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『ひと月15万字書く私の方法』売れっ子ジャーナリストの仕事の方法 #dokusyo

ひと月15万字書く私の方法
佐々木 俊尚
4569708676


 佐々木俊尚著

 副題は「ITジャーナリストの原稿作成フレームワーク」。ITジャーナリストの原稿作成の手法を解説した一種の知的生産の方法です。具体的には佐々木氏本人の手法を公開しています。

 ITジャーナリストという特殊な職業、しかも個人の方法なので、どこまで汎用性があるのかわかりません。各自が利用出来る部分を探して活用すべきでしょう。

 私はEvernoteというウェブサービスを知ったことが収穫でした。それ以外は特にこれといったものはありませんが、最先端の売れっ子ITジャーナリストがどんなふうに仕事を進めているのかを知ることができるので、裏話としても面白いかも知れません。

 著者は「はてなブックマーク」ではなくdeliciousという海外のブックマークサービスを勧めています。理由はブラウザから使えるツールが存在することと、タグが使えることのようです。しかし、どちらも現在のはてなブックマークにはある機能です。この手の技術情報はすぐ古くなってしうまので注意が必要です。

 またWordではなくWZ Editorというエディタソフトを勧めています。アウトラインプロセッサの機能が使いやすい人のことですが、Wordにもアウトライン機能はありますから、これはどうなのでしょう。たしかにWordのアウトラインは使いにくいというか、分かりにくいのは事実です。

 後半は文章構成の方法について書いています。この部分はジャーナリストの、というか佐々木氏個人の思考法がわかって面白い部分ですが、独自の発想法、より詳しい思索の方法までは踏み込んではいません。あくまでも大きな流れを公開しています。

 気になったのは、文章です。ずいぶん雑な印象で、「やっつけ」感があります。著者はそうとう忙しいのでしょう。こんな程度の本ならこの程度の文章でいいと思っているのかもしれません。


仕事するのにオフィスはいらない (光文社新書) ネットがあれば履歴書はいらない-ウェブ時代のセルフブランディング術 (宝島社新書) マスコミは、もはや政治を語れない 徹底検証:「民主党政権」で勃興する「ネット論壇」 (現代プレミアブック) 2011年新聞・テレビ消滅 (文春新書) フラット革命
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『調査報告「学力低下」の実態』 ゆとり教育で落ちる学力、広がる格差 #dokusyo

調査報告「学力低下」の実態 (岩波ブックレット)
苅谷 剛彦 清水 睦美 志水 宏吉 諸田 裕子
4000092782


 苅谷剛彦ほか著

 小学生と中学生に「ゆとり教育」がおよぼした影響についての実証的研究。対象は関西都市圏の小学校5年生と中学校2年生。1989年と2001年の間で比較を行っています。

 基本的な部分の結論をまとめると、こうなります。

・1989年と2001年の間で基礎学力の低下は起きている。
・できる生徒とできない生徒との間で学力格差が広がっている。
・塾に行く者と行かない者との間で格差が拡大する傾向にある。


 著者らのグループは文化的階層グループについても分析しています。文化的階層グループは「家の人はテレビでニュース番組を見る」「家の人が手作りのお菓子を作ってくれる」「小さいとき、家の人に絵本を読んでもらった」「家の人に博物館や美術館に連れていってもらったことがある」「家にはコンピュータがある」という5つの質問により家庭の文化的環境を示す一次元的尺度です。これらの家庭の文化的環境は、親の学歴や職業などの「社会階層」と相関する要因と言われています。お金持ちかどうかよりも文化的かどうかを問題にしています。

・学習意欲、学習行動、成績において文化的階層グループ(家庭の文化的環境)による格差があり、小学生より中学生でより格差が拡大する。

・文化的階層グループにより新学力観的(ゆとり教育)な授業への取り組みに格差がある。


 新学力観的な授業とは「調べ学習」「グループ学習」「自分たちの考えを発表したり、意見を言いあう授業」です。
学校の教育はたいがいが言葉を使ったコミュニケーションですが、このような新学力観的な授業では、子どもの言語能力に加えて積極性が必要になります。

 ゆとり教育と新学力観的な授業形態はイコールではありませんが、その影響で増加した授業形態です。これについても分析したことは意義深いことです。

・新学力観的な授業では、国語の成績が良いが、数学の成績は悪い。
・古い伝統型の授業では、数学の成績が良い。


 平均点がよく成績に格差が少ない小学校、中学校を著者グループは「がんばっている学校」と呼び、その特徴を調べたところ、小学校の国語をのぞいて「宿題がよく出る授業」多いことがわかりました。まざまなタイプの授業を受けていると回答する生徒が多く見られました。塾に通っていない生徒も比較的いい成績を収めているのも特徴です。

 以上をまとめると、ゆとり一辺倒ではダメ。いろいろなタイプの授業を行ない、宿題をたくさん出すのがよい。数学では伝統型の授業は必要。小学校の国語では新学力観的な授業がよい。ということになるのかもしれません。

 学力の低下をふせぐには、学校と家でしっかり勉強させることが大切です。また、教科によってどういう学習形態がよいのかを研究すべきでしょう。教科の特性を無視して一律に同じ学び方というのは合理的ではありません。

 学力の国際比較では、学力の低下を証明することはできませんでしたが、この調査では関西地区という限定ではありますが、ある程度は証明できているといえるでしょう。

 大雑把な紹介なのでくらしいデータを見たい方はぜひ本書を直接読んでください。


学力を問い直す―学びのカリキュラムへ (岩波ブックレット) 「学び」から逃走する子どもたち (岩波ブックレット) 公立小学校の挑戦―「力のある学校」とはなにか (岩波ブックレット (No.611)) 学力低下論争 (ちくま新書) 教育改革のゆくえ―格差社会か共生社会か (岩波ブックレット)
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『論文の教室 レポートから卒論まで』文系論文の初心者、指導者に #dokusyo

論文の教室―レポートから卒論まで (NHKブックス)
戸田山 和久
4140019549


 戸田山和久著

 論文とはどういう文章か。論文はどう構成すればいいのか。書けばいいのか。などを丁寧に解説しています。一冊で必要なことのほとんどをフォローしている感じです。

 「動物に権利を認めるべきか」という架空論文を題材に話を進めているので、話が具体的でわかりやすく、著者の語り口も軽妙で親しみやすいものです。不必要に軽妙なので逆に抵抗を感じる人もいるかも…。

 とりえあず新書を一冊読んでみろと著者はいいます。それからテーマをある程度絞り込み、図書館のデータベースで次の本を探せと、アドバイスが具体的で実践的。

 著者が特に重視しているのはアウトラインの作成です。アウトラインが論文を支え、必要なこと、足りないことを教えてくれます。自分自身が長い文章を書いた経験からみてもアウトラインの重視は大いに賛成できます。

 論証の方法についてページを割いているのも本書の特徴かもしれません。演繹、帰納、アブダクション、アナロジーなど代表的な論証を解説しています。ただし、統計などに言及はなく、データに基づいた議論については考慮していなのはマイナスでしょう。

 例題からしてそうですが、文系の哲学的議論に話が偏っているのが気になるところです。そのあたりの不足については、理系の論文の書き方でも読むしかありません。

 とかく固く読みにくのが論文の書き方について書いた本です。本書は読みやすく、内容がよくまとまっていて、これから論文を書こうとする人、論文を書く人を指導する人、どちらにも役立ちそうです。

レポート・論文の書き方入門 レポートの組み立て方 (ちくま学芸文庫) 新版 大学生のためのレポート・論文術  (講談社現代新書) 論文の書き方マニュアル―ステップ式リサーチ戦略のすすめ (有斐閣アルマ) ぎりぎり合格への論文マニュアル (平凡社新書)
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『学力低下は錯覚である』 教育問題を語るための必読書

学力低下は錯覚である
神永 正博
4627975112


 神永正博著

 学力低下問題、理系離れ、教育のこれからについてデータに基づいたしっかりした議論をしています。とにかく納得することしきり。なるほど、なるほどと目からウロコが落ちること請け合いです。

 しかし、利用しているのはすでにあるデータがほとんどですので、仮説の証明のためにさらに深い調査をしたりはしていません。そこまでは期待しませんように。

 本書で明らかになったことは、いろいろありますが、ネタばれするとつまらないので、とりあえず読んでみてくださいといっておきます。

 門外漢の学者や評論家の随筆みたいな放言を何冊読んでもなんのタシにもなりません。きちんと考えるとはどういうことかの良い見本として、また教育問題の現状を理解するために、本書を必読書としてお勧めします。


調査報告「学力低下」の実態 (岩波ブックレット) 学力低下論争 (ちくま新書) 不透明な時代を見抜く「統計思考力」 未来思考 10年先を読む「統計力」 誰がバカをつくるのか?―「学力低下」の真相を探る
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『議論のウソ』 ゆとり教育を語る著者のゆるい議論を見よ

議論のウソ (講談社現代新書)
小笠原 喜康
4061498061


小笠原喜康著

 世の中に見られる議論のウソを論理的に批判して見せ、論理的思考を啓蒙する一冊。

 前半はいいのですが、後半から怪しくなってきます。

 「ゆとり教育批判」を批判している中で、全国地理学会の全国調査に対して、こう述べています。「地理教育の必要性をアピールしたいという意図が明白である。」(P.180)。論拠は述べていません。文脈からすればただの憶測にしかすぎません。

 また、「ゆとり教育批判」を批判しているのもかかわらず、批判の対象はセンセーショナルな見出しの新聞記事の批判とOECD国際的学力テストを論拠とするゆとり教育批判ばかりです。大学生の学力問題などの重要な論点に触れないのは意図的なのでしょうか。私も大学生の学力問題はゆとり教育とは別の原因があることは知っていますが、論じ方を論じている本書でスルーするのは大きな減点です。

 本書の最後でなぜか著者はゆとり教育の検討をはじめます。ゆとり教育が必要となる社会の変化として「ポスト産業資本主義」をあげていますが、この論拠が弱いのです。岩井克人の『会社はこれからどうなるのか』の内容を軽く紹介しているだけで、その紹介には納得できる証明は含まれていません。これでは本人がダメな議論の例としてあげた「権威に訴える虚偽」そのものです。

こうした時代の変化を背景に、かつての「臨教審」はおこなわれた。したがって、そこでの教育改革の方向性は、こうした産業の変化に対応したものであったはずである。それが、「個性重視」だった。



 こういわれても、そうなのかなあ?と疑問に思うばかりです。臨教審のメンバーがそういう社会観を共有していたのか、ポスト産業資本主義では、とくていの人材が必要で、その育成がゆとり教育でできるのだと臨教審は考えていたのか、いろいろ疑問は湧いてきます。

 きちんとした論証をしない議論をダメな議論と呼び、論じ方を論じた本なのですから、ここでは正しい議論の見本を見せて欲しいところです。

「社会調査」のウソ―リサーチ・リテラシーのすすめ (文春新書) だまされない〈議論力〉 (講談社現代新書) ダメな議論―論理思考で見抜く (ちくま新書) 統計数字を疑う なぜ実感とズレるのか? (光文社新書) 学者のウソ [ソフトバンク新書]
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情報処理系講師、フリーライター。減速生活者にしてB級遊民。

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