龍馬伝 第6回視聴率 21.2%

 龍馬伝第6回の視聴率は21.2%でした。前回に比べてマイナス3.2%という過去最大の落ち込みです。

 裏番組に亀田2のボクシングという怪しげな興行があったのが原因でしょう。第6回の素晴らしさを考えると3.2%の視聴者はじつに残念な人たちです。(土曜日の再放送がありますので、ぜひ見てください)

 視聴率の推移

 第1回 23.2% 前回との差
 第2回 21.0% -2.2
 第3回 22.6% +1.6
 第4回 23.4% +0.8 最高視聴率更新
 第5回 24.4% +1.0 最高視聴率更新
 第6回 21.2% -3.2

 それにしても武市半平太(大森南朋)の恨みが深そうです。

 土佐藩主の山内豊信(のち容堂)(近藤正臣)に意見書をほめられて有頂天。土佐藩参政の吉田東洋(田中泯)から呼び出しがかかり、意気揚々と出かけます。自分が取り立てられるとでも思ったのでしょうか。途中、岩崎弥太郎(香川照之)に会うと、わざわざ声をかけ自慢をします。

 そして吉田東洋との面会。

東洋「おんしの、土佐を思う心、実にあっぱれじゃ。 けんどのう、日本は異国を討ち払えると本心で思うちゅうがか? 我が国の船では西洋には行けんけど、向こうは当たり前のようにやってくる。それだけで、力の差は歴然じゃ」

武市「異国など討ち払うべきです。我々にはそれができるんです」

東洋「その程度の男じゃったか。日本は今までのようにはいかん。それもわからんとは」

 東洋には洋式兵器の重要性がわかっていましたが、半平太は自分の意見が入れられないのは、自分が下級武士の郷士であるからだと考え強く恨みをもちます。

 攘夷か開国かという問題は一筋縄ではいきません。薩長は攘夷をいいながら幕府を退けて、明治政府を立てた後、開国へと突き進みます。急に考えが変わったわけではありません。欧米の科学技術の導入が必要不可欠であることは、海外の知識があり、時代の流れが理解できていた者にはわかっていました。しかし、それを表立っていうことは攘夷派の暗殺にあう危険をともないました。

 単純な攘夷論者は「わかっていない」のです。ある者は無知ゆえに、またある者は武士の世界にこだわるあまりに。そのわかっていない連中が集まり、暗殺を繰り返す時代が始まります。

 坂本龍馬(福山雅治)に先をこされ、鬱屈しながら地元に残り、岩崎弥太郎にも先をこされ、藩にとり立てられるという唯一の希望も失った武市半平太。根深い恨みは尊皇攘夷という時代の大義と結びつき、暗く燃える情念として噴き出します。


武市半平太伝―月と影と
4404024738

テーマ : 龍馬伝
ジャンル : テレビ・ラジオ

龍馬伝 第6回「松陰はどこだ?」 熱い、まことに熱い男であった

 吉田松陰(生瀬勝久)のあまりの熱さに笑い、そして涙してしまいました。

 配役を見たとき生瀬勝久では年をとりすぎているし、サラリーマンNEOでのコメディのイメージが強いので違和感がありました。登場してみるとやはり滑稽感があります。やはり隠しようもなく年をとっています。なにしろ実際の松陰はこのとき24歳。井伊直弼によって死刑にされた時ですら30歳ですから。

 しかし、演技を見ているうちに感動がこみ上げてきて、涙がつーとこぼれました。

 熱い、まことに熱い男です。

 このときのペリー提督の感想。

彼等は率直に、自分達の目的は合衆国につれて行って貰いたいのであり、世界を旅行し見聞し度という希望を合衆国で充たし度いのだと打ち明けた。(略)彼等は教養ある人達で、支那官語を流暢に形美しく書き、その態度も鄭重で極めて洗練されていた。提督は来艦の目的を知るや、自分は日本人をアメリカへつれて行き度いと思うこと切であるけれども、両人を迎えることが出来ないのは残念であると答えた。
     『ペルリ提督日本遠征記(四)』ホークス編、岩波文庫


 欧米人が当時の日本人に会った場合、驚かされることのひとつに、その挙措動作が洗練されていることがあげられます。龍馬伝ではなぜかそれが再現されません。演出家がそもそもそうした事実を知らないのかもしれませんし、知っていたとしても具体的な動作がわからないということもあるでしょう。

 龍馬伝では洗練された挙措が見られないばかりか、服装が汚いのには閉口です。弥太郎の家族の汚さは異常です。いかに貧しく服装が貧相でもある程度の清潔を保つことは可能です。日本人は下層のものでも清潔で礼儀正しいと多くの証言があります。

 この事件は、同国の厳重な法律を破らんとし、又知識を増すために生命をさえ賭そうとした二人の教養ある日本人の激しい知識欲を示すもので、興味深いことであった。日本人は疑いもなく研究好きの人民で、彼等の道徳的並びに知識的能力を増大する機会を喜んで迎えるのが常である。(略)日本人の志向がかくの如くであるとすれば、この興味ある国の前途は何と味のあるものであることか、又附言すれば、その前途は何と有望であることか!
     同前


 同じ東アジアであっても日本が清や朝鮮と大きく違う特性がここにあります。清、朝鮮は朱子学による自己中心性、他国蔑視が激しく、自らの蒙を啓くという発想を持ち得ませんでした。

 対して日本は新しい知識に飢えていました。攘夷といってもそれは過度の恐れから生まれたものにすぎず、底にあるのは、開かれた強い好奇心です。

 こうした特質は松陰にあってはとりわけ激しく、情報を集めることの大切さを「飛耳長目(ひじちょうもく)」という言葉で表しました。

 ペリーに乗船を拒否された吉田松陰は獄につながれた後、長州に戻り、松下村塾で桂小五郎、高杉晋作、久坂玄瑞、伊藤博文、山県有朋などを育てることになります。

 時代が大きく動くその種子が芽を出し始めます。


ペリー艦隊日本遠征記 上
加藤 祐三
4901221345


ペリー艦隊日本遠征記 下
加藤 祐三
4901221353


吉田松陰・留魂録 (講談社学術文庫)
古川 薫
4061595652

テーマ : 龍馬伝
ジャンル : テレビ・ラジオ

『日本絶賛語録』 かつて日本人という稀有なる民族がいた

日本絶賛語録
村岡 正明
4093877459


 村岡正明編。

 本書は、幕末と明治時代を中心に、外国からきたおもに白人たちが日本および日本人について語った賞賛の言葉を集めています。大正、昭和を含み、魯迅など東洋人も含まれていますが、それはごく少数で、欧米人の視線が江戸の気風が残る日本をどのように捉えたのかを編集なし、解説なしで、読ませてくれます。

 この試みは成功だったと思います。引用された著者たちの感動が直に伝わってきて、こちらも感動をせざるを得ません。

 目次は次のとおりです。

 第1章 世界を驚かせた礼儀正しさと親切さ、治安のよさ
 第2章 世界を驚かせた聡明さと知的創造力の旺盛さ
 第3章 世界を驚かせた勤勉さと職人ワザの驚異
 第4章 世界を驚かせた芸術民族ぶりとユニークな宗教観
 第5章 世界を驚かせた天然自然の美しさ
 第6章 世界を驚かせた女性の優美さと世界一幸せな子どもたち
 第7章 世界を驚かせた優雅で愉しみに満ちた和流スローライフ
 第8章 世界を驚かせた永遠に忘れ得ぬ日本人

 これだけでどんなことが書いてあるかある程度予想できそうですが、実際読んでみると、想像以上の日本人の姿がそこにあり、もはや現代の日本人とは別の民族ではないかと思えるほどです。

 今の日本人が引き継いでいるものもありますが、失われたものの大きさを、痛みとともに感じさせられます。明治以降の西洋化がやはり日本人を変えたのだと実感しました。

 E・スエンソンの『江戸幕末滞在記』を読んだ時も同じような感慨をいだいたですが、今回、多くの西洋人の絶賛の言葉に出会って感激を新たにしました。こんなに多くの絶賛の言葉を浴びると失われた文明への追慕が募ります。かくも素晴らしい文明を江戸の末期に完成させていたのだ、と。

 もちろん悲惨や理不尽はありました。その意味では改良の余地は大いにあったのですが。

 残念なのは、編者による「あとがき」です。口汚くその後の日本の歴史を罵倒し、イデオロギー色をばらまいています。もう少し慎み深いあとがきで締めてくれれば、読後感はさらによかったでしょう。

 将来の日本を予見するペリーの言葉はとくに印象的でした。

日本の手工業者は世界に於ける如何なる手工業者にも劣らず練達であって、人民の発明力をもっと自由に発達させるならば日本人は最も成功している工業国民に何時までも劣ってはいないことだろう。(略)日本人が一度文明世界の過去及び現在の技能を所有したならば、強力な競争者として、将来の機械工業の成功を目指す競争に加わるだろう。
     『ペルリ提督日本遠征記(四)』ホークス編、岩波文庫



 はたしてその通りになるわけですが、時は悪く帝国主義の時代でした。日本は列強に飲み込まれまいとして工業化とともに軍事国家への道も突き進みます。その過程で多くの日本的なものを意識的に捨て、無意識のうちに失いました。そしてひどい敗戦。アメリカによる占領から独立した後は急速な民主化とともにアメリカナイズされてゆきました。(それでもどっこい日本ではあります)

 ペリーの予測はある意味輝かしく結実し、ある意味悲惨に終わりました。

 もしかしたら今はまた新たな転換期なのかもしれません。そんな気がします。今度、大きな変貌を遂げるとしたら、日本的なものを大切にした変貌であって欲しいものです。


私は日本のここが好き!―外国人54人が語る 日本賛辞の至言33撰―世界の偉人たちが贈る ニッポンの評判―世界17カ国最新レポート (新潮新書) 世界が愛した日本 僕、トーキョーの味方です―アメリカ人哲学者が日本に魅せられる理由
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テーマ : 最近読んだ本
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無縁社会への反論 家族と同居する老人こそ自殺する

 NHKスペシャルの『無縁社会』は、孤独死をよくないものであるとする観点から制作された番組です。老年を一人で生きること、一人で死ぬことをことさら悲惨なことであるかのように印象付ける演出に満ちていました。

 しかし、老人の死を自殺という観点から見てみると、まるで違う風景が見えてきます。

 福島県精神保健福祉センターの分析によると、高齢者(65歳以上)の自殺は家族と同居している人に多いことがわかりました。高齢で単身者の自殺は全体の5%以下に過ぎないというのです。

 調べてみると福島県の高齢単身世帯の割合は7.02%です(総務省統計局 『社会・人口統計体系』 (2008)調べ)。もとより高齢単身世帯が少ないとはいえ、自殺率はさらに少ない5%ですから、本来の比率より3割(*1)も少ないのです。家族と同居の方が自殺のリスクが高まることは間違いありません。(注1 福島県精神保健福祉センターの高齢で単身者の自殺は全体の5%以下という数字はどうやら平成14年度のものらしいので、この計算は適切ではありません。数年で大きな変化はないでしょうから、参考値とでも考えてください。)

 自殺したお年寄りのほとんどが家族と同居していました。一人暮らしのお年寄りの自殺者は全体の5%以下に過ぎません。お年寄りの自殺者の多くが生前家族に「長く生きすぎた」、「迷惑をかけたくない」ともらしていました。お年寄りは病気がちになったり、体力が低下したり、物忘れが多くなることで心身両面の衰えを自覚し、同居する家族に看護や介護の負担をかけることへの遠慮が生じると考えられます。周りの者は決してそんなことは考えていなくても、御本人は負担に感じてしまうのです。
     福島県精神保健福祉センター「高齢者の自殺の実態」



 福島県精神保健福祉センター分析では、これを「家族への精神的負担」とまとめていますが、同居世帯老人の自殺をそれだけで説明できるものではありません。

 たしかに家族に介護をさせる「申し訳なさ」は介護を受ける本人にも大きな精神的負担でしょう。しかし、実際に自殺をすれば、残された家族は老人にひどいことをしたと後悔に念に苛まれるはずです。家族のためを思っても、かえってむごい仕打ちにもなります。

 多くの自殺死体を見てきた監察医の小野正彦氏の意見はこうです。

 3年間の調査で、私自身も意外だったのは、自殺に追い込まれた老人の家庭環境別の比較である。当時はこれを、三世代同居、夫婦ふたり暮らし、子どもとふたり暮らし、ひとり暮らしなどの項目に分類し、整理した。
 その中で最も多かったのは、意外や意外、三世代同居の老人で、全体の60パーセント強を占めていた。以下、子どもとふたり暮らし、夫婦ふたり暮らし、ひとり暮らしの順に続いた。
 当時は、先入観として、家族と同居の老人こそが最も幸せと考えていたが、必ずしもそうではなかった。むしろ同居の中で、信頼する身内から理解されず、冷たく疎外されているわびしさこそが、老人にとって耐えられない孤独だった。これが一番の自殺動機になっていたことを見逃すことはできない。
 その逆に、ひとり暮らしだから孤独かというと、そうでもない。ひとり暮らしの老人は、それはそれで自分の城を持ち、訪れる身内や近所の人たちと交際し、それなりに豊かさを持っている。
     『自殺死体の叫び』上野正彦(ぶんか社、1999年)



 小野氏は老人が家族から理解されず疎外されている状況を重く見ています。

 おそらくこの二つ「家族への精神的負担」「疎外状況」が大きな理由ではないでしょうか。どちらの理由がより多いかは不明ですが、介護されている老人の自殺はあまり聞かない話です。体が弱っている状況での自殺は物理的に困難であることなども考慮すると、おそらく「疎外状況」での自殺の方がウェイトが重いように思われます。

 NHKスペシャル『無縁社会』が将来増えると予想される孤独死を憂慮するのはいいでしょう。寂しさを感じる老人はいるはずです。

 しかし、以上見てきたように高齢単身世帯だけが悲惨であると決めつけることには無理があります。ましてやこの番組が家族と同居すれば問題はないかのような印象を与えるとしたら大きな間違いです。むしろ家族と同居する老人の抱える「家族への精神的負担」と「疎外状況」こそより悲惨であることを問題とすべきです。なにしろ家族と同居する老人の方がずっと多く自殺で人生を終えてしまうのですから。

自殺死体の叫び (角川文庫)
4043400063


高齢者の孤独と豊かさ (NHKブックス)

高齢者の孤独と豊かさ (NHKブックス)
「老いる」とはどういうことか (講談社プラスアルファ文庫) ひとり誰にも看取られず 激増する孤独死とその防止策 団地と孤独死 高齢者の孤独―25人の高齢者が孤独について語る (シリーズ デンマークの悲しみと喪失) 高齢者の喪失体験と再生
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テーマ : NHK
ジャンル : テレビ・ラジオ

『老化はなぜ進むのか』 燃費のいいミトコンドリアを生み出すには

老化はなぜ進むのか (ブルーバックス)
4062576627


 近藤祥司著。

 最初の方に読みやすい雑談風の話題があったので、つい読みはじめてしまいましたが、途中からきつくなりました。

 老化のメカニズムは複雑であるうえに耳慣れない新しい用語がたくさん出てきます。しかも、老化の仮説は諸説あり、あーだこーだと結論の出ない話が長く続きます。このあたり、ちょっとつらいかもしれません。

 しかし、耳寄りな話も結構多いので、難しいところは飛ばして、拾い読みをすることをおすすめします。

 以下に、耳寄り話をいくつか紹介しておきましょう。

 エネルギーを生み出すミトコンドリアを助けているコエンザイムQ10という物質があります。若さを保つためにコエンザイムQ10を摂取すればいいという説があり、実際に使われていますが、長期的に見れば結果は逆で、ミトコンドリアが活性化すれば活性酸素が生み出され、酸化ストレスにより寿命が縮むことがわかってきました。

 寿命を延ばす方法としては以前から言われているカロリー制限がやはりいいようです。カロリー制限をすると、燃費がよくて酸化ストレスの少ないミトコンドリアが生み出されます。

 これがもっとも経済的で安全な健康法ではないでしょうか。

 女性ホルモンに変わる物質としてイソフラボンが注目されていましたが、イソフラボンは摂取過剰になると副作用で乳がんなどが増えます。それに対してSERMという薬では、女性ホルモンのように、高コレステロールや骨粗しょう症を改善し、なおかつ乳がんや卵巣がんが減少するそうです。これは画期的な薬です。

 高血圧の治療薬であるARBは内臓老化を防ぐ効果もあるそうです。

 高コレステロール血症の治療薬であるスタチンは、動脈硬化の進展を抑制し、心筋梗塞などを予防する効果もあるそうです。

 このまま順調に老化の解明と予防法がわかってくると、日本人の寿命はまたまた伸びることになりそうです。しかも著者がいうようにたんなる長生きではなく、元気な状態で長生きができるようになるのではないでしょうか。


長寿遺伝子をオンにする生き方 (青春新書INTELLIGENCE)

長寿遺伝子をオンにする生き方 (青春新書INTELLIGENCE)
レオナルド・ガレンテ―「長寿遺伝子」を解き明かす (NHK未来への提言) 長寿遺伝子を鍛える―カロリーリストリクションのすすめ 老いない、病気にならない、方法 アンチエイジング・クッキング (講談社のお料理BOOK) 100歳まで元気に生きる食べ方―頭と体を若くする「スーパー長寿食」
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テーマ : お役立ち情報
ジャンル : ヘルス・ダイエット

プロフィール

Author:Cozy
大学非常勤講師(情報処理)、フリーライター。減速生活者にしてB級遊民。Cozy's 東京スナップの管理人。
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