人ブックス 59) 地震と火山の島国―極北アイスランドで考えたこと (岩波ジュニア新書 (369)) まずはこれだけアイスランド語 (CDブック) スカンジナビアン・スタイル vol.9 Lonely Planet Iceland (Lonely Planet Iceland, Greenland, and the Faroe Islands)
by G-Tools

テーマ : 外国の経済
ジャンル : 政治・経済

『「騙されない!」ための経済学』 森永卓郎

「騙されない!」ための経済学 モリタク流・経済ニュースのウラ読み術 (PHPビジネス新書 55) (PHPビジネス新書 55)
森永 卓郎
4569648975


 よく耳にする経済用語を大衆の味方ともいうべきエコノミストの森永卓郎氏が解説しています。金持ちが支配するこの社会とはどういうものかという視点で書かれているのが特徴です。

 たとえばこんな言葉が出てきます。

権力の側にいる者が、その他の無知な大衆から収奪する、これが資本主義の本質です。


お金持ちにとって非常に都合のいい存在に、いまや庶民はされつつあるのです。


 権力にいる側が標榜しているのが、資本主義であり、新自由主義であり、市場主義経済です。それは人間を道具と考えて、金と権力を持つ人間=大企業の経営者が儲けられるだけ儲ける経済のあり方です。 
  
 森永氏はこのような米英日本の経済のあり方に憤っています。ですからけっして無味乾燥な経済用語の解説に終わってはいません。

 とりわけアメリカに対しては辛らつです。

いまのアメリカは金融と情報とエンターテインメントだけの水商売国家です。水商売の常として、お客が入っているときはいいものの、いったん信用を失い客足が遠のいたら、再び盛り返すのは容易ではありません。


 本書は2008年4月発売で、株価大暴落の前に書かれています。最近になって急にアメリカ経済批判をしたわけではありません。以前よりこのような反米的ともいうべき発言をしていました。そこは大いに評価できると思います。

アメリカにはドルが安くなっても、世界中の人が買いたいと思うものがありません。仮に1ドル=10円になったとしても、ミサイルや戦車を買おうという人はあまりいないでしょう。これが水商売国家の怖いところです。


 ということはアメリカが復活するには保護主義に走る以外には対策はないということになります(それでも復活するのは大変でしょうけど)。アメリカの国債をさらに買わされた上に保護主義になられたら日本としてはかなりつらいことになるでしょう。

 森永氏のお金持ちに対する評価というのがまた面白いので紹介しておきましょう。

 一般大衆は、勝ち組の実情を知らないので、お金持ちになればこの世はバラ色に違いないと信じています。

 ところが、一般大衆が憧れる年収何億円、何十億円という人と話をしてみると、あまりしあわせそうには見えません。私はそういう人たちを何十人も知っていますが、みんなどこかに不安を抱えて怯えています。それはなぜかというと、お金が減ることが怖いのです。そういう人たちにとってはお金が自分の価値であり、人生の幸福の尺度ですから、一万円でも減ればその分自分の価値が下がり、幸福度合いが減ってしまう、それが耐えがたい苦痛なのでしょう。
 他人の痛みも、しあわせの意味もわからないまま、ひたすらお金儲けだけに血道をあげていると、こういう貧しい人生しか送れなくなってしまうのです。


 森永氏は以前からほどほどの収入で趣味を楽しんで暮らす人に共感を寄せていました。そういう人が安心して暮らせる社会を理想と考えているようです。私が共感できるめずらしいエコノミストです。(追記:テレビでの言動はどうもいけませんが…)

 このところの金融不安や不景気により経済に興味を持った人にお勧めしたい一冊です。

こんなニッポンに誰がした―森永卓郎の政治経済学講座
森永 卓郎

こんなニッポンに誰がした―森永卓郎の政治経済学講座
「騙されない!」ための経済学 モリタク流・経済ニュースのウラ読み術 (PHPビジネス新書 55) (PHPビジネス新書 55) モテなくても人生は愉(たの)しい 世界金融危機 (岩波ブックレット NO. 740) 「気になる保護者」とつながる援助―「対立」から「共同」へ 構造改革の時代をどう生きるか 成果主義・拝金主義を疑え!
by G-Tools

テーマ : 最近読んだ本
ジャンル : 本・雑誌

必要な仕事になぜお金をまわせないのか?

介護労働、8割が「やめたい」

 県内の介護・福祉労働者のうち約8割が仕事をやめたいと思った経験があることが県医療労働組合連合会(県医労連)のアンケート調査でわかった。人手不足による多忙な業務に加え、低賃金などの労働条件が主な理由だ。


 私たちが安心して暮らすには介護や福祉はやるひとがいなければなりません。それなのにいつまでも低賃金で人手不足です。

 07年10月の賃金総額は、「15万円未満」が22・4%、「15万円以上20万円未満」が39・9%、「20万円以上25万円未満」が21・4%。「10万円未満」は7・2%に上り、全体の平均は18万7400円で全国平均19万5400円を下回った。県医労連の高橋勝行書記長は「介護報酬を引き上げるなどの根本的な解決策が必要」と話している。


 全国平均19万5400円というのはひどい報酬です。福井県のように平均以下の地域も当然あります。きつい仕事なのに生活できない低水準の報酬ではやるひとが減るのは当然でしょう。

 一方で役所の不正経理が指摘されています。

不正経理など最悪1253億円 会計検査院決算報告

税金の不正経理などいわゆる「不当事項」や、税金の無駄遣い、国費の執行状況に関する指摘は総額で1253億円。件数は過去20年間で最多だった17年度報告より508件多い981件で過去最多を大幅に更新した。このうち実質的な不正経理の指摘などは昨年より177億円多い377億円にのぼった。


 無駄にお金が使われているというよりも、公的といいながらじつは組織ぐるみの横領に近いようなお金の使い方をしています。なぜ禁止できないのか犯罪として問えないのかじつに残念です。

 この就職難の時代にあっても介護や福祉の求人は多いのですが、就業する人が増えません。もちろん低賃金の重労働だからです。公務員の無駄遣いをやめて、必要な介護、福祉にまわせたら、介護労働者の生活も安定し、就業者も増えてきます。国民もその利益を受けます。

 介護報酬の低さも税金の無駄遣いも以前より指摘されながらいっこうによくならないこの日本の政治。いい加減にして欲しいものです。やはりチェンジが必要ですね。

 オバマ次期大統領は保護主義に傾きそうで日本としてはかなり不安な面もありますが、日本は日本で効率的なお金を使い方をしていかなければ、国内的にも不安が増大します。

 日本もある程度内需に目を向けなければいけないといわれていますが、内需を増やすには国民の将来の不安を消すことと日々の生活を支える給料を増やすことが必須です。

 そういう方向に誰が舵取りをしてくれるのでしょうか。誰がチェンジをしてくれるのでしょうか。

 昨日、今日のニュースを見ながらそんなことを思いました。

テーマ : 政治・経済・時事問題
ジャンル : 政治・経済

『ギャンブル依存症』 田辺等

ギャンブル依存症 (生活人新書)
田辺 等
414088052X


 ギャンブルにハマって損してもやめられなくなってしまう人がいます。借金を重ねたり、生活を破壊するほどになれば、ギャンブル依存症という病気です。

 ギャンブル依存症になりやすい人には、こんな心理的背景があります。

・日常生活での充足感、充実感に欠けていた
・自分への肯定感がもてない、他者と比較してダメな感覚があった
・仕事(学業)に取り組んでいる自分が本当の自分ではない気がする
・何を目標として生きるべきかを見失っていた
・空虚、空白、憂うつな気分が続いた

 これらを心理学的に言い換えると、1.フラストレーション(欲求充足不全)の問題 2.セルフエスティーム(自尊感情)の問題 3.アイデンティティー(自己同一性)、とくに職業的アイデンティティーの問題、4.空虚さや軽い抑うつ感等、気分の問題ということになります。


 このような状態にある人がギャンブルをやり、ビギナーズラックなどで買ってしまうと、有能感を持ち、日常の不満が吹き飛び、気分のよさを味わうことになり、ギャンブルにハマっていくのです。

 このあたりの心理のあり方は他の依存症、たとえばアルコール依存症や買い物依存症などと共通のようです。

 しかし、ギャンブルは勝ちよりも負けが多いものです。それなのになぜギャンブルが嫌にならないのでしょうか。

 人間の心理では、Aの行為では必ずBの報酬があると学習する効果よりも、行為Aによって間欠的に報酬Bがあるほうが、行為Aやそのバリエーションへの執着が高まるということがあるのです。


 つまり、負けが多くてたまに勝つ方がハマりやすいのだとか。ちょっと理解しがたい心理ですが、たしかにいつもうまくいくものは面白くはないのでしょう。あれこれ工夫をしてうまくいけば楽しい、と思えるものです。

 さらに、その勝つための工夫と勝ちという結果の間に因果関係はほとんどないもしれませんが、ギャンブルをする人は必勝パターンの発見にこだわるようです。

 借金を重ねる心理も一般には理解しがたいものです。 

 ギャンブル依存症が進むと買ったお金で何かを買うことはなくなり、儲けたお金は次のギャンブルの軍資金になります。そしてすべてをすってしまうまで続けることになります。

 もっとギャンブルをやりたくて借金を作った場合、そこでこりてギャンブルをやめると借金というマイナスが残りますが、ギャンブルで大きく勝てば借金が返せるとギャンブラーは考えます。そして、借金が膨らみます。

 ギャンブルの依存症の治療はグループミーティングが有効だとされています。同じギャンブル依存症の患者が集まっていろころと自分の体験が気持ちを話し、それを聞きあうミーティングです。ギャンブラーズ・アノミマス(GA)といいます。

 アルコール依存症のアルコホール・アノミマス(AA)と同じようなものです。

 ここで体験を共有しながら、人生をやりなおそうとするわけです。著者はこういいます。

 ギャンブルを上手にコントロールできるというような治癒はない。病気、それ自体は治らない。しかし、ギャンブルをやめながら人生を健康に行き直すというような回復はあるのです。


 そこで想定されている健康な人生というのは、まともに働き、家族とともに幸福に暮らすことのようです。しかし、健康な人生などといってもそれができないから、元の人生に不満があるから依存症になったのに、どうすれば健康な人生が戻るのでしょうか。

 以前の生活にそのまま戻ってもしょうがありません。むしろ生活を大きく変えないとならないでしょう。このあたりのことにはあまり触れられていません。

 さすがにそこまでいくとギャンブル依存症の問題ではなく、一般的なカウンセリングの問題になるのかもしれません。

 本書では、共依存の問題にも触れていますが、その話は省略します。

ギャンブル依存とたたかう (新潮選書)
帚木 蓬生

ギャンブル依存とたたかう (新潮選書)
ギャンブル依存症 (生活人新書) 病的ギャンブラー救出マニュアル やめたくてもやめられない脳―依存症の行動と心理 (ちくま新書) 打ったらハマるパチンコの罠―ギャンブルで壊れるあなたのココロ 依存症がよくわかる本―家族はどうすればよいか?
by G-Tools

テーマ : 最近読んだ本
ジャンル : 本・雑誌

『外貨崩落 生き残る人は知っているもう1つのシナリオ』松田哲

外貨崩落 生き残る人は知っているもう1つのシナリオ ~FX、外貨預金、外貨投資信託 崩壊 円キャリー・トレード
松田 哲
4774131911


 一時、ドル/円の為替レートが90円くらいになって、大きな話題となりましたが、円高になることは予想されていたようです。

 これまでの円安はいわゆる円キャリートレードによるところが大きく、徐々に進行していたドル安が見えなくなっていたようです。

 円キャリートレードとは、「低金利の円資金を借りて、その円資金を高金利通貨に交換して(外国為替取引をして)、高い利息を得ること」です。

 一方、外貨の利息が高いということは、その国ではインフレが進行しているということです。インフレが進むとはその通貨価値が下落するということです。

 一見、うまくまわっているように見えていても、価値が下落している通貨を買っているのは矛盾です。

 この矛盾を解消するためにクラッシュが起ります。それまで暴騰していた通貨の暴落が起るわけです。ちょっとした下落ならミニ・クラッシュ、大幅に下げればクラッシュと呼ぶようです。

 著者はクラッシュは必ず起るといいます。地球の大陸プレートの歪みを戻すために地震が起るようなものだと表現していて、なるほどと思いました。

 そして今回の急激な円高が起りました。

 本書は、その前に書かれていますし、今回の円高の時期や経緯を予測した本ではありません。しかし、行き過ぎた円安によってやがてクラッシュが起るのは十分予測できることで、そのことを知っていて警戒していた人は大きな痛手を負わずに済んだことでしょう。

 このところFXブームというのがありました。一時的に利益が出ていても、急激に損が膨らんでひどい目にあった人が多数いるとききます。知識のない素人が熱気に釣られて投資に手を出すのはやはり危険なのですね。

 レバレッジという名の借金をしてまでFX(外国為替証拠金取引)をする人はそれなりの勉強が必要ということでしょう。少なくとも損切りが自動的に出来るような設定が必要です。

 お気をつけください。

 本書の後半はトレードテクニックになっていますが、その紹介や評価については省略します。 

投資で浮かぶ人、沈む人
松田 哲

投資で浮かぶ人、沈む人
FXの教科書 外貨崩落 生き残る人は知っているもう1つのシナリオ ~FX、外貨預金、外貨投資信託 崩壊 円キャリー・トレード 着物トレーダーを卒業せよ陳満咲杜の為替の真実 FX革命! 利益を上げるFXの鉄則 落とし穴にはまらないための8つの鍵
by G-Tools

テーマ : FX(外国為替証拠金取引)
ジャンル : 株式・投資・マネー

プロフィール

Cozy

Author:Cozy
情報処理系講師、フリーライター。減速生活者にしてB級遊民。

Twitterはcozyoffです。
TwilogはCozy(@cozyoff)です。

当ブログへのリンクはご自由に。

名言集および格言集
最近の記事
最近のコメント
最近のトラックバック
月別アーカイブ
カテゴリー
FC2カウンター
ブログ内検索
RSSフィード
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。