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こんなにつらい労働

 企業は利益をあげるために経費を抑えようとします。それには人件費を下げることが一番簡単です。正社員(正規雇用の従業員)をぎりぎりまで減らして、同じ量の仕事を少ない正社員にやらせます。残業、休日出勤。多くの企業では違法であるにもかかわらずいまだにサービス残業が行われています。

 サービス残業への風当たりが強くなれば、たいして権限もないままに課長に昇格させて、「名ばかり管理職」にして、残業代を払わずに長時間勤務に当たらせます。管理職は本来、自分で出退勤を管理できるかわりに、残業代が支払われません。しかし、「名ばかり管理職」は実際には権限も裁量もありません。人手不足で人員を増やせない中、管理職であるという建前上責任を感じ、自らが長時間働かなければならない立場に追い込まれます。

 NHKの調べでは自分が「名ばかり管理職」であると感じている管理職は五七%もいます。恐るべき数字です。

 正社員では足りない部分や取り替え可能である仕事は派遣社員や契約社員、アルバイトやパートなどの非正規雇用の労働者が補足します。彼らは賃金が不当に安く、保険もほとんどない状態です。しかも仕事量に合わせて調達される臨時の人員なので、いつ仕事を失うかもわかりません。とても不安な気持ちで生きています。

 他人との競争の中にあって自分だけがのんびり生きることはできません。のんびり生きる社員はリストラ候補です。会社の中の競争に負けてしまいます。そのため人間関係もむずかしくなりました。のんびりと働いていたのでは、自分が会社の中での地位が危うくなるだけではありません。会社が他社との競争に負けてしまいます。そして外国にも。「絶対に負けられない戦いがそこにある」とみんなが思っているかのようです。

 ルイス・キャロルの『鏡の国のアリス』でアリスは丘の上の国にたどりつき、そこがチェス盤になっていることに気づきます。自分もこの試合に参加して、女王になりたいと口にすると、その国を支配している赤の女王は、「おまえは白の女王の歩兵(ポーン)におなり。二マス目から八マス目にいけば、おまえも女王(クイーン)になれる」といって、アリスを連れて走ります。

 アリスはこれ以上速くは走れないほど走ります。アリスは疲れ切って、へとへとになって一休みします。しかし、まわりの景色は何も変わらず、ずっと同じ場所にいたかのようです。不思議がるアリスに赤の女王はこういいます。「この国では同じ場所にいるためには、力の限り走らなければならないのさ。どこか他のところへ行きたいのなら、少なくともその二倍の速さで走らなければならないのさ」。

 寓話の意味に明らかです。今の地位と仕事を失いたくなければ、一所懸命働け、それ以上を望むなら、人一倍働け、ということです。

  プライベートな時間も仕事のために使われます。「癒し」を必要とするほど疲れています。仕事で疲れた心身を癒し、疲労を回復し、次の仕事に備えます。さまざまな楽しみは仕事からの気分転換のためです。リフレッシュして仕事に備えることが目的です。

 それも度を超してはいけません。長期間の休日などもってのほか。リラックスタイムを何日も持つことは許されません。それよりも自己啓発が大切です。家にいる間に仕事のために自分を高めなければなりません。

 こんな会社のありかたについていけずに会社を辞める人がたくさんいます。若い社員の異常に高い離職率はその反映でしょう。入社3年目までに離職する者が高卒で約5割、短大卒で約4割、大卒で約3割もいます。

 厚生労働省の「平成14年労働者健康状況調査」によれば、自分の仕事や職業生活に関して「強い不安、悩み、ストレスがある」とする労働者は61.5%となっています。男女別にみると、男(63.8%)の方が女(57.7%)より高くなっています。5人に3人が強い不安やストレスを抱えている労働環境は異常です。

 その理由は複合的です。「職場の人間関係の問題」が35.1%ともっとも高く、次いで「仕事の量の問題」が32.3%。さらに「仕事の質の問題」30.4%、「会社の将来性の問題」29.1%、「仕事への適正の問題」20.0%と続きます。

 「上司や同僚との人間関係に苦しんで、長時間労働で疲れているのに、むずかしいきつい仕事をさせられている。会社はいつつぶれるかわからないし、今の仕事も自分に向いていない」これではストレスがたまるのは当然でしょう。仕事を始めたばかりの若者が辞めていくのも理解できます。

鏡の国のアリス (偕成社文庫 2065)
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若者はなぜ3年で辞めるのか? 年功序列が奪う日本の未来 (光文社新書)
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理想の未来社会は来なかった

 「遊びをせんとや生れけむ 戯れせんとや生れけん」と歌うのは『梁塵秘抄(りょうじんひしょう)』の四句神歌のひとつです。たしかに子ども見ていると、人間は遊ぶために生まれてきたのではないか思わせられます。遊びの中に見出すあの真剣さ、面白さはいつまでも心の底に残る宝のような経験です。

 しかし、いつまでも遊んで暮らすことはできません。よほど条件に恵まれていなければ、そんなことは無理だとわかります。なにしろ生きるためにはお金が必要です。いったい誰がそんなお金を用意してくれるのでしょう。親がよほどの金持ちでいつまでも甘やかしてくれるなら、それも可能かもしれませんが、たいがい人は働く運命にあります。

 それならば、せめて好きなことを優先させながら生きていきたいと願うですが、これは馬鹿げた願望でしょうか。これほど科学技術が発達し、生産性の高い社会に生きているのですから、簡単そうに思えます。しかし、これがなかなかむずかしいのです。

 かつてバラ色の未来が語られたことがあります。「このまま科学技術が発展すれば、ロボットがすべてをやってくれる。工場や会社でロボットが働いてくれるから、人間の労働時間はどんどん短くなって、人間は好きなことをしていられる時代が来る」と。家の中でもお手伝いロボットが何でもやってくれると聞いたような記憶もあります。

 「一九五六年には、リチヤード・ニクソンがアメリカ国民に″そう遠くない未来にやってくる″週休三日制にそなえるようにと申しわたした。その一〇年後には、上院のある小委員会で、アメリカ人の労働時間は二〇〇〇年には週一四時間にまで減っているだろうという講演がおこなわれていた」(カール・オノレイ『スローライフ入門』ソニー・マガジンズ)

 週14時間の労働といえば、週休5日です。けっして無責任でもなければ知性が足りないわけでもない人たちがそこまで楽天的に予測していたことに今さらながら驚きます。

 しかし、そんな未来はやって来ませんでした。私たちの目の前にあるのは長時間労働の社会。世界で一番の長時間労働の社会です。日本で生まれた「過労死」という言葉もそのまま「Karoshi」として英語の辞書に掲載されてしまいました。なんという灰色の未来でしょうか。

梁塵秘抄 (ちくま学芸文庫)スローライフ入門

働きすぎの時代 (岩波新書 新赤版 (963))
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B級遊民を提案します

このブログでは「生活に必要なだけ働いて、あとは好きなことをして暮らす人、およびライフスタイル」をB級遊民とネーミングして、時代に即したオルタナティブな生き方として提案します。

過酷な労働を強いられる正社員でもなく希望の見えないフリーターやニートでもない自分だけの幸せを追求する自由な生き方がB級遊民です。

プロフィール

Author:Cozy
情報処理系講師、フリーライター。減速生活者にしてB級遊民。

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